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32話

よろしくお願いします

「魔王様」

 魔王の後を追って声をかける者がいた。

「なんだ?」

 少し煩わしそうに振り向いて魔王は声の主を見下ろした。

「魔王様、カリス将軍ですが、無事帰ってこれますでしょうか?」

 にたりと笑うこの青年を魔王は最初から胡散臭い奴だと思っていた。優秀すぎるその手腕をとりあえずは利用しているが、信用など全くと言って良いほどしてはいなかった。

「さあな、できなければ、あやつは帰ってこない」

 魔王はそれだけ言うと先を急いだ。

 今回の事についてもけしかけたのはこのカグエリルの仕業が濃厚だったが、証拠がない。カリスも自分一人で行ったと思っているから始末も悪い。大体、カリス一人で自分の結界を切り裂くことなどできないのだ。この世界で自分に唯一魔力で勝るとすればそれはカグエリルだけだった。

「…あいつだけは油断できない」

 魔王は一人呟いて、王宮の広い廊下をゆっくりと進む。闇に包まれたその王宮は明かりもほとんどなく、所々に置かれた松明や魔力を使って灯された光球の明かりのみが足元を照らしていた。外は闇に包まれ、異形の者達が跋扈する世界。昼も夜もなく、光は全く届かない世界だった。

 魔王はその世界を支配する唯一の存在である。

 だからこそ、求めなければならないものがある。誰にも言えないその求めるものを手にするまで、魔王の戦いは果てしなく続いているのであった。



九章 カリスの罠


 時空を渡って魔王が言うあちらの世界に辿りついたカリスは今まで見たことのない光に戸惑った。先に来ていたリスキートと合流して、一息つく。

「こちらでは我らの姿は異形の姿をしている。美菜のような生き物たちが世界を支配している世界だ」

 リスキートに言われたとおり、見ていると美菜のような姿かたちをしている者達が忙しなく動いていた。その者達は光の中で活動していた。闇の帳が落ちる頃には人の姿はまばらになる。夜に活動する者もいるようだが、少なかった。

「この中から探し出すのか」

 最初から挫折してしまいそうになる。似たような生物がうようよしている中でどう見つけろというのだろう。

「安心しろ、大体調査済みだ。私は探索しかできぬからな。後は任す」

 カリスにそう言い置くとリスキートはさっさと自分達の世界に帰ってしまった。魔王に呼ばれているのだそうだ。

 カリスはこの世界になじむべく、宿主を探した。自分の能力を落とすことなく、自分を支えられるくらいの魔力のような能力を持っている者を探さなくてはならない。下手に宿主を選ばなかったことによって暴走したり、宿主自体に負荷がかかり、死んでしまうことになるから慎重にならざるを得なかった。

 怒り、憎しみの感情を多く持っている者ほど宿主になりやすかった。

 人込みを避けるようにして路地を抜けると遠くに人の流れが見えた。あちらは繁華街なのだろう。

「宿主になりそうなものはなかなか見つからないな」

 これでは魔王に顔向けできない。

 そう思っていた時に目の前に俯き加減の少女が通り過ぎた。なんて格好の餌食。

 カリスは迷うこともなく、その少女を襲った。宿主とするために……

 少女の姿をしたカリスは感触を確かめる。人の身でありながら何と言う能力の持ち主。

「これで魔王様に一歩近づける」

 さっきまでの俯いていた少女の面影は全くなく、黒い影に覆われたような気配を纏っていた。

ありがとうございました。

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