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ご主人、田舎に帝政を作ろう! 威厳はお家からですよ!  作者: 七月たかなん


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ところで、此処に噴水が――無い! 作ろう!

 下手な考え休むに似たり。ということで、いつものルーティーンをこなしていく。


 朝、目覚めたら身支度を整えて家を父と共に出て、伯爵邸へ。

 貴族街と平民街の接続点には、各お屋敷に向かうための専用通路が用意されている。なんでも貴族とバッタリなんてのは騒動の元、だからだという(大抵は平民側が不利益を被るのだ)。


 そこまでの間、ツバメ屋と呼ばれる朝食専門のお店に寄っていく。朝起きると既に鳴いているスズメ、それよりも早く空を飛ぶツバメ、転じて平民街で一番早く開くお店、というのが由来らしい。

 ツバメ屋では日替わりサンドを2つ。というか、メニューはそれと飲み物ぐらいしかない。でも、空いてる時間とか安さとか、色々な要素があっていつも長い列が出来てる。

 まぁ、あれは店員のおばちゃんが面白いのも影響してるだろうけどね。


 お行儀とかは、礼儀が必要な場所で表現できれば良い。というのが父の考えらしく、ツバメ屋のサンドは食べ歩きだ。まぁ、どうせ周りは同じ様な平民しかいないし、職場に付いたらお仕事開始なんだからここしか時間はないのだ。今日のサンドは燻製ハムとサラダ、パンは焼き立て、最高だ!

 今日のサンドも美味しかった、昨日のキノコサンドも良かった、過去1の具はチーズしか入ってなかったのに今でも常連客からは伝説のサンドと呼ばれていて。そんな話を父としながら歩いていく。


 我らが主は伯爵様のお家柄。どうやら貴族の中では真ん中ぐらいの位置らしい。なのでお家も貴族街の真ん中辺り。

 男爵家よりは歩くけど、侯爵家よりはマシ、みたいな位置。いやー、貴族のお家って馬車前提の広さしてるからね。平民街を歩く時間より貴族街をあるく時間のほうが長かったりする。


 とはいえ、歩いていれば着くに決まっている。

 左手側の壁に、丸に四方階紋で伯爵家の色使いの物が出てくる。ここが、職場だ。

 使用人が使う入口から直ぐにある園芸師の小屋で仕事着に着替え。

 愛用のスコップを片手に、今日も雑草を殲滅するのだと意気込む。

 俺と父、他の3名と合流して前庭への入口へ。扉横にかかっている木の棒で扉を何度か叩くと、向こう側からドアが開かれる。

 伯爵家の見張り役が、こちらの顔と人数を確認し、それで前庭に入れるのだ。

 こういう検問みたいなことしないと、使用人通路から人が入り放題になっちゃうしね。


 というところでお仕事開始。俺の任務は、前庭の真ん中にある馬車通り横の花壇を見て回ること。

 管理されてる花壇なので、雑草が生えてるとめちゃくちゃ目立つ。それを根こそぎ引き抜いては、見栄え良くなるようスコップで土を整えていく。

 栄養たっぷりの土だからか、結構雑草が生えているのだ。引っこ抜いては穴を埋め、雑草を袋に入れてはい次ー。

 この作業、身長が低い自分だからまだ負担が少ないらしい。大人は大変だ。腰が……とよく呟いている。


 父は前庭に入ったところで、伯爵様の執事から声をかけられていた。

 何か話し込んでおり、取り敢えず自分は仕事しなきゃとその場を離れてきたのだが、昼になって園芸師の小屋に帰ってきた所で父も戻ってきたようだった。


「噴水、決定案が出来たぞ。午後はまずこっちの作業について説明する」


 手に設計図か何かの丸めた紙を持ってきた父。

 もう片方の手は、園芸師に支給される昼食が入っているだろう手提げのカゴ。


「まずは昼食を食っちまおうか」


 ◆


 作業の進捗などを話ながらお昼ごはんを腹に埋めていき、午後作業開始と共に父がテーブルに紙を広げた。

 そこにはやはり噴水の設計図が書いてある。正面から、横から、上から見た図が書いてあった。


「これ、結構大きいですね。まずは設置場所のレンガ剥がすところからスタートか」

「作業場所の確保もしなきゃならん。近くに置くと、馬車の通行を妨げるか」

「それらは一旦、生け垣の向こう側に隠すこととする。まずは、西方の生け垣を移動させることもしないとな」


 大人たちが今後の作業方針を話している。こちらはその様子を観察するだけ。こういう工事は初めてなので、取り敢えずは大人しくしておこう。

 だって、見栄えのために生け垣移動させなきゃいけない、とか分からんし。というか、生け垣って動くものなのか?


「それと、今回水路は?」

「そっちは大丈夫。伯爵様、どっからから魔晶を調達してきたらしい」


 魔晶、という父の言葉を聞いて、周りの大人たちが驚いている。

 そんな驚く物が?


「コルド、お前は前に興味ありそうだったから、魔晶使ってみるか?」

「使ってみる? 魔晶ってどういう道具なの?」

「あれ、前に説明しなかったか? 魔法だ魔法。あれを使うために道具が必要だって話しをしただろう。その道具のうちの1つが、魔晶だ」

「魔法!」


 魔法! まだ触るのは先だと考えてたけど、魔法の方が歩み寄ってきた!


アルバートとマルデア:コルドの両親。

伯爵家の園芸師を家業としており、アルバートと他数名で従事していて、アルバートはまとめ役もになっている。

なお、この2人の出会いには伯爵家と、そのお抱え戦力との話があるらしい。


ビルデモラン伯爵

 ディルディアード・ビルデモラン伯爵。とある主戦力を軸に、大陸随一の力を誇るディルディアード軍の長。

 この時間軸のもう少し未来に、戦功著しいとの判断によって、国王よりシュルテ山近くの領地を頂く。


魔晶

 魔法の簡易発動体。

 自由自在ではないが、完全固定の1効果しか現出させないため、効率が段違い。

 もちろん、複数効果を現出させる物もあるが、どちらが優れてるとかではない。

 噴水には水を出す効果だけで良いし、料理を発動体1つで作るなら複数効果のものが必要というだけ。

 道具の使い方は、しっかり考えよう。生かされるのも殺されるのも、選択1つなのだから。

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