さくし、あれこれ。
「こういう時は大抵、自分達の紹介とかそういう感じなんだよなー……」
「自己紹介……ですか……」
演劇の帰り道、オープンカフェに寄ってかえに作詞の事を相談する。
自己紹介……そう言われてひなは自分の自己紹介を考えてみる。
私はシスターズの司会進行長女の唐津ひな。
得意なことは朗読劇、好きなことは漫画を読むこと、ソシャゲでガチャを回すこと……。
うん。
碌なもんじゃないな……、特に後半部分はとひなは思いなおす。
「かえ先輩はどうなんですか?」
「かえかー……。かえにそれを聞いちゃうかー……」
虚ろな目をしたかえは自分のティーカップのコーヒーを無言でかき混ぜ始める。
あー……。
これはダメなやつだ、とひなはかえの言葉を聞かずとも悟る。
かえは普段からキャピキャピキャラでキャラ付けしている。
けれど、本当のキャラは暴言放言、何でもござれの奔放少女なのだ。
それを自己紹介しようものなら論理破綻してしまう。
キャラ崩壊も良い所だ。
そんな事なんてできるわけがない。
「まぁ、かえの場合は自己紹介は、無・理!!だな」
「ですよねー……」
「とりあえずなつの案に乗っかるのがベストじゃないかと思う」
「そうしましょうか……」
しばらくしてオープンカフェに浮かれた足取りでなつがやってきた。
そして。
「え……? 私? シスターズの皆の自己紹介の歌詞書いてたけど……」
「なーーーーつーーーーーっ!!!」
かえが鬼のような形相で、なつを睨みつける。
「そんなことしたら、かえ先輩が猫かぶってるのがファンの皆さんにわかっちゃうじゃないですかっ!!」
実際になつの書いた歌詞に目を通してみると、ひなはガチャ依存症の漫画オタクだの、かえはキャピキャピぶりっ子だのと、シスターズの個人情報が赤裸々と暴露されていた。
お?お?私達二人に喧嘩売ってんのかこの妹様は?
自分の事はさておいて、人様の悪口しか書いてないじゃない。
「こんな曲、歌えるかっ!! あと猫かぶりって言うな、からひなっ!!」
「あ、はい……すいません……」
ってなんで私まで怒られなきゃいけないのだろうか?
猫かぶりは猫かぶりだと思うのだけれど。
ひなは少し理不尽めいたものを感じながらかえに視線を移す。
「はぁ……どうするよ……?」
「どうしましょうかね……」
三人でしばらくそれぞれの飲み物をマドラーでかき混ぜながら考える。
「んー……それじゃあ、こんなのはどうかな……?」
言いながら、なつはピッと指を立ててニッコリと微笑む。
「『なりあがりシスターズ』の番組紹介、とか……」
「番組紹介って、どんなです?」
「たとえば、あいうえお作文のコーナーとか取り入れるとか」
「ふむふむ……」
「あとはー……私達は普段番組でこういうことやってますーってアピールできればいいんじゃないかな~?」
「おお……それは結構良い感じかもしれないなっ!!なつにしては良いこと言った!!」
「そうですね、なつ先輩の割には良いアイディアですね!!」
かえとひなは手を叩いてなつに賛辞を贈る。
「かえちゃんもひなちゃんも、私の事をなんだと思ってるの……」
「「天然のお馬鹿さん」」
ひなとかえの言葉が見事にハモった。
そして、ひなとかえは顔を見合わせ笑みをこぼす。
その様子をジト目でなつは見つめながら。
「はぁ……別に良いけど……。別に私をダシにしてもいいよ。私は私でひな×かえのカプが捗るから……」
ぶー、とむくれながらも、うへへへとなつはよだれを垂らす。
はぁ……なんでこの妹様はこう百合カプに持っていこうとするんだろうか?
そんなに百合が好きなら自分も百合百合すればいいのに。
なんならあゆみさんが余ってるから百合百合しちゃいなよ、べいべー?
とりあえずそんな視線をなつに送ってみたがどこ吹く風だった。
読んでくださってありがとうございます!
とりあえず歌詞の方針も決まったなりあがりシスターズ。
ブクマ感想等つけてもらえるとうれしいです。
今後ともよろしくお願いいたしますm(__)m




