~第七十七話~
冬も近づいて来たので、寒くなり始めたので、朝起きるのが少し辛くなってきた頃、今日も学校があるので、朝早くに目覚める。
起きてから、今日はまず……発声練習をする事にした。
また、低い声が出なくなったら、ちょっと嫌かも……と思ったので、いつもの声と、低い声の両方を出して、発声練習をすると、特に問題はないみたいなので、発声練習をした後、顔を洗う為、洗面所へと向かった。
洗面所に辿り着き、顔を洗ったあと、鏡で自分の姿を見てみる。
寝癖が酷く、左右に髪が跳ねているので、櫛で整えた後、身だしなみをチェックして、リビングの方に向かった。
リビングに辿り着くと、朝食を並べている朱莉母さんと、紙に何かを書いて、唸っている圭吾父さんの姿があったので、僕は
「おはよう、お父さん、お母さん」
そう言うと
「おはよう、聖」
「おはよう、聖ちゃん、朝食出来ているから、食べてね?」
そう言ったので、椅子に座り、テーブルの上に出されている、朝食を見てみると、おにぎり中心の朝食だった。
海苔が巻いてある三角型のおにぎりや、俵型のおにぎり、ご飯に醤油で味付けしてある、五目お握りとかあって、結構美味しそうだった。
とりあえず、海苔が巻いてあるのと、五目お握りを頂いてみると、海苔が巻いてあるのには、中にシーチキンが入っていて、味付けもしてあって、結構美味しかった。
お握りを食べていると、圭吾父さんが紙に何かを書いているのが、気になったので、ちょっと聞いてみる事にした。
「お父さん」
「ん? 何だ? 聖」
「お父さん、何やっているの?」
「ああ、これか? これはな……。新しい曲の作詞をする事になってな? だから、作詞を頼まれたので、その歌詞を考えているんだ」
「お父さんが作詞……」
「あ、そうだ、聖? 学校から帰って来たら、新曲のデモテープを聞かせるから、感想を言ってくれないか?」
「……僕でいいの?」
「ああ、頼んだぞ?」
「……うん」
そう言って、朝食を食べ終わったので、僕は自分の部屋へと戻る。
部屋に戻ってから、着ている服を脱いで、山野辺高校の制服に着替える事にした。
着替え終わって、鞄の中身を確認してから、修学旅行で買ったお土産を、鞄の中に入れる。
入れた後、髪がそのままだったので、黒のヘアゴムで、髪を縛り、ポニーテール姿にした。
その姿にした後、部屋を出て、玄関口に向かっていると
お弁当箱を持ってきた、朱莉母さんがやって来て
「はい、聖ちゃん、これ、今日のお弁当ね?」
「ありがとう、お母さん」
「じゃあ、行ってらっしゃいね?」
「うん、行ってきます」
そう言って家を出る事にした。
外に出てみると、今日の天気は曇っていて、風も吹いているので、ちょっと肌寒く感じたりもしたけど、この分なら、風邪を引く事はなさそうだったので、そのまま学校へと行く事にした。通学途中、僕に話しかけて来たのが
「おはよう、聖」
僕は外なので、低い声で
「おはようございます、弘樹君」
僕に話し掛けて来たのは、同じクラスの弘樹君だった。
「聖って、外では低い声で話してるんだな?」
「う、うん、何か変かな?」
「うーん、ま、いつものあの声で話したりしたら、びっくりするもんな? それにな?」
「それに?」
「昨日、ヤマノベラジオで聖、話しただろ?」
「う、うん」
「他のクラスの奴が騒いでたぜ? 「あんな彼女欲しい」とか「一度、会ってみたいなあ」とかな? 聖はさ……皆にばらす気とかあるのか?」
「……今の所は、ないかな……あ、でもいつまでもこのままっていう訳にはいかないと思うしね? もしバレて、騒がれるのはちょっとね……」
「……そっか……まあ、俺はどんな事になっても、聖を馬鹿にしたりしないし、味方でいるからな? 安心しろよ」
「……うん、ありがとう、弘樹君」
「……その見た目で笑顔で、そう言われると、ほんとドキッとするな……聖? ……あんまり他人に笑顔を見せない方がいいぞ?」
「えっと……よく解らないけど……弘樹君がそう言うなら、そうしとくよ」
「ああ、そうした方がいいな……」
そう話しながら、山野辺高校に辿り着いて自分のクラスの中に入る。
クラスの中に入り、自分の席に着いて、鞄の中身を机の中に入れていると、チャイムが鳴って
担任の碓井先生が入って来て、こう言って来た。
「みんな、おはよう、じゃあ、出席を取るぞ」
そう言って、出席を取って行き、取り終った後
「うん、今日は皆いるな? では、連絡事項だが、来週からテスト週間となっているので、きちんと勉強しておくように、もし赤点を取ったら、冬休みに補習と予定しているので、赤点を取らないように心がけてくれ、ちなみに赤点は百点満点中、20点以下を赤点とする、今回は厳しくいくので、一教科だけでも赤点を取った場合も補習とするので、覚えておくように、では、授業を始めるぞ」
そう言って、授業が始まった。
僕は、授業中、ちゃんと勉強して、赤点は取らないようにしよっと……と、そう思っていたのであった。
授業内容は、それほど難しくはなく、黒板に書かれている文字を、ノートに書き写す作業だけで先生が「ここを読んで」とか、言って来なかったので
先生に当てられて、教科書を読む事がなくて、ほっとした。
あんまり……教室内で、言葉を発したくないしね……?
