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今日のお昼で、瞳は少し悩む

結局、ホームルーム前の廊下の不穏な状況は、華音の言葉で、スンナリとおさまってしまった。

格闘系先輩男子は、「じゃあ、また後で」と、自分たちの教室に戻って行ってしまったのである。


それを見た、先輩女子の沢田文美は、笑っている。

「マジ?どうして?一悶着がもう少しあるかと思ったんだけど」


そんな沢田文美に華音が、頭を下げた。

「沢田さん、ありがとうございました、助かりました」


そんな華音に沢田文美は、照れた。

「えーーー?うれしい、当たり前のことだって!」

「守るんだから、君のこと」

「でも、華音君の言葉のほうが効いたみたい」


華音は、「いえ、そんなことと」と笑うだけ。


雨宮瞳は、そこで思った。

「これも、よろしくない」

「沢田先輩の次の言葉は、『じゃあ、お昼一緒にね!』になるに決まっている」

「そうなると、また面倒でしかない」

そう思ったら、ためらっている場合ではないと思った。


「華音君、もう時間がないよ」

と、教室に歩きだす。


華音も素直だった。

「雨宮さん、ありがとうございます」

そのまま、雨宮瞳と歩きだす。


これには、沢田文美たち先輩女子も仕方がないと思ったようだ。

「じゃあ、また後でね!」

「一緒にお昼しようね!」

と、自らの教室に、スンナリと帰っていってしまった。



さて、もう少しで教室の入り口という所まで歩いて、雨宮瞳は華音に尋ねた。

「ねえ、華音君、今日のお昼は?お弁当なの?」

剣道部とか、合気道の話は、深入りするのも難しそうと思うけれど、お昼ぐらいは聞いても問題ないと思った。

そして、出来れば、昨日のように、お弁当であればいいなあと思っている。


華音は、また、恥ずかしそうな顔。

「えっと・・・昨日、荷物が届いて、整理とかしていたら、疲れてしまって」

「お弁当ではないです」

「学食レストランか、パン屋さんにしようかなあと」

「それも、校内見学になるかなと」


雨宮瞳にとって、予想外、出来れば聞きたくない言葉が返ってきた。

「・・・そう・・・残念・・・」

何が残念なのかは、少し応えづらいけれど、華音はお弁当ではないのは事実。

「華音君・・・じゃあ、クラスの人と食べるの?」

「その方がいいかなあ、クラス内の親睦もあるしさ」

と言って、何気なく「沢田文美たちへのけん制」を試みる。


華音は、そんな雨宮瞳に少し笑う。

「うーん・・・クラスの人たちとも行きますけれど」

「そこで、沢田さんに逢えば、声くらいはかけます」

「お昼ご飯ですし・・・もめる必要も何もない」


雨宮瞳は、「うっ・・・」と、言葉に詰まる。


今度は、華音が雨宮瞳に質問をしてきた。

「雨宮さん、お弁当を持って、学食レストランで食べてはいけないんですか?」

華音は、そう言って、笑顔。


雨宮瞳は、「ハッ」となった。


「え?運動部とかで、家から持ってくるお弁当だけでは足りなくて、学食レストランで、もう一品食べている人いる」

「・・・となると・・・私も、ご一緒するかな」

「ハッ」となった顔は、「超ニンマリ」へと、変化している。


ただ、この時点で、雨宮瞳は、一つ確認不足をしていることがあるけれど、全く気がついていない。


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