第10話 番外編:クールキティ
6月に入ったばかりのある日、僕は学校からアパートまで歩いていた。柔道バッグを背中に背負って、いつものグレーのリュックも背負っていた。黒いバギーショートパンツを履いて、無地の青いシャツを着て、片耳だけイヤホンをつけて音楽を聴いていた。
如月さんから、宿題についてメッセージが来ていて、僕はそれに返信していた。
しばらく前から、こうやってメッセージのやり取りをしていた。時々、一緒に帰ることもあった。正直、いい関係を築けていたと思う――まだ告白すらしていないのに。
「にゃあ!」
その鳴き声に驚いて、僕は思わず背筋を伸ばして、あたりを見回した。
視線を下ろすと――なんと、段ボール箱の真ん中から、一匹の猫がじっとこっちを見つめていた。ものすごくふわふわで、顔はグレー、体は白い毛だった。
「にゃあ!」
サイズからして、間違いなく子猫だった。かわいい。本当に、めちゃくちゃかわいかった。
写真を撮って、如月さんに送った。
如月葵:「うわ!めっちゃかわいい!飼うの?」 佐藤蓮:「え、当たり前じゃん!他に何すんの?」 如月葵:「親御さん、怒ったりしない?」 佐藤蓮:「一人暮らしだから大丈夫!」 佐藤蓮:(猫の親指サムズアップスタンプ) 如月葵:「そもそも猫飼ったことあるの??あと、アパートってペット禁止じゃないの?」 佐藤蓮:「うちは大丈夫。心配しないで」
僕は箱を持ち上げて、そのまま帰り道を歩いた。
アパートに着くと、猫はさっそく部屋に慣れようと、あちこち歩き回っていた。
如月さんから電話がかかってきて、出た。
「どこ行ってたの?もう5回くらい電話したんだけど!」
「落ち着いて!猫の入った箱持って、歩いて帰ってただけだから」
「猫の育て方、ちゃんとわかってる?」
「え……いや、全然」
「はぁ……バカ……」
「え??」
「まあいいや。いくつか買ったほうがいいものリストで送ったから。それと、寝床はどうするの?」
「俺のベッドで寝かせる」
「はぁ?!」
「なんか問題ある?」
「別に……」
「よし!じゃあ、準備しよっか」
その夜は、必要なものを買いに出かけて、セットアップを終える頃には、もう夜の11時過ぎになっていた。
佐藤蓮:「もう寝てると思うけど、完成したから送るね!」
写真を送った。
如月葵:「起きてるよ。いいじゃん!すごくいい!」 佐藤蓮:「名前、何にしよう?」 如月葵:「もちちゃん!」 佐藤蓮:「マジで?他にないの?」 如月葵:「ないよ!もちちゃんが完璧!」
――とりあえず、猫を飼うことになった!




