表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
興味     作者: クジラ
3/6

興味 2 男性側

文化祭が近づいてきた。

僕は、文化祭で公演する。王子と姫の恋愛物語を描いた作品だ。

役は主役の王子役になった。だが、どうしてもラブシーンの感情移入ができず何度も先輩にダメ出しをされていた。

「あなたのことが好きです。」

「ダメだ。ダメだ。何だその気持ちの入ってない告白は!お前。恋したことないのか。こう、ドキッとしたり とか好きで照れたこととかもないのか!」


本番が近づくにつれて、先輩の口調は荒くなっている。


ドキッとしたこと...。 


すぐに彼女のあの笑顔が思い浮かんだ。そうだ。この気持ちだ。

「もう一度お願いします。」

「じゃあ、もう一度。王子の告白のシーンから。よーい。ハイっ。」

姫の顔が彼女と重なる。思わず顔が赤くなる。


「あなたのことが好きです」


その瞬間体育館中に甘い風が吹いた。


姫役の女子生徒はセリフを忘れて顔を真っ赤にして固まっていた。

「きゅ、休憩!良かったよ。次もこの調子でお願い。(ボソッ)スゲー破壊力」

最後なんて言ったかはよく聞こえなかったが、うまくいって良かった。でも、なんで彼女を思っただけでこんなにも上手にいったのだろう?


「あなたのことが好きです。」

この言葉が何度も頭で繰り返される。


そうか。興味を持ったでなく僕は彼女に惚れたんだな。


蝉の声がこだまする中庭で青年の恋が始まった。



自分の気持ちに気づいてからまともに彼女の顔が見れなくなった。

でも、彼女には彼氏がいるはずだ。思いを伝えるのはやめよう。心の中に留めておく。そう、決意をした。


文化祭1日目

僕は劇自体は2日目なので、クラス展示の係をしていた。1日暇するくらいなら仕事があったほうが良い。

仲の良い友達も模擬店などで忙しかった。

そもそも手抜きだろ。ポスターとか。誰も見に来ないだろ。周りのクラスは凝ったアトラクションなど考えているのに。係の人もみんな友達と遊びに行きたそうだったのでそれを促した。1人のほうが気楽だったからだ。

一人でクラスにいると、小柄で可愛らしい感じの少女が近づいてきた。

「あなたの展示はどれですか」

満面の笑みを浮かべながら尋ねられた。

「あれ」

自分のポスターを指さす。

「そうなんですか~!」

声のトーンが急に上がる。何がそんなに彼女の気分を高めるのだろう。

「とっても字が綺麗ですね」

など、やたらと僕のポスターをほめる。さらには、

「あなたってそのすごくかっこいいですよね。」

などと言ってきた。正直面倒くさい。僕は自分の容姿を言われるのが嫌いだったからよけいに。

「ずっと一人で案内されてるんですか。良かったら今から一緒に私たちのクラスのアトラクションやりに行 きませんか?うちのクラスのアトラクション二人一組で一緒にする人探してたんですよ。」

「僕がこの係を休んだらこのクラス誰も案内する人がいなくなってしまいますので。」

この返事なら当たり障りがないだろう。

「わかりました。」

勢いのある返事と共に少女は廊下へ駆けて行った。そして、僕のクラスの女子を数名連れてきた。

その中には彼女もいた。

「みんなに頼んだので行きましょう。」

そう言って僕の手を握った。

断る口実を完全に潰され行くしかなくなった。みんな笑顔で「行ってきなよ」などと言っている。

彼女もその一人だった。

そのあとはずっと、僕の中で悔しさと戸惑いとなんとも表現し難い気持ちが体中めぐっていた。

その時の彼女の笑顔は妙に頭から離れなかった。


文化祭2日目

本番

僕は、昨日の笑顔が忘れられなかった。

「あなたのことが好きです。」

王子最大の見せ場もなんとも情けないものになってしまった。

観客の女子生徒はキャーキャー言っていたが、今の僕にとっては不快以外の何物でもなかった。


本番後

体育館から出てくると写真撮影のため集まっていた。

今はあまり関わりたくなかったがお目当てはほとんどが僕なので断れず撮影した。

そして、最後は彼女と少女だった。一番見たくない組み合わせだった。

「 X (少女)と写真を撮ってもらえませんか?」

「いいですよ」

そうは言ったものの僕の頭の中は真っ白になっていた。

そして、撮影を終えると彼女はすぐにその場から消えていた。

「今日の舞台かっこよかったです。」

少女は本当にそう思っているのだろうか。

「ごめん。疲れたから休ませて」

僕は、その場から逃げ出した。


彼女には付き合っている人がいる。そう心に言い聞かせるしかなかった。


それからまた、しばらく視線を感じることに気づかなくなった。




感想やご指摘、質問など頂ければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