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最強職《無職》  作者: 玄米
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十五話 自傷


 少し時間は遡り、川向こうへ消えた坂木達へと視点が変わる。



 「委員長ー、あの錬金二人は置きっぱでいいのー?」

 「赤城、いい加減委員長と呼ぶのはやめてくれないか。この世界では坂木なんだから、委員長でもなんでもない」


 坂木 孝文……僕のフルネームだ。

 委員長、委員長と言い寄られてはこの世界の人たちに委員長と呼ばれてしまう。

 ……この世界ではというか、どこの世界でも僕の名前は坂木だ。


 「えー委員長は委員長じゃん」

 「うるさい。目の前のスライムに集中しろ」


 そう、今僕と赤城は戦闘の真っ最中なのだ。


 この緑色のブヨっとしたものは、おそらくスライムだろう。

 先程テントで新田が焼き尽くしたものと同種で間違いない。


 「ピギィ」

 「うわ、きも……」

 「……下がっててくれ。僕がやる」


 赤城の少し前に出てアルネドさんから手渡された長剣を構える。

 スライムは依然、プルプルしている。


 「やっちゃえ〜」

 「……ふん」


 僕は基本、やる気のないやつは嫌いだ。いや、やらざるを得ない状況で、他人を頼るやつが嫌いだ。

 そんな奴らは、自らを先導する者を盲信する。それが悪であろうと善であろうと関係ない……


 ……まあいい。彼女の職は聖癒師だ。非戦闘系の典型とも言えるヒーラー。

 だからと言って怠けて良い訳ではないが。


 「はあっ!」


 右足を踏み込み、力一杯剣を横に振る。

 ステータスが強化されているのか、剣の残像が残り、突風がスライムを直撃する。


 刹那、スライムは跡形もなく霧散する形で消滅した。


 「……力入れすぎた」

 「もー委員長〜」

 「うるさい。赤城は何もしなかっただろう」

 「連携を確認するって言ったのは委員長じゃん!」


 魔石ごとどこかに飛んで行ったみたいだな。

 持って帰りたかったけど……まあ、一個くらい良いか。


 スライムを消した僕らは、また少しずつ、森の奥へと進む。


 「……赤城」

 「ん? なーに?」

 「お前の魔法をまだ見ていないのだが」

 「だって委員長ケガしてないじゃん」

 「よし、わかった」


 ザク


 「……え?」


 僕は自分の足に剣を突き刺した。

 貫通した剣の先から、赤い雫が滴り落ちている。


 「怪我をしてしまった。魔法を使ってくれ」

 「な……!?」


 わざと大きな動作で赤城を煽る。


 目を丸くした赤城が一呼吸おいて


 『バチンッ!!』


 僕の頬を叩いた。


 「な、何をする!」

 「それはこっちのセリフよ! あんた自分の体に何してんの!」

 「こ、これくらいしないとお前は何もしないだろう!!」

 「馬鹿にすんじゃないわよ!!」


 ……これは驚いた。

 赤城はなぜ泣いている?


 彼女の端正な顔から一粒、また一粒と涙が滴っている。


 「……早く座って」

 「……ああ」

 

 大腿に刺さった剣を抜き、座る。


 赤城は赤く染まった部分に手を添え、目を閉じた。


 「……なあ」

 「黙って、集中出来ない」


 緑色に発光する赤城の手は、震えているようだった。

 足がぐちゃぐちゃと音を出し始めたかと思うと、傷口が塞がり、痛みがほぼ無くなる。


 「まだちょっと痛いぞ?」

 「完全には治せなかった……なんで?」

 「……さあ。まぁありがとう。こりゃ後方での支援……って感じの職だな」

 「もう、馬鹿なことしないで」


 ヒーラーの力が見たかったとはいえ、やりすぎたかな……




 Lv. 4 坂木 孝文

 職業:勇者


 スキル:痛覚排除[+効果永続]筋力倍加 戦闘狂[+回復阻害]飛翔[+効果持続]千里眼 武装[+全種武器]重装備[+全種防具]軽装備[+全種防具」


 補足:痛覚排除のスキル効果により、戦闘狂スキルが強化。

 

 戦闘狂……戦いの中で傷付けば傷つくほど魔力耐性が上昇する。痛覚排除の効果により、一部回復魔法の効果が薄れる。

 


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