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12話 双子ー11

デストロは目の前の恐怖に怯える


「おま…本当に人種なのか……おかしいだろ!?」


「そう言ってくれるな」

「これが人種本来の力なんだよ」


「嘘つくなぁ!!」

嘘は言っていない

人種が平均して魔法域が弱い理由

それは英雄と呼ばれる特筆した魔法域を使う者がいる反動で全体が弱体化され均衡を保っている

平均値は低いが最高値は全ての種の頂点に来る種族

それが「人種」


「立てよ動物」

「恩人を殴った借りがまだ返せてねぇ」


デストロの口が開く

牙が生え揃い粘液が絡みつく…汚い大口


「舐めんじゃね……」


空中に飛び散る肉片と降り注ぐ血

三節棍の一振りで通路壁が円形にえぐれ崩れる


「ユジィ……」

「行こうかイオ」

「次は元凶だ」



「ジェルミ様ぁ!!」

「奴隷たちが地表に!!」


肩で息をするサイの獣人

部屋の奥にある椅子に座る大ネズミ


「なんだ騒がしい」


……


サイは横から来た何かによって吹き飛ばされる

飛ばされた際に代わり武器を持った人種が2人


「よっす…お前が領域守護者のジェルミだな」

・・・

キモッッ

なんだあの顔…ネズミはもう少し可愛くないとダメだろ

目、鼻、口、全てがなんかこう……リアルが過ぎる


「チチィ」

「誰の許可を得て聖域に踏み込んでんだ奴隷!!」


机は蹴り飛ばされ木片と化す

落ちる木片の向こうに見えるリアルなネズミ

「お前は死刑よりもキツい罰を課す」

「覚悟しろよ奴隷」


「じゃあ」

「俺もお前に天罰を下す」

「お前はやりすぎだジェルミ」

「その奥にいるんだろ可哀想な女の子が」


部屋内部には大きなシャンデリアや豪勢なベッド…壁に掛かる鞭や鎖などの悪趣味な部屋

その奥に何重にも施錠された扉


「どうでもいいだろ、だってお前」

「これから死ぬんだからよ」

瞬間に間合いが無くなる両者


「チチィ……!?」


交差する鋼鉄の爪と鎖

当然に受け止めるか、さっきの獣人なんて一振りで頭弾けてたし

だけど…

「もう少しだ…もう少し強めろよ獣人」


「チィ!!?」


三節棍に弾き飛ばされるネズミ

両端の筒と鎖を交差するようにネズミの腕を弾く


「お前……何をした!?」


何……ね

この世界の奴らは敵とか関係なしに聞いてくるやつが多いな

もう少し緊張感を大事にしろよ


「イオ!」

扉から顔を覗かせるイオ

「お前は妹ちゃんを助けに行け、俺が守ってやるからそれだけを目指せ」


「おう!!」


走り出すイオ


「俺の嫁を横取りすんな!!」

進路を阻むジェルミ

「違う…」

「メイはお前の嫁なんかじゃねぇ…俺の妹だ!」


「じゃあなんか俺に攻撃してみろよ」


手を震わせるイオ

「チチィ!」

「なんもできねぇなら黙って奪われてろ」

「あれは俺の物だはぁぅ!!?……」


「バカ言うなよネズミ」

「生命はみな自由だ」


ジェルミの頬に俺の足をめり込ませる

ネズミ顔に全体重が乗るように…蹴る


「自分の都合で生命を傷つけることは」

「神だろうと許されない」


勢いよく蹴り上げた足

硬い皮膚は波打ちよだれを吐きながら隣の壁を貫通するジェルミ


「蹴り飛ばしすぎたか」

「ありがとうユジィ」

「気にすんな、お前たちが戻ってきたら勉強だからな」

「あの胸糞ネズミを使って」

「ほれ、妹ちゃんを助けて来い」


イオの手元には数本の鍵

「おう!」

「待ってろよメイ」

再び走り出すイオ

部屋を開けると一枚のカーテン

その向こうに人影

「メイ!!」


「……」

カーテンを開けると

そこには綺麗に着飾った少女がいた

「メイ、助けに…」


「なんで来たの!!」

叫ぶメイ


「え…」

涙を浮かべ服を握りしめる

「なんであの時…私だけが捕まればよかったのに」

「お兄ちゃんが来たらメイがここに来た意味ないじゃん!」

「お兄ちゃんが私のせいで傷つくのが嫌なの」

「もう見たくない」

!!


勢いよく頭を地面に付けるイオ

「すまん!」

「俺が弱いせいで心配かけた」

「え…そういうわけじゃ」


顔を上げるイオ

「でも大丈夫だメイ!」

「俺…というか俺達には英雄の才能があるらしいんだ!」

涙を拭うメイ

「英…雄?」


!!

「何!?」

扉の向こうから聞こえる轟音

「向こうで俺たちを助けてくれる奴が戦ってる」

向こうから鳴り止まない音

「戦ってるって……誰と?」

「ジェルミだよ!」


「え!!」

困惑するメイ


メイの手を取る

「ジェルミに勝てる奴がいるんだよ…俺らと同じ「人種」で!!」


「え……」


「行こうぜメイ!」

「俺らに戦いを教えてくれるんだってよ」

「強くなって父ちゃんと母ちゃんを探しに行こう!」

「う…ん」


カーテンを通り扉に手をかける

扉を開けると暴風が吹き荒れる、風の向こうに見えるのは武器を振り回す少年


「死ねぇ!!」


部屋中から聞こえるジェルミの声

部屋にうごめく大量のネズミが一斉に襲いかかる


「あれが…人種?」

メイは棍を回す少年を指差す


「お、妹ちゃん連れてきたか…なら」

なんと可愛らしい…シスコンになるのも納得…だが今は目の前のネズミを見なければ

細かい分裂がジェルミの得意技…でも単体が雑魚なら数なんていちでもおくでも変わんない

全て振り落とす


復活リザレクト・獄域 飛天回ひてんかい


「何…あれ」

音がなった瞬間それまで3本だった棍が幾本いくほんへと増え瞬間にネズミを叩き殺す

双子の瞬きする瞬間にネズミが全て消えていた

風圧で押し返される無数のネズミ


「魔法域は使えば使うほど体に馴染んで強くなる」

「だから強い弱いに関係なく魔法を理解し使い続けろ」

・・・

無反応


風圧で声が届いていない2人

「イオ…あの人何者なの?」

「さぁ?」

「さぁて…大丈夫なの」


「聞いてるのかお前ら」

!!

「君がイオの妹か…ふむ」

銀髪に潤んだ碧眼…素晴らしい

中々困り顔も可愛いじゃないか


「一回防いだぐらいでいい気になぐふぁ!!」


「話の邪魔すんな、殺すぞ」

俺が双子に話しかけているのに背後から汚ねぇ声で襲ってくんなよ

気が散る

・・・

どうしようか

このまま殺してもいいが…こいつ程ちょうどいい奴もいないのも事実

まぁいいか


「よし2人ともよく聞け」

「お前ら2人であのネズミを殺せ」


「はぁ!?」「え……」



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