教室内で、普通に使っている声で、話すと、凄く変な目、特に男性生徒からどう見られるのか……想像するだけで、気分が参って来そうなので、なるべく低い感じの声で、話す事にしよう……と考えて、低い声が出なくなったら、ごまかす為にマスクとか付けて、話さない姿勢でいた方がいいのかも知れないかもなあ……とか、そんな事を考えながら、黒板の文字を、ノートに取っていき、時間が過ぎていく。
時間が過ぎて、お昼の時間になった。
僕は、お土産用の袋と、お弁当箱を持って、同じクラスの亮太と一緒に、放送室へと向かう事にした。
放送室に辿り着くと、今日も顧問の翠先生がいて、部長の彩さんと一緒になって、ゲームで遊んでいた。
双子の洋子先輩と、太一先輩がまだ来ていないみたく、先生と部長の二人だけだったので、僕は
「あの……これ、修学旅行のお土産です」
僕はそう言って、翠先生と、彩部長に、修学旅行で買ってきた、お土産を渡す。
「ありがとう」
「一体何が入っているんだろうな? 中を見ていいか?」
「あ、はい、どーぞです」
僕がそう言うと、先生が中身を開く。
僕が購入したのは、皆で食べられる
クッキーセットにしといたんだけど……気に入ってくれるかどうか、不安だった。
「お、これって、クッキーの詰め合わせか?」
「はい」
「美味しそうー、後で頂くわね?」
そう彩部長が話すと、放送室に、洋子先輩と太一先輩が、やって来た。
二人の手に、惣菜パンが握られていた。
「二人とも、今日はお弁当じゃないのね?」
「洋子が寝坊したからな」
「目覚ましが壊れてたの、あーあー……お気に入りだったのに……新しいの買わないとって感じ……」
「二人とも、聖君が、修学旅行のお土産を持って来てくれたから、一緒に頂きましょう?」
「お、そうなのか?」
「はい、皆さんで召し上がって下さい」
「そっか、じゃあ早速、パン食ったら、頂くとするかな?」
「聖、俺達も弁当を食べようぜ?」
亮太がそう言うので、僕達もお弁当にする事にした。
お弁当箱の中身を開いてみると
中に入っていたのは、おにぎりのオンパレードだった。
容器いっぱいにおにぎりが詰まっていて、海苔が巻いてある物、三角形の物、俵型の物とか、あったりして具財も色々入っているみたいだった。
それを見たからか、太一先輩が
「聖、少し貰っていいか?」
と言って来たので、僕は
「はい、いいですよ」
そう言って、太一先輩にお裾分けをする事にした。
ちなみに亮太のお弁当を見てみると、カレーだった。
けど、カレーの色が真っ赤に染まっていたので
「亮太? それって、激辛カレー?」
「ああ、たまにはいいかと思ってな? 聖? 少し分けてやろうか?」
「い、いいよ……僕、辛いの全然駄目だから」
「そうか?」
そう言って、亮太が美味そうに、激辛カレーを食べている。
うん……水とか必要ないのかな?
そんな事を思いながら、お弁当を食べ終わった。
先輩達も、お弁当を食べ終ったみたいなので、部長の彩さんが
「じゃあ、今日のラジオ当番は、亮太君と太一になっているから、準備して?」
「了解、じゃあ、行くか」
「はい」
そう言って、亮太と太一先輩が
ブースの方に向かった。
僕は、どうしようかな……と思っていると翠先生が
「聖? せっかくだから、対戦しようじゃないか?」
そう言って、ゲーム機を渡してきた。
でもこれ……さっき、彩部長が触ってた物なんじゃ?
「先生、それ……彩部長が触ってましたよね?」
「別にいいだろう、な? 彩」
「うん、貸すならいいわよ? で、先生? 対戦って? 何の対戦?」
「そうだな……これにするか」
そう言って、懐から一本のソフトを取り出した。
それをゲーム機にセットして、電源を入れる。
「聖、通信対戦だから、そっちのゲーム機を向かい合わせにしてくれ」
そう言ったので、翠先生の言われたとおりにすると
僕の持っているゲーム機が起動して、画面上に「パズルランサー」と、文字が現れる。
「翠先生? これって?」
「これは、落ち物ゲームの「パズルランサー」と言うゲームだな? 同じ色のパズルピースを四つ集めて消していって、対戦だから、一番上まで競りあがったら、負けと言う事になってるぞ? さ、早速やろうか?」
「でも……いいんですか? 一緒になって、遊んでしまって」
「いいんだ、私がいるからな? 別に問題はない」
「はあ……じゃ、じゃあ、やりますけど……」
「そうか、ところで……聖は、こういうゲームは得意なのか?」
「いえ、あんまりやった事がないです」
「そうか、なら腕前をためさせて貰うぞ?」
「お、お手柔らかに……」
僕がそう言うと、ブースにいる二人が、準備が出来たようだった。
それを見て、彩部長が
「じゃあ、始めるわよ? 洋子」
「はいはーい」
そう言って、洋子先輩が機械を弄って、こう言う。
「これから、お昼の放送を始めます」
そう言って、スイッチを切って、ブースのマイクのスイッチを入れて
亮太と太一先輩は、ラジオ、僕と翠先生は、パズルゲームで、遊ぶ事になったのでした。
でも……学校で遊んでていいのかな……?って思うんだけど……?




