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56話

よろしくお願いします

「さすが、魔王を退けてきた神の使者ですね」

美羅依を見下ろしてカグエリルは言った。表情は笑顔だったが、美羅依を見つめる瞳は焦りを浮かべていた。思っていた以上に彼女の能力が高いことに舌打ちした。


厄介な能力だな。


彼女は言っていた。神の能力を取り戻したと。いったいどういう意味なのか。ここにいるのは神から能力を受け継いだだけの人間だったはず。

「私を甘く見ないでと言ったわよ」

美羅依は宙に浮いているカグエリルを見上げて言った。


そろそろ私の正体に気付いていしまう頃ね。


少し焦りの気持ちを抑えながら新たに手にした光の糸を四方に向けた。その先では悲鳴が上がる。人に寄生した魔物達が人から引き剥がされていった。

「さすがに一筋縄ではいかないようだな。神よ」

カグエリルは思い至ったことを口にした。もう一つの可能性、神自身が転生した姿。

「やっぱり魔王軍の頭脳とまで言われた将軍だよね」

美羅依はため息をついて苦笑した。神の能力を取り戻した今なら彼の能力もわかる。一筋縄ではいかないことも、一人では太刀打ちできないだろうことも。神の能力を取り戻したとはいえ、もともと本来の能力は半分以下しか持ち合わせていないのだ。全力を持とうとするなら分けた能力を取り戻し、分けた彼らから能力を奪うしかないし、人の姿は消える。それだけは決してしたくない。仲間だから。

「神も地に落ちたということか。まさか、人に転生してまで人を守る必要がどこにある?」

カグエリルは取るに足りないと思っている人を蔑みこそすれ、敬い、助けようなどと思ったことなど一度もなかった。だから神が人を助ける意味も、魔族に狩られる家畜のような人にかける情けも持ち合わせてはいなかった。

「あなたのような魔族がいるから、あそこは良くならないのでしょうね」

美羅依は大きくため息を零した。どうしても相容れない。

「だいたい、天界が人界に手を貸したからこのようなことになったと思わないのか?人界は魔族の家畜を育てるところだったはずだ」

カグエリルはずっと思っていた疑問を口にした。魔界では常識なはずのこの意識は普通の疑問だった。天界に手を出さない代わりに人界を創ったのではなかったか?なぜ、人に考える能力を与えたのかがわからなかった。

「そもそも、その考え方が間違っているとなぜわからないのかが、私にはわからないわ」

考え方がまるで違う。天界は別に魔界のために、間に人界を創ったわけではない。もともと三つの世界があったのだ。天界はそれを認識していたし、見守ってもいた。神々や魔族のように能力もなければ命が極端に短い世界。その中で育まれる営みの行く末を見守っていたのだ。だが、いつしか魔族がその世界を支配し、家畜のように人を狩っているのに嫌気がさして人にない能力を渡した。自分の能力が低下し、分けられることなんて別に気にも留めなかった。それほどに慈しみがあったのだ。

「私が神だとして、あなたはどうするのかしら?」

ありがとうございました。

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