9 空の旅は快適…?そして王都へ
アンバーくんの家の使用人さんたちに見送られて私たちは王都へ向かって飛び立った。
レオルは空を泳ぐように長い尻尾を左右に振ってどんどん高く上っていく。
両脇にある窓からは雲ひとつない青空が見え、下を覗くと深い森や険しい山々、その間に所々町があるのだろう。
土の色が広がっている箇所がまばらに見える。
飛竜のレオルに取り付けられた私たちが乗っている車の中は意外と広く、ゆったりと座れるボックスシートのようになっていた。
ちなみに、私の隣は有紗で正面にアンバーくん、対角線にシャロッツが座っている。
「ところで、気になっていたのですが、恵梨香様はベルモア卿ととても仲がよろしくなったようで。……昨晩、何かあったのですか?」
急なシャロッツの指摘に思わずむせたアンバーくんはあわてて否定する。
「な、なにもないぞ。なんだいきなり!」
「何もないことはないでしょう。恵梨香様は今朝から、急に、ベルモア卿を、アンバーくんと、呼んでいるではありませんか!」
「恵梨香ちゃん、なんの話?」
レオルの件が起きたときいなかった有紗はキョトンとした顔で私に聞いた。
「有紗様、実はですね。先ほどから恵梨香様はベルモア卿のことを家名ではなく、名前の方で呼んでいるのですよ。そして、ベルモア卿は恵梨香様に危険が迫ったとき、『恵梨香!!』と必死になって助けに行こうと…」
「シャロッツ、いい加減にしろ!……あれは、そんなんじゃない。恵梨香が食われると思って焦っただけだ。シャロッツが考えているような感情からじゃないぞ。違うからな!」
そういうとふい、とそっぽを向いて窓から外を見下ろした。
金色の髪の間から見える耳が、なんとなく赤くなっているような気がするが、気のせいだろうか。
「ベルモア卿……」
はぁ、とシャロッツはため息をついて首を横に振った。
「恵梨香ちゃん、何があったの?」
状況が飲み込めていない有紗に先ほどのレオルの件について説明した。
「え!?恵梨香ちゃん、大丈夫だったの?」
「うん。レオルかわいいよね!王都に着いたらもう一回頭撫でられたらいいな」
私がエア撫でで、空中で手をなでなでしていると、皆なぜかひきつった笑顔になっていた。
「恵梨香様は、大変……その、生き物に対する愛情があるのですね……」
「ああ、しかしものには限度がある……。できれば、少し……いや、かなり節度を持ってもらいたいものだが………」
「恵梨香ちゃん、昔から動物とか昆虫とか、なんでも好きでしたから。そういう性格といいますか……」
なんだかため息だらけになったこの空気の中で、1人だけウキウキしながら、思ったより揺れの少なかった空の旅を終え、私たちは王都へとたどり着いたのだった。
やっと王都につきました!
これから王さまとか、他にも色々、偉い人に会います。
2人とも頑張って!
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