十話 可能範囲
「全員いるな?坂木、リーダーはお前だ。生きて帰ってこい」
「はい。わかりました」
二十分前……
「それぞれの武器の扱い方はステータスから見ることが出来る。目ェ通しとけ」
この歳で武器を持つことになるとは思わなかった。
「ステータス」
いつも通り声でステータスを開く。
それに篠崎が毒づく。
「ぷぷ!何言ってんだ神崎?言葉で開けるわけないだろ」
「あ?お前知らねーのか。ずっと視界の隅凝視するより便利だぞ」
俺はただ単に目が疲れるからこうしてるだけなんだけど。
「えっと、籠手籠手……」
装備可能……長剣、短剣、細剣、片手斧両手斧、片手杖、両手杖、魔導書、籠手、拳具……etc
ヘルプを開きますか?
「こんなにあるのか……無職者だから?」
何者にも属さないが故にこの量なのだろう。
だがどの武器にも共通するのは、他の職業が装備するとハンデが発生するという事だ。
「籠手……あった」
籠手……錬金術師専用装備。錬金術師が装備すると本来の重量の80%がカットされる。主に腕の防御に使用される。籠手の中に術式を書いた紙を忍ばせ、即座に使用できる。
備考……無職者が装備する際、本来の重量の60%が残る。称号《忍ばざる者》を解除している場合、離れた術式紙から錬金術を発動させる事が出来る。
「ほほう……」
《忍ばざる者》……どうしたら解除できるんだ?
「よし、お前らヘルプは見たな?それではこれより、《メンジュ森林》に入り、三日間、野営をしてもらう」
「な、なんですって!?」
今しがた叫んだのは前日の夜、食堂で「帰りたいに決まってるじゃない!」と言っていた女子だ。名前なんだったかな?
「や、野営って……そんなの!お風呂やお手洗いはどうするのよ!着替えだって今はこれしかないし……」
「騒ぐな。一応川の近くにまたテントを張ってやる」
「か、川……ですって……?」
おお崩れ落ちた。肩を落としてふるふると震えている。
萩沢が小さく呟く。
「なんか姫塚、可哀想だな」
「仕方ないだろ。元がお嬢様なんだから。……てかそんな名前だっけか」
「お前……いい加減女子の名前覚えろよな。あいつは姫塚 妃野。風紀委員だ」
そうだったな。そういえば風紀委員がいたな。
「メイド四番隊。森ん中の川にテントを張ってやれ。あと、『魔物避けの鈴』も設置してこい」
「御意」
シュタタターとメイドが森に入っていった。
「よし。一応言っておくが、森の中には魔物が潜んでる。ここいらの魔物はコレに載ってる。坂木、お前が持ってろ」
A4サイズの羊皮紙が坂木に手渡される。
「ふむ……わかりました。では、野営の目的……いや、僕達の目的は『三日間、森の中で生き残る』……で、いいですかね」
「ああ、その通りだ。物分りが良くて助かる」
……で、冒頭に戻る。
「よし、みんな!森に入る前に魔物を確認しよう。先に対処法を考えておこう」
最もな意見だな。
羊皮紙にはこう書いてある。
《メンジュ森林》
魔物ランク F
ウッドスライム
リビングラビット
リビングバード
魔物ランク E
変異・ウッドスライム
「……変異?」
どういう事だろう。
「よし、みんな。対策を考えよう」
あれ?あんまり気にならない感じ?
「そうだな……スライムは魔法が効く気がする。ブニョブニョして物理攻撃が通らないイメージなんだ」
「ほほう、いい読みだな」
アルネドさんが割って入った。
「萩沢、正解だ」
「あ、ありがとうございます……」
「次、リビングラビットはどうする?リビングの意味がよくわからないが……恐らくは『生き返る』んだろう」
「なら、俺の魔法で燃やし尽くしてやるよ」
「はっはっは!信彦は威勢がいいな。それでもいいが、確実なのは『二回殺す』だ」
……アルネドさん入って来すぎだろ。
「リビングラビットの脳と心臓は二つずつある。手っ取り早いのは魔物の生命の源である魔石核をぶっ壊す事だ」
「……となるとリビングバードも?」
「ああ、その通り」
これでFランクの対処法が決まったな。
次はEランクのスライムだけだが……
「作戦会議はここまでにしよう。日が落ちる前にテントに入って落ち着こう」
「え?」
え、え?明らかにEランクがまだなんだけど……
「い、委員長、Eランクのスライムがまだだぞ」
「スライムなんだろ?なら対処法はさっき決まったじゃないか」
「そうだぞー。俺がやってやるから、お前らは座って見てろって」
信彦が笑いながらワンドを振り回している。
「ふ、不安だ……」




