the sky at sunset
夕陽の色に染まる空はとっても綺麗だけれども、どこか哀しい気持ちになる。
《the sky at sunset》
仕事で、どうしてもタクトに頼まなければならないことがあった。
遠くへ行かなければならないし、向こうでの滞在期間も五日と決まっていた。だから、どんなに急いでも最低六日はかかる仕事。
本当は、行かないでほしかった。
けれど、仕事に私情を挟むわけにはいかない。それに、そんなことしたくなかった。
私は、タクトにその仕事を頼むことにした。
それが、六日前の出来事。
早ければ、今日の夕方には戻ってくるはず。
一秒でも早く、タクトの姿を見たいから執務室のバルコニーから城門の方を見ているが、一向にタクトの気配は感じられない。
しばらく夕焼けを見ていたら、なんだか淋しくなってきてしまった。
一日の、昼間の終わりを告げる夕陽。もうすぐ夜が訪れる事を静かに、けれど明確に教えてくれている。
そんなことを考えてしまい、余計に心の穴を広げてしまった。
「……はぁ」
もう、何時間も待っている。
それなのに、タクトの姿は見えない。魔力すら、感じられない。
帰ってくるのは、今日じゃなかったのかもしれない。
六日くらい平気だと思っていたのに。全然、平気じゃなかった。
いつもすぐ傍にあったあたり前が、こんなにも恋しいものだったなんて。
これ以上待っていても仕方がないから、私は執務室の中へ戻った。
今日片付けた書類仕事を机の端によせて、自分の腕を枕代わりにして机に伏せた。
部屋の中に差しこむ夕陽の色が、やけに朱く見える。
暖かい色をしているのに、どこか哀しい気持ちにさせるものがあって。
沈んだ気分の今は、そんな色を見たくなくて、私はそっと目を閉じた。
Fin.
H24 9/29~11/17
…ひとやすみ…
「流した涙と流れ星」の次「full moon」の続きにあたるお話です。
久々に上記の二作品を読んでみたところ、この話が降ってきました。
淋しがりやなアヤのお話ですww
夕焼けを見ていると、ちょっと切ない気持ちになりやすいですよね(私だけかw)
タイトルの「the sky at sunset」は「夕焼け空」という意味です。
続く…………かもしれません。