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行き先

 そうして了承した手前乗り込まない訳にはいかず、一瞬躊躇はしたものの率先して私が乗り込むと、次いで私が言うならばとシルカが乗り込み、ノア・ウィッツ・カッフェルタとコンラッド・クーンズが乗り込んだ。

 馬車はドアが閉められた所でゆっくりと動き出し、城へ向かうためにぐるっと大回りで反対方向へ向きを変えようとしていた。


 行きの馬車よりも狭い上に気まずい中で身も心も心持ち小さくさせながら、此方の様子が見えない程度に汚れた窓から目を細めて外の様子を伺う。

 外では変わらずルルアたちの馬車がある周囲をドーナツ状に囲んでいる人々が集まっているのが見える。


 ……私が言うのも何だが、万が一に備えてルルアがガチギレする前にその場から去った方が良い。


 ルルアと言うよりは、ルルアの怒りに巻き込まれるかもしれない周囲の人が心配で群衆の隙間からルルアがキレてないか目を凝らして姿を探してみるが、馬車の中にいるのか、はたまた馬車の陰になっている所にいるのか分からない。


 見えても見えなくても怖いけど、見えない事の方が動向が追えなくて更に怖い。ていうか、ホントに逃げよう?悠長に見ている場合じゃないからみんな早く逃げよう!?


 そうして、そわつきながら眺めていると、やがてこちらも馬車が方向転換を終えたことで完璧に群衆ごと見えなくなった。

 それでもあちらに意識を持って行かれて窓の外を見続けていると、徐々に建物の日陰に入って行き、そのままボーッと外を見ていると、汚れた窓に映る自分にハッとして思わず我が目を疑い眉を寄せる。


 ……いや、気のせい、か?でも此処……此処のこめかみの所、なんか薄くなってないか!?えっ!こここここ、此処、いつもより触った感じが地肌に触れる感じがする……っ!


 遂にストレスが頭皮に来て禿げてきたというの……ッ!?と恐る恐るそっとこめかみの髪の下に指を潜らせるようにして地肌を触りながら、窓を鏡代わりにこっそり状態の確認をする。


 え、この辺、毛根が死滅した?いや、ストレス性の一時的な禿げ……か?


 音もなく呟きながら無心で右側頭部を触っていると、日陰から抜けて差し込む光に誘導され、青白い壁とターコイズブルーの屋根が並ぶ家屋の向こう側にあるイデアの城がほんのり滲む視界にぼんやり入ってくる。

 急に禿げたと言う衝撃の事実からのショックが抜けきらない状態の虚ろな目で、城だぁ……と眺めていると、そこでふと何で城が見えるんだ?と疑問が浮かぶ。


 民家と比べれば飛びぬけて大きい城はどの角度からでも見えるだろうが、現在進行形で城に向かっているのに馬車と並行して城が横に見え続けるのはどう考えてもおかしい。

 おかしい……けど、城壁の所で結構目立ったから裏口から入る的なアレなのかもしれない。


 疑うのは良くないと思い直して、しばらく進むがまま流れるがままを見守って行った結果……。

 どれだけ進んでも城には近づかないし、なんなら城はちょっと後ろの方にあるし、何故だか馬車は一台ギリギリ通れるくらいの少し陰った細い路地を通り始めた。


 なんでだ。何処に向かってんだコレ。


「……何処に行くつもりで?」

「ニコラス・レインの通っていた病院に向かっております」

「……」


 我慢できずに問いかけたらそう言われて頭にハテナが浮かぶ。


 ……その話はいつ頃された話なのだろうか。

 てっきり城に戻って今後の話し合いでもするのだと思っていたんだけど。いや、城に戻るとも話し合いをするとも言われていないけど……え、違うの?


 そんな事を考えていると、進んでいた馬車は着いたとばかりに路地の途中で無慈悲にもゆっくりと停車した。


 此処は……病院じゃ、なくない、か?


 同じようで違う造りの家がズラッと並んでいる中で、今停まっている家の場所の扉近くにはゴミ箱が置かれており、家の壁には立て掛けるように子供の濡れた靴や小さなバケツなんかが干されていた。

 その対面側も同じような家が鏡合わせのように並んでおり、此方も同様にいくつかの家の扉の近くにゴミ箱などが置かれている。


 明らかにこの通り、民家の裏手口である。


 しかも目的地らしきこの家、普通に生活音と共に床に散らかるオモチャについて子供を怒る母親の声が聞こえている。


 民家、では?そのお隣も民家で、そのお隣も民家で……え、民家では?


 まさか、病院じゃない所に連れて来られ……いやいやいや、そんなそんな!もしかしたら、ちょっとトラブルがあって止まってるだけかもしれないじゃん!


