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沢田文美の完落ち、雨宮瞳は・・・

学食レストランでの昼食会は、そんな華音を囲んでのインタビュータイムで終わってしまった。

沢田文美は、名残惜しそう。

「ねえ、華音君、もっとお話聞きたいし、剣道とか合気道の技もみたい」

「古文イマイチ苦手だから教えて欲しいし、英文解釈は・・・うーん・・・」

と、少々複雑ながら、華音に迫る。


その迫りついでに、

「華音君、明日も学食レストランにしようよ」

「スマホつなごうよ」

「美味しいケーキ屋さんあるから、放課後に」

・・・・などなど、超積極的。


迫られた華音は、ただ、笑っているだけ。


雨宮瞳は、思った。

「ここで、沢田先輩に引いているわけにはいかない」

「テニスはテニス」

「お付き合いはお付き合いだ」

とまではいいけれど、「お付き合い」という言葉が浮かんできた瞬間、顔が赤くなってしまい、言葉が出せない。


華音が答えた。

「沢田さん、本当にありがとうございます」

「そこまで、気にしていただいて、すごく光栄です」

「ただ・・・今朝お逢いした先輩方にも、お話をする・・・」

「と言っても、今お話した内容そのものですけれど、その必要があります」

またしても、沈着、冷静な口調。


そして、しっかりと頭を下げて

「沢田さんたちとの、お食事、本当に楽しかったです」

「また、誘ってください」

「美味しいケーキ屋さんにも、興味があります、また、いつか」

と、柔らかな声、顔をあげて、恥ずかしそうな笑顔で、沢田文美だけを見つめてしまった。


見つめられた沢田文美は、心臓がバクバク・・・固まってしまった。

「うわ!可愛い!光ってる!」

「この子・・・離せない・・・」

「超、私、ヤバイかも・・・」


そして、沢田文美は、この時点で、華音に「完落ち」。

それが、後まで続くことになる。


華音は、次にクラスメイトたちに声をかけた。

「そろそろ、教室に戻りましょう」

当たり前で何ともない言葉。


しかし、クラスメイトたちは、一様にホッとした。


「・・・危なかった・・・沢田さんの顔がマジだった」

「華音君、上手にかわしてた」

「筋を通していて、期待を持たせて」

「沢田さん、最後は目がトロンってなってた」

「沢田さん、きれいだし、スタイルいいし、明るいし・・・」

「姉御肌で、いい人だけど」

・・・・

「華音君を渡したくない」

「私たちが、もっと積極的にしないとさ」

「私たちのクラスなんだよ」

「瞳、もっとしっかり!」

瞳にまで、いろいろ言ってくるけれど、瞳は「うるさい!そんなの私が全部気にしていること」だし、「昨日は華音君が気になって眠れてないの」と思う。

しかし、そんなことは、口に出して言えないけれど。



しかも、華音が、雨宮瞳にやさしい声をかけてくる。

「雨宮さん、疲れていません?」

「少し心配です」


雨宮瞳は思った。

「華音君・・・君が原因なの」

「でも、華音君は、何も悪くない」

本当は手をつなぎたいけれど・・・できない。


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