でびゅー?
『ひなちゃん、CDデビューするよ~』
は……?
CDデビュー?
『なりあがりシスターズ』の配信の打ち合わせをしていた日の事。
なつが突然そんな突拍子も無い事を言い始めた。
「……誰が?」
『私達が、だよー……、ひなちゃん……』
いやいやいやいや。
それはとてもじゃないけれど、無理だろう。
今のチャンネル会員数が何人だか分かっていっているのだろうか?
あのド天然妹様は。
シスターズのチャンネル会員数はまだ30人程しかいないというのに。
チャンネル会員数=CDの売上とまでは言わないけれど、ひなたちがCDを出したところで、50枚売れれば良い方だと思う。
それなのに、『CDでびゅー』とはこれ如何に。
「……やっぱりなつって馬鹿なの?」
『馬鹿は酷いよ、ひなちゃんー……』
『まぁ、なつが馬鹿なのは同意だけど、残念ながらCDデビューは事実だ。諦めろ、からひな』
もう一つのリモート会議の窓から、かえのため息交じりの声が聞こえて来る。
どうやらかえには先に話を通してあるらしく、ひなには全く拒否権もないようだ。
「念のために聞いておきますけど、それは決定事項ですか?」
『うう……私馬鹿じゃないよぅ……』
涙交じりで画面越しにこちらに訴えかけてくる。
『うう……』
訴えかけてくるなつを放置して、ひなはかえに視線を移す。
『あー……なんかなつの知り合いのサークルでCD出さないかっていう話になったらしい』
あー……サークル……。
なるほど……同人活動の延長か……。
そういうことなら得心がいく。
自分達でCDを自炊すれば50枚でも利益を出すことは可能かもしれない。
そう思いなおし、なつに視線を移す。
『とりあえず曲はできあがってるから、作詞しないとなんだけどー……』
ひなの視線に促されるように、涙交じりになつは言葉を紡ぐ。
『「は……?」』
今度はかえとひなの声がハモった。
えーっと……。
また理解を超えた事をド天然妹様がおっしゃったような……。
『おまっ。歌詞作るのかえたちなのかよっ』
『え? え? そう言わなかったっけ……』
『聞いてねーよ、この大馬鹿野郎っ!!』
画面越しにかえとなつが揉め始める。
『そもそも歌詞はそっちで用意してたんじゃないのか?』
『提供してもらったのは楽曲だけだよ~……』
『作詞なんてしたことないぞ、どうすんだよ!!』
『大丈夫大丈夫~……。歌詞は良い感じに書けば作曲の人がそれに合わせてくれるから~……』
それって作曲家さんが一番困るやつなのでは。
でもまぁそれでも良いかなとひなは思う。
自分は一切困らない、うん。
「まぁ……しょうがないんじゃないんですか……。もう拒否権無いっぽいですし……」
ひなは一つため息つきながら二人のいざこざを諫める。
『はぁ……。……そうだな……しょうがないか……』
かえも一つ大きくため息をついてひなに同意する。
『それにいい詞を書ければかえたちの人気も爆上げかもしれないしなっ!!』
いやいやいやいや。
流石にそうはならないだろうと心の底でツッコミをいれながらも、かえなら本気でそういってそうだなぁと思う。
まぁいいけど。
「で、今度の配信までに一旦持ち帰りって事でどうでしょう?」
『そうだなぁ……とりあえず曲のサンプル聞きながらそれぞれで、歌詞を付けてみるって事で』
『ほいほい。承知~……』
軽いなぁ……。
ほんとこの天然妹様は。
自分が何をしでかしたのか分かってないんだろうなぁ……。
そう思いながらミーティングの締めを行う。
「じゃあ、そんな感じでいきますか……」
その晩。
ゆっくりと、なつからもらった曲のサンプルを聞きながら作詞作業を進めてみる。
うん。
こんなの無理。
無理ゲー……。
そもそも生まれてこの方、作詞なんてやった事がないのだから。
とりあえず、なつかかえあたりに進捗状況を聞いてみよう。
そうしよう。
そう思いつつゆっくりと漫画の世界にどっぷり浸っていくひなだった。
読んでくださってありがとうございます!
CDでびゅー(同人)が決まったなりあがりシスターズ。
ブクマ感想等つけてもらえるとうれしいです。
今後ともよろしくお願いいたしますm(__)m