 またしても疑うのは良くない、と再び走り出すのを待っていたが、願い虚しく馬車のドアは開かれ、ドアを開けている御者の男性が到着いたしました、とドアを開いて私たちが降りるのを待っていた。

 え?と困惑している私を余所に、ありがとうとノア・ウィッツ・カッフェルタが御者に声をかけてコンラッド・クーンズと二人して当たり前のように馬車から降りて行き、そして降り立ったノア・ウィッツ・カッフェルタがコッチを振り返った。


「どうぞ、此方です」


 ……此方でした。


 そ、そっか、民家風の病院だったか。考えが及ばなかった。お母さんらしき女性の怒声と走り回る子供の足音がするけど、むしろソレ以外の声はこの家からは聞こえないけど、うん、あるある。

 客が来るんだからオモチャを片付けな!とか言うのはきっと医療業界の新種の用語に違いない。たぶん、次の患者さんがいらっしゃるから診察室を片付けて欲しいという隠語だ。うん、きっとそう!じゃないとおかしいもんね!病院だもんね!病院に行くって言ってたもんね!知らなかったけど。

 それに、裏口に来たのだって、こんな格好の人たちが表から堂々と入って来たら町の人がびっくりするからだよね!そりゃ裏から入った方が良いよ!町の人への配慮だよね!


 などと無理やり自分を納得させる為の言葉を頭の中で連ねていると、そのまま馬車の中でジッとしている私に焦れたのか、シルカに行くッスか?とこっそりどうするかと声を掛けられてしまった。


 一瞬、行きたくない気持ちが沈黙を生んでしまったが、諦めてコクリと頷き返す。


 今更だが、現在私はカッフェルタ側の人間から命が狙われている立場で、身の安全を守るためとは言え誘拐(無許可で)されている最中である。普通にそんな色んな所に行かない方が良いと思うのは私がおかしいのだろうか。


 しかも、加えて今の私。

 ニコラス・レインとうちの人たちが本人と話すのが難しそうだなと思ったから、行ける可能性の高い私の役目かと思って頼んで合わせてもらったんだけど、無言を貫いていたら予定外の設定が付加ちゃってる状態だ。


 そう、今の私は、みんなご存じのリュミナス・フォーラットの状態にプラスして、体の弱い貴族の子女という別人格まで背負っている状態である。

 何て言うか、この二人がとてつもなく相性が悪い。

 口数は少ない上に冷徹やら冷酷やら言われるリュミナス・フォーラットと、コーデル家の病弱でか弱い深窓の令嬢シルビア・コーデル。人物的に相反し過ぎている。

 リュミナス・フォーラットと言う体裁を守るのであればか弱くは居られないし、かと言ってシルビア・コーデルになろうとするのはリュミナス・フォーラットではない。

 終わってる。

 何と言うか、誰かに成りすますという行為が致命的に向いてないんだよ、このリュミナス・フォーラットって人!いや私だけどね!みんなのイメージ戦略が私を苦しめて来る!


 ま、まぁ兎に角、ノア・ウィッツ・カッフェルタのお蔭で断片的にだが私が得られた情報をミレットたちに落とせば、ミレットたちが探ってくれるだろうなと思っているからこそ、私が行かなくても問題はない気がするのだが……。


 でもね、ただ……ただねっ!私たちが降りるのを御者の人とかノア・ウィッツ・カッフェルタたちが、当然降りて来るモノだと思って下でずっとコッチ見て待ってるんだよ!


 目的地知らなかったから行く行かないとかの問題じゃなかったし、完全なる不可抗力で連れて来られただけだから、断る権利は全然あるんだけど。

 この病院に来たのって、ニコラス・レインの時に私が彼と話しが出来なかったから、絶対にカッフェルタ側がこっちがこうしてくれたら良いのにって思ってそうな事を先読みしてくれた結果、なんだよね?多分。


 正直、全然思ってなかったし、有難迷惑ではあるし、嬉しくはない。地獄の空間が脳内で勝手に再生され始めて心が羞恥心で痛くなり出す。


 馬車から降りて相手を待ってて、え、行かないけど?とか言われて、あっ、ってなって、赤面しながら馬車にいそいそと戻って、恥ずかしい空気の中でなんとか空気を平常に戻そうと別の話題を一生懸命振るけど失敗に終わって……気まずい空気のなか一緒に帰宅することになるんだ!


 想像で勝手に羞恥を感じながら、泣く泣く告げた私の降りて良いと言う返事を受けて、シルカが分かったッスと真剣な顔で周囲を警戒しながら先に降り、辺りの安全を確認し終えたシルカに安全だとの合図を受け、内心行きたくないと言う泣き言を押し殺しながら重たい足を引きずるようにゆっくりと私も馬車から降りる。


 トロトロとした動作で私が十分に馬車から離れたのをしっかりと目視して確認した御者は、速攻で御者台に乗り込むと、では、とだけ残して、行きの時とは違い、細い路地だと言うのに車体をガッタガッタさせながら去って行った。


 はやい。

 え、帰るの早くない?え、帰りは?此処で待っていてくれないの?

