プロローグ 白い光
燃えていた。村が。家が。人が。夜空を赤く染める炎は村中へ広がり崩れ落ちる家々の音と悲鳴が絶え間なく響いていた。助けを求める声があちこちから聞こえる。それでも幼いカケルにはその場へ立ち尽くすことしかできなかった。
「ミライ!」
我に返ったように叫ぶと少し先で倒れている幼馴染のもとへ駆け寄り地面へ膝をついて震える手で肩を揺さぶる。ミライは動かず服は血で赤く染まり何度名前を呼んでも返事が返ることはなかった。
「ミライ……!」
昨日まで当たり前のように返ってきた声は聞こえない。信じたくない一心で何度も肩を揺さぶりもう一度名前を呼ぶ。
「いやだ……」
涙が頬を伝う。目の前にいるのに現実を受け入れられないまま口を開く。
「起きろよ……!」
「起きてくれよ……!」
叫びは炎の轟きに飲み込まれ虚しく消えていく。届かないと分かっていても小さな拳を震わせながら叫び続けることしかできなかった。
そのとき静かな足音が聞こえた。燃え盛る村とは思えないほど穏やかな足取りに導かれるよう顔を上げると逆光に遮られて姿はよく見えない。その人物は倒れているミライへ視線を落としたあとカケルを見る。白金色の髪は淡く輝き白を基調とした衣装には金の装飾が施されており無駄のない鍛えられた身体は衣服の上からでも分かった。何も語らないまま静かに手を伸ばした瞬間柔らかな白い光がミライの身体を包み込んだ。何が起きているのか分からずなぜそんなことが起きるのかも分からない。逃げることも声をかけることもできずただ目の前で起きている出来事を見つめることしかできなかった。その光だけが炎とは違う温もりを宿しているように見え、やがて意識はゆっくりと遠のき薄れていき視界は白い光に包まれていく。それがカケルの最後の記憶となった。
初投稿になります
設定練り始めてから3か月くらいかかった気がします
1話すぐに投稿します




