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華音の住む洋館にて(2)

別室に案内された沢田文美と雨宮瞳は、またしても脚が震えた。


長い木製のテーブルに椅子、そのどちらも見るからに高級品。

壁は大理石、ヨーロッパだろうか、風景画が多くかけられている。

また、大広間と同じように、天井には大きなシャンデリア。

窓もかなり立派な感じ。


華音が

「テーブルはマホガニー、椅子もヴィクトリア朝のアンティーク」

「風景画は、イギリスのターナーという画家のもの」

「全て、じいさんの前だから、かなり古いもの」

と説明するけれど、脚が震えている二人は、何も声が出せない。


「おかけになってください」

立花管理人の、上品な言葉としぐさで、沢田文美と雨宮瞳は、ようやく華音と向い合せで座った。


「ただいま、粗茶をお持ちいたします」

立花管理人も座ると、別室のもう一つの扉が開いた。


三十台後半だろうか、キチンとした紺をベースにしたメイド服に身を包んだ女性が、紅茶のセットとクッキーだろうか、それを運んできた。


「ようこそ、おいでなさいました」

「華音様がお世話になっております」

「粗茶ではございますが、ごゆっくりと」

そのメイド服の女性は、優雅そのもののしぐさで、銘々の紅茶カップに紅茶を注いでいく。


沢田文美

「マジ?すっごく香りがいいんだけど・・・」

雨宮瞳

「うん、これ・・・ダージリンのファーストフラッシュ・・・」

沢田文美

「このメイド服の人、メチャ美人・・・」

雨宮瞳

「どういう関係?管理人に加えてメイドさん?どういうお家柄?どういう立場なの?華音君って・・・」

そう思うけれど、まだまだ二人とも緊張している。

声を出す余裕がない。


華音が二人に声をかけた。

「あの、ご遠慮はなさらず」

「少しお話してから、僕の部屋にでも」

「まだ、片付いてはいませんが」


沢田文美は、紅茶を一口、含んだ。

そして、目を閉じた。

「はぁ・・・香りといい、味といい、絶品・・・」

「いつも、スポーツドリンクばかりだから・・・こういうの、ホッとする」


雨宮瞳も同じ。

「美味しい・・・どうすれば、こんなに上手に淹れられるのかなあ」

「お砂糖入れなくても、甘味を感じるもの」


沢田文美は、クッキーを食べて、目を丸くする。

「軽くて、甘味がちょうどいい」

「すっごく上品な美味しさ」


雨宮瞳は、感激している。

「バターそのものが、すごくいい」

「新鮮なバターを使っているのかなあ」


立花管理人が、説明をする。

「そのダージリンは、代々、華音様の母方のご実家の貿易会社で扱って来たものになります」

「それから、クッキーの小麦粉と砂糖も同じ貿易会社の取り扱い品」

「ただ、バターだけは・・・」

立花管理人が、華音に頭を下げた。


華音は少し笑った。

「そのバターは僕がつくりました」

沢田文美と雨宮瞳は、またしても目を丸くすることになった。


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