 帰り道にこんな派手な格好して町中闊歩してたら格好の餌食だぞ。隠れながら城に戻るの?隠れられる?コレ。


「此方で着替えを用意しています」

「着替え?」


 去って行く馬車を見送りながら帰りの心配をしていると、そう言ってノア・ウィッツ・カッフェルタはすぐ側のドアを示した。


 何、着替え?急に?病院じゃないの?病院の話も聞いてないが着替えの話も聞いてませんが?


 疑問に答えてもらうより先に、示されたドアをコンラッド・クーンズが5回ノックし、しばらくしてノックされたドアがゆっくり開いた。

 エプロンで手を拭いながらドアを開けて現れたのは、目元が少しキリッとしていて体格はふっくらと丸みを帯びた……どう見ても家事の最中のお母さんである。


 ……人ん家じゃん?服屋さんでもなさそうじゃん?


 女性は私たちの顔ぶれ、と言うよりは私の顔を確認しヒクリと片眉を上げるも、直ぐにノア・ウィッツ・カッフェルタに視線を移し、腕を組みながら気安い様子で話しかけた。


「……悪いが片付いてないのは許してくれよ?」

「いや、こちらこそ急に済まないディエナ。リュミナス殿、彼女は私の部下でこちら側の者なので安心してください」

「部下?」

「ようこそリュミナス・フォーラット。戦場外でお目見え出来る日が来るとは思いもよらなかったよ。……まぁ、アンタは戦場に夢中でアタシの事なんて眼中になかっただろうけどね」

「ディエナ!」


 む、夢中?

 いや、ある意味目を皿のようにして戦場を見ているから夢中で合ってるけど……。絶対に私の考える戦場に夢中の私と、彼女の考える戦場に夢中の私では認識が違う気がする。


 私と言う人物への恨みから来るであろう殺意のこもった視線が、ノア・カッフェルタの部下と言う女性から私に向けられると、私が何かを言う前には横にいたシルカが唐突に体を捩じ込むようにして、私の前にグイッと入り込んで来た。


「おばさん、誰に殺気飛ばしてんッスか」


 そう言って私から彼女を離そうと、体が後退する程の勢いでグイッと押し退けるようにシルカに入って来られた私は、筋力がなさ過ぎてフラッと体が後ろへ傾き転びそうになっていた。

 しかし、自然と下がった左足のヒールでガッ!と石畳の細い溝に引っかかりながらヒールが折れんばかりの強さと根性で踏ん張れば、多少バランスを崩したものの何とか転ばずに済み安堵する。


 あ、っぶなかった!


 ビックリして心臓がドクドク早くなるのを感じながら、右足も後退させて足を揃えて分からない程度に少し斜めになった身体を真っすぐに立ち直し、捻った足元に視線を下ろしてスカートで隠れている足首の無事をこっそり確かめる。

 カッカッと踵を鳴らして高そうなヒールが折れていないか確かめ、自身の足の様子を確かめるが、変な風に捻った足首が痛い。あと、この細身のヒールが履き慣れてないから普通に足が痛い。


 足の小指やら何やら色んな角度から足が痛い……と思いながら、再びスッと視線を移して彼女と目を合わせると、目が合った途端、急に息が詰まったかのように苦しそうにハッと短く息を吐くと顔を青白くさせて降参とばかりに両手を上げた。


 え?何?


「……悪かったよ。戦場でも女神様に直接相対したことがなかったから、ちょっと冷酷な女神様ってのはどんなもんか知りたくてさ。……だが流石だね。アンタと視線が合った瞬間死んだと思ったよ。その殺気、噂通りってとこだね。坊主も女神さんも試して悪かったね。入んな」


 さっ、え?目と目が合った時に死んだと思った!?ど、どうして!?


 足痛い……とかしか思っていなかったんだけど……。私の顔面が終わってるばかりに足が痛いと思ってる顔が相手に死の恐怖を与えていたってこと!?どういうこと!?どういう状態の目だったの私!私の目から何が出てるの!?


