祭りの後に。
「さてさて、縁もたけなわという所で。そろそろ終演の時間になりまーす♪」
あゆみのその言葉であゆなつ祭は終わりを告げる。
『えーーーー!!』
『今来たばっかりーーー!!』
観客席からはウィングぽんの終わりを惜しむ声が響く。
「はいっ!そう言うと思ってましたーー♪という訳でっ。今からすぺしゃる後夜祭ステージだっ!!いえーーーーーい!!!」
は……?
何言ってんのあゆみのやつ……。
台本にそんなこと書いてなかったじゃん。
なつやひなの顔を伺うと、同じくクエスチョンマークを浮かべている。
「それじゃ。事態を飲み込めていないシスターズの三人はそこの空いてる観客席に座ってくださーい♪」
あゆみに促され舞台から降りて観客席にうつるシスターズの三人。
それを見届けたあゆみはゆっくりと息を吸い込みウィング先生に視線を送る。
同時にとある曲のイントロが流れ出す。
ん?
……この曲って……。
そうさえが口に出す前にあゆみが満面の笑みでこう告げた。
「改めましてーーーーー!!今日のスペシャルゲスト・元祖人気子役の会津かえちゃま、どうぞっっ!!」
その言葉と共に舞台袖から現れたのは。
さえと全く同じ衣装を纏ったさえの半身。
いまだに病院で眠り続けているはずのさえの双子の姉。
この場に居るはずのない少女の姿がそこにあった。
「みんなー★ おっまたせー★ シスターズの末っ子、会津かえですっ★」
し、シスターズの末っ子ーーーー!??
突然元気な姿で現れたと思ったら何言ってんだ、あの馬鹿姉っ!!!
「それじゃ、聞いてくださいっ★ 会津かえWithポラリスの『なりあがり★シスターズ』!!!」
大音量で流れ出す音楽。
それはさえ達の曲で。
なつが作ったふりつけを、かえとあゆみとののは見事に踊ってのける。
その姿に観客たちのボルテージも最高潮に達する。
そんなかえの姿を見つめながら。
さえは思ってしまう。
この姉には本当にかなわないな……と。
そして。
あゆなつ祭は最高に盛り上がった熱気を残したまま終わりを告げた。
終演後、舞台の上で。
「で……いつから元気だったのさ、かえ?」
まだちょっと肩で息をしているかえにさえは声をかける。
「ん?ちょうど三週間位前かな……?目が覚めたのは」
ほうほう。
三週間前っていうと……あゆなつ祭のふりつけを覚えるのに忙しかった頃か。
そういやここのところ忙しくてお見舞いにもいけなかったしなー。
「いやー、さえがアイドル声優ユニット組んでるって聞かされた時は正直びっくりだったよ。あのひきこもニートのさえがねぇ……」
言いながらニマニマとかえは笑みを漏らす。
「う……うっさい。さえだってやりたくてやってる……ん……じゃ……」
顔を真っ赤にしてそう言いかけたのだけど。
からひながさえの手をぎゅっと握ってきたので言いよどんでしまった。
「あらあら。いつの間にかそんなに可愛い恋人まで。お姉ちゃんちょっと寂しいなー」
「寂しかったら、私がいるよ!! かえちゃま♪」
「はいはい。あほなあゆみはとりあえず置いておいて。まぁそういう事だから、これからよろしくね、さえ、なつ、ひな」
抱きつこうとするあゆみをヒラリと躱しながらかえは笑顔でさえ達に視線をおくる。
「は、はい。よろしくお願いしますっ、かえ先輩」
ちょっと緊張した顔のからひな。
「よろしく~、かえちゃん~……」
本当に嬉しそうに満面の笑みを湛えたなつ。
そして。
「……うん、よろしく。かえ」
涙を浮かべながら片手で顔を隠すさえの姿がそこにあった。
―――
「それにしても次女のさえ先輩の双子のお姉さんのかえ先輩がシスターズの末っ子って、何だか軽くゲシュタルト崩壊ですね……」
通販用のチェキを撮っている時、からひなが難しい顔をしながら囁いてくる。
「その辺はもう深く考えるとややこしいから考えないほうがいいぞ、からひな……」
「そうだぞ★ ひなお姉ちゃん★」
「……で。何で、かえはまだ猫被ってんの?」
「いや、素でやったらさえとめっちゃキャラ被りだろ? だからだぞ★」
「あっそ……」
もう突っ込む気も失せたわ……。
かえってこんな性格だったっけ?
長い事さえがひきこもニートしていた間に、かえとの素の性格は随分違ってしまっていたようだ。
はぁ……そりゃボケボケのなつはともかくあゆみにはバレるわ……。
もうどうにでもなれー……。
読んでいただきましてありがとうございます。
シスターズ真の四人目が登場です。
今後とも楽しんでいただければ幸いです。




