樹海の沼と婆ちゃん
※9/21訂正
婆ちゃんの家に少年が遊びに行くと必ず言う事がある
『近くの樹海には入るんじゃないよ、底なし沼があって危ないから』
少年が「うん! 分かった」と言うと婆ちゃんは静かに少年に対して微笑んでくれた。
僕が中学生に入ると色々な苦痛が僕を苦しめた。学校では虐められ、家では除け者にされ、道を歩けば恐喝に遭う。自殺を考えた事も数え切れないほどあるし、何回も自殺しようとして失敗した。
だが、何であいつらが悪いのに僕が死ななくてはいけないのだろうか。僕は何も悪くない。
虐めた奴、恐喝をした奴、家族……
あいつらがみんないけないんだ! あいつらが悪いんだ! あいつらが死ぬべきなんだ!
僕の心は歪んだ、真っ黒に。
僕の嫌いな学校が終わり自宅に帰宅する。
「今日のご飯は?」
「……」
「母さん! 今日のご飯は?」
「うるさいな、あんたに作るご飯なんてないんだよ! 食べたければ自分で働いて稼いで、自分で買って食べな!」
母親がそう言い終わると僕の両手は彼女の首を掴んでいた。
気が付くと彼女は息をしていなかった。僕は両手を離して鏡に写る自分の顔を見た。僕は笑っていた。あぁこれでいいんだ、僕を苦しめるものが居なくなった。僕は間違っていない! 間違っているのは目の前の息をしていない女だ。僕は彼女をボストンバッグに詰め込み、婆ちゃんが行ってはいけないと言った樹海に向かった。樹海に入り沼を見つけると僕はアイツを沼に捨てた。
次の日、樹海の沼に捨てたアイツを確認しに行くと死体は無くなっていた……
それから僕を苦しめる奴はみんな殺して樹海の沼に捨てた。次の日確認すると必ず死体は無くなっていた。何人も殺したら、僕を苦しめる人はいなくなっていった。
ある日、殺人をする前から優しくしてくれた婆ちゃんから連絡があり、僕は久々に婆ちゃんの家に遊びに行く事にした。
「婆ちゃん、ただいま!」
婆ちゃんは僕の姿を確認すると僕に
「私に隠し事してないかい?」
「してないよ! 急にどうしたの婆ちゃん?」
「あんたぁ、昔から行くなって言っている樹海に入ってないかい?」
「見 た の……?」
「婆ちゃんが付いていくから、自首しよ」
(婆ちゃんもあいつらと同類か……)僕は婆ちゃんを無視して、キッチンに向かう――
『ザーーーーザーーーーザーーーー』
僕は婆ちゃんを引きずりながら、樹海に向かう。そしていつもと同じく沼に放り込んだ。
――次の日、死体は消えなかった。
今まで死体が消えていたのは?