 しかし、そう言ってはいたものの、あまり堪えていない様子で困惑している私に軽い調子で謝罪の言葉を告げると、彼女は顎をしゃくって中に入って行った。


 つえぇ。


 もしかしたら、彼女なりの緊張を解す為のブラックなジョークだったのかもしれない。

 そう思い直して、よかったと安堵の溜息を吐くと、聞いたノア・ウィッツ・カッフェルタは私の機嫌を損ねたと思ったのかすぐに私に対して頭を下げた。


「……申し訳ございません。注意は都度しているのですが、彼女……ディエナと言うのですが、彼女は誰にでもあぁして人を試すような物言いをする所がありまして。仕事は出来る人なのですが」

「仕事が出来るからってどうなんッスか。不快ッス。て言うか、誰に対してやってんのか考える脳みそないんッスか?その態度を諫めないとか……あ、ソレで言えば、おばさんと同じ側の失礼なヤツを自分の近くに置いてるのもどーかと思うんッスよねぇ」

「……私の事を言っているのか?」

「コンラッド、落ち着くんだ」


 コンラッド・クーンズが低く唸る様にシルカに問い返すと、すぐさまノア・ウィッツ・カッフェルタが制止に入るが、シルカが止まらなかった。

 

 やべぇ、絶妙に腹の立つシルカの嫌味が飛び火して違う人に引火した。


「えー?オレ、アンタの事なんて一言も言ってないッスけど~。あ、もしかして自覚がある感じッスかぁ~?うわぁ、自覚症状があって直さないとか、王子の侍従とかやってて大丈夫ッスかぁ~?()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に失礼じゃないッスかぁ~?」


 挑発的なシルカとコンラッド・クーンズの睨み合いが勃発である。あと、私たちはまだ友好国じゃないよ敵国だよ。


「……シルカこれ以上挑発するな」

「は~いッス」

「コンラッド、君もすぐに乗る彼の言葉に反応するのは止めるんだ」

「!申し訳ございませんノア様」

「コンラッド、君って男は……。リュミナス殿」

「謝罪はいい。……それより、いつまで此処で立ってるつもりだ」

 

 ノア・ウィッツ・カッフェルタが困った顔をしながら、コンラッド・クーンズの代わりにまた謝罪をしかけた所で、私は遮るようにして謝罪を止める。


 まず第一に、私は睨まれる事に対しては気にしているが、気にしてはいないのだ。


 理由は、こんなこと言うのも可笑しな話だが、戦争中という事もあり割と睨まれる事は対カッフェルタに関しては日常茶飯事みたいなものだ。

 敵同士だし、普通に敵国のボスみたいなのが居たら良くないとは思いつつも睨んじゃうことだってある。うん。睨まれた方は普通に傷付くけどね。うん。


 ただ、そうされたからと言って、どうこう言うつもりがない……と言うか、コッチも同じなのでどうもこうも言えないと言うか、言える立場だが言える立場じゃないと言うか、どっちもどっちというか、お相子というか、人の振り見て我が振り直そう?というか……。


 あと普通に挑発してるのがコッチなので私が謝る側ではある。本当にうちの子がごめんなさい。謝りたいのに謝れないのも本当にごめんなさい。


 そして何よりも今は、私含めて目立つから入るなら入った方が良いのではないかと思っているという事である。


 こんな道端でシルカ対コンラッド・クーンズの嫌味合戦開戦したら目立つ。

 今はいないのに逆に人呼び寄せちゃうよ!人気(ひとけ)もなくて目立つような場所にわざわざ来たんだと思うけど、派手な上に騒いだらその気遣いが無駄骨だよ!目立つよ!


 そんなやり取りをしていると、何してるんだい早く来な、と家の中からディエナさんに再び中に入るよう促された。


 彼女の声を聞いたノア・ウィッツ・カッフェルタが困り顔で簡易的にも謝罪を表すようにペコリと頭を下げ、此方へと先導するように先に室内へと入って行き、その後に続いて気まずい私が進み、シルカ、コンラッド・クーンズと順番に中に入る。


 中に入るとそこはキッチンになっていて可愛らしい雰囲気の内装になっていた。

 入ってすぐの右側には水色と白を基調としたタイルで出来たシンクがあり、そのシンクの中には食べ終わった後の汚れたお皿があり、浸かりきっていないお皿があるくらいたくさん溜まっていた。


 なるほど……お昼ご飯の片付け中だわ!

 やばい、お皿がいっぱいある!めちゃくちゃ迷惑なタイミングだ!知らなかったとはいえ忙しい時に来てしまった!


 実家にいた時の癖でキッチン内の片付けなきゃいけないポイントに自然と目を巡らせていると、ディエナさんに女神さまはこっち来な、と一階の一番奥まった場所にある部屋へと案内される。

 そこはベッドが2台と化粧台や洋服ダンスなどがある夫婦の寝室のようだった。


 夫婦の寝室というなんとも入りにくい部屋にディエナさんの後に続いてそろそろと入ると、後ろを付いて来ていたシルカが開けっ放しのドアの入口を塞ぐように立ち、監視するようにディエナさんの行動を見ているのに気付く。


「……さて、今から魔法を使うが、閉じてる場所を開くだけだから攻撃すんじゃないよ坊主」


 振り返って入り口に立つシルカに言ったディエナさんは、真っすぐ洋服ダンスの前に向かうと魔法を唱えだした。

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