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特別編  「異空のサムライ」の艦船 レムリア編 その2

挿絵(By みてみん)

戦艦「レグナ‐ガーダ」級


 本来、レムリア本土近傍に接近する敵性艦隊を迎撃する雷撃戦隊を、強力な砲遁兵装を以て支援するための装甲砲艦として計画され、建造された艦である。雷撃戦隊との協働運用という戦術上の要求から、本級は同時期のラジアネス戦艦を凌駕する高速を付与されることとなった。

 14スカイインチ相当の口径を有する三連装主砲六基十八門という砲遁兵装は、レムリアの建艦史上最大の攻撃力を有しており、本級自体も三連装長空雷発射管四基という強力な雷撃兵装を有している。また、他のレムリア主力艦の例に漏れず、最大三十機の艦載機運用能力を本級は有している。射出した艦載機により敵戦艦の運動を掣肘し、本級を含む打撃/雷撃戦隊により敵戦艦部隊を撃滅するというのが、本級就役時のレムリア艦隊の戦術構想であった。なお、本級はその当初より16スカイインチ相当の大口径砲への主砲換装を想定して設計されており、換装が成った場合は16スカイインチ連装主砲六基、計十二門を搭載する艦となる筈であった。


 戦艦としての攻撃力、装甲、速力のいずれにおいても優秀な性能を発揮した本級であったが、ラジアネスとの戦いが始まり、戦域が広範囲に及ぶに至り、想定外の欠陥を露呈することなった。長期に及ぶ艦隊行動に必要な航続力を、本級は有していなかったのである。

 応急的な非常手段として、巨大なカプセル状の増加燃料タンクを本級は搭載し、行動距離の拡大を図ることとなった。居住性の悪さもまた、長期の作戦行動の際に露呈した問題点のひとつである。本級は種別上は戦艦でありながら、居住区の狭隘さから定員分の寝台を最後まで設置することが出来なかった。もっとも、この点は本級に限らずレムリア艦隊の全戦闘用艦艇に共通した問題であり、むしろレムリア艦の「伝統」として兵員用寝台一つを兵二名で共有するという慣習として、この問題は半ば諦観と共に受容されていたものであった。当時のレムリア軍兵士の隠語に、下士官に昇進することを「寝台持ちになる」という表現が存在していた程である。

(喩え下士官以上ではあっても、艦によっては寝台を共有することがあった)


 この問題は、対空戦闘の激化に伴い対空戦要員が増え、搭乗定員が拡大するに従い、深刻な問題として顕在化することとなる。本級の場合、航空機搭載区画の一部を兵員居住区画に改造して状況の変化に対応しているが、対空砲用の弾薬庫もまた併設されることとになったため、この決定は一般の下士官兵たちにはあまり歓迎されなかったのであった。


挿絵(By みてみん)

巡航艦「レーゲ‐ズファウラー」級


 「レーゲ‐セルト」級と並行して計画され、建造された巡航艦。当初は戦時生産型の試作艦として一隻のみが建造される予定であった。「セルト」級に比して内部構造が簡略化され、工数及び建造費の抑制を企図したところに本級の建造意義があったようである。

 内部構造の簡略化は、本級の航空機搭載能力に余裕をもたらした一方で居住性もまた改善された。これは、艦首固定式の空雷発射管の廃止が実施されたことも大きい。その一方で生産性の向上を図るべく新開発の戦時生産型機関を採用した結果、機関出力が「セルト」級よりも低く、その分加速、巡航性能において「セルト」級よりも劣ることとなった。ただし当機関は燃料消費効率において優れ、その恩恵として本級は長大な航続距離を有し、それを生かした船団護衛任務、交通破壊任務において戦果を挙げている。


挿絵(By みてみん)

駆逐艦「レーゲ‐ザラ」級


 後述の「ゼタ」級の次級。「ゼタ」級よりも機関出力が向上し、砲遁兵装が強化されている。

 本級は単装速射砲八基という、「ゼタ」級の倍に及ぶ砲遁兵装を有する。「ゼタ」級の運用経験から速射砲は広い射界が確保されており、同時投射し得る弾幕の数だけではラジアネスの駆逐艦に匹敵した。砲そのものの性能はラジアネスの「ダコマ」級よりは優秀であり、空雷兵装も充実しているため、本級の登場は「レギュリアス」級以後のラジアネス軍駆逐艦の設計に少なからず影響を与えている。

 本級も「ゼタ」級と同様に航空機の繋止能力を有するが、専用の滑走装置を有する点、艦内に3、4機を収納可能な空間を確保している点において「ゼタ」級よりも構造面の進歩が見られる。


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

駆逐艦「レーゲ‐ゼタ」級

上は通常型。下は重雷撃艦型。航空機繋止装備を全廃し、旋回式三連装長空雷発射管を搭載している。


 レムリア軍の主力駆逐艦。ただし対ラジアネス戦開戦段階ではすでに旧式化しつつあった。正当派の駆逐艦というよりは、空雷艇の延長線上にある艦艇という性格が強く、駆逐艦と称するには余りに過分な空雷兵装が、そのことを物語っている。


 本級は艦首固定八門、旋回式三連装一基の長空雷発射管、連装短空雷四基という強力な雷撃兵装を有している。これは、長空雷によって敵艦隊に先制、その艦隊運動を掣肘し、接近しつつ短空雷を以て攻撃、離脱するという雷撃戦術を想定したものである。一方で砲遁兵装は単装速射砲四基で、ラジアネス軍のダコマ級駆逐艦に砲数で劣るものの、口径と射程において勝っている。


 次級の「ザラ」級が就役を開始するに及び、一部の「ゼタ」級が「重雷撃艦」に改装されている。航空機搭載設備と短空雷を全廃し、旋回式三連装長空雷発射管四基を搭載。本型一個戦隊を以てラジアネス艦隊主力の前路に一斉投射し、艦隊決戦に先立ち敵主力を暫減する効果が期待されていた。(全艦の改装が終わり、戦隊が編成されたのがアレディカ戦役の直後で、開戦には間に合わなかったことになる)

 「重空雷艇」という別称の通り、本級の操艦指揮所は艦首部に所在しており、本級は主、副操艦士二名の要員が舵輪を握り操艦する方式を採っている。(当初は艦長が主操艦士も兼ねていた)


 レムリア軍他艦艇の例に漏れず、駆逐艦もまた艦載機運用能力を有しているが、本級においてはあくまで「露天繋止」の範疇においてであり、給油、弾薬の補給以上の整備は行えない。



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