26 みんなの秘密。
どうやら私はまたもやらかしてしまったたらしい。
皆が黙っている中、カルラがため息をついた。
「やはり、有紗とは別にしておいて良かったな」
「なに?どういうこと?さっきの説明にはこんな透明になるなんて言ってなかったよね」
「透明……。理論上は透明になるとは言われていましたが、本当になるとは……」
シャロッツが信じられないという顔をしている。
「恵梨香様の魔力の量はおそらくこの世界で一番多いと思われます……。この検査薬が透明になるなど、今まで記録にありません。……恵梨香様、この事はここにいる3人と国王陛下、アディック卿、ダチェットの3人の秘密にしましょう」
「え、どういうこと……」
「恵梨香、今日有紗を聖女として国民に宣言する。その聖女より同じ異世界から来たとはいえ、闇の魔力を持つ恵梨香の方が魔力を大量に持っているのは要らぬ災いを生むやも知れん」
アンバーくんのいうことが、何となくわかった。
私は有紗と争うつもりなんかない。
けれど、周りは違うということだろう。
聖女より魔力が多いなんて、争いの火種にしかならないということだ。
有紗はずっと、お姫様とか勇者とかそういうのに憧れていた。
こっちに来てから、すごくイキイキして楽しそうだ。
私は有紗の好きなことを邪魔したくない。
私が黙っているだけで、それが叶うなら簡単だ。
「わかった。いいよそれで。有紗に隠し事するのはちょっと気が引けるけど、それで丸く収まるなら」
私がそういって笑うと、アンバーくんもシャロッツも笑顔で応えてくれた。
そこにわざとらしい咳払いが入る。
「だがシャロッツ。先ほどの話には間違いがあるぞ」
「な、何かありましたか、カルラ様?」
「ここにいるのは3人ではない。4人だ」
「あ……。も、申し訳ありません」
「ふん」
ふんぞり返るカルラにペコペコと謝り続けるシャロッツの姿に、私はアンバーくんと顔を見合わせて笑った。
それから私の公に発表する設定を相談した。
私の魔力適性は、闇と金と火の特性持ち。
魔力の量は赤の澄んだ色ってことになった。
私は貴族の養女になって身分を保証してもらうことになるそうだ。
と、ここまで話したところでダチェットくんが私の部屋に飛び込んできた。
「っもー!あんたら何勝手にやってんだ!聖女の方先に片付けてから行くって言ったろうが!なんで勝手なことしてんだよ!」
「おや、遅かったのでお手伝いをと思いまして」
「ったく」
「こちら恵梨香様の検査薬です」
「マジでこういうのやめてくれよ……って、これ何?水?」
「いえ、透明になりました」
「はぁああああ!!ッマッジで!?マジで、透明!?ほん、これ……。おいぃぃいい!本当になんで勝手なことしてんだよ!俺も見たかった!ウソだろ?透明?マジで?なぁ恵梨香!この目で確かめねぇと嘘かもしれないから、もう一回やってみてくれねぇ?」
ダチェットのあまりの興奮ぶりに思わず固まっていると、急にガシッっと手を捕まれてビクッとなった。
そのダチェットの手をアンバーくんがはたき落とす。
「だめだ。恵梨香の指にあまり傷をつけたくない」
「そこをなんとか!」
土下座しそうな勢いで頼んでくるダチェットに困惑していると、私とダチェットの間にカルラが割って入る。
「おい、我の恵梨香に不要な傷をつけるというのか?」
カルラににらまれたダチェットの顔に恐怖が走った。
「じ、冗談です……。すんません」
落とした肩のしょんぼり加減に、ちょっと罪悪感を感じた。
更新遅くてすみません。
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