~第六十三話~
次の日になって、僕はいつもと同じ時間に起きた。
朝起きて、窓の外を見てみると、凄いどしゃぶりの雨が降っていて、風も冷たくて、何だか…… 寒そうな感じだった。
こんな天気の日でも、学校に行かなくちゃな……と思い、とりあえず、自分の部屋を出て、洗面所に向かった。
洗面所に辿り着き、顔を洗った後、鏡で自分の姿を見てみる。
髪の毛が左右に跳ねていて、寝癖がついてるみたいだった。
櫛で寝癖を整えた後、リビングに行くと、朝食をテーブルの上に並べている、朱莉母さんと新聞を読んでいる(けいご)父さんの姿があった。
僕は、そんな二人に朝の挨拶をする事にした。
「お父さん、お母さん、おはよう」
「あ、聖ちゃん、おはよう~」
「うむ……聖、おはよう、今日も似合っているな」
「……そう?」
「ああ、可愛いぞ」
「そう言われて、僕はどう反応したらいいの……」
「あら、いいじゃない、私の目から見ても、聖ちゃんは可愛いわよ~」
朱莉母さんも、そう言って来たので、とりあえず……椅子に座って、朝食を取ることにした。
出されているメニューを見てみると、お握り中心だった。
具財に何が入っているか? 全く分からなかった。
「お母さん、このお握りの中身は何?」
「そうね、これがシーチキンで、こっちがたらこ、でね? これが焼き鳥味よ」
「聖は、この中でどれが一番、好みだ?」
「う~ん……じゃあ、これかな」
「焼き鳥味ね? はい、この二つがそうだから」
そう言って、僕に二つのお握りを渡してきた。
僕は、受け取った後、海苔を外しながら、食べていく。
別に海苔が嫌いという訳じゃなくて、海苔は後で食べるのが、僕の今のマイブームだった。
味に関しては、しっかりとタレがきいていて、甘辛くて結構美味しかった。
あっという間に食べ終わって、自分の部屋に戻り、山野辺高校の制服に着替える事にした。
着替え終わった後、黒のヘアゴムで髪を縛って、ポニーテール姿にした後
鞄の中身を確認してから、自分の部屋を出る。
部屋から出ると、朱莉母さんが
「はい、聖ちゃん、お弁当」
と言って、僕にお弁当箱を渡してきた。
「ありがとう、お母さん」
「うん、中身は期待しててね? それじゃ、行ってらっしゃい」
そう言ったので、朱莉母さんに「行って来ます」と言った後
外に出る事にした。
雨が全くやんでいなく、物凄い土砂降りなので、白色のビニール傘をさして
通学路を歩く事にした。
雨の中だからか、通行人がほとんどいなく、水溜りが結構出来ているので、それを避けながら歩いていき、山野辺高校に辿り着いた。
校舎の中に入り、自分のクラスの中に入って、自分の席に着く。
自分の席に着いた後、鞄の中身を机の中に入れる作業をしていると
「よ、今日は凄い土砂降りだよな?」
そう声をかけて来たのは、同じ放送部員の赤井亮太君だった。
「おはようございます、亮太は大丈夫でした?」
「まあな…… 傘が小さかったから、両肩が少しぬれた程度だよ、聖は?」
「僕は、靴が濡れました……靴の中に少し、水が入って、ちょっと気持ちが悪いって感じですね」
「そっか、午後になって、雨、あがるといいよな」
「そうですね」
そう話していると、チャイムが鳴って、担任の薄井先生が入ってきて、亮太は、自分の席に戻って行った。
「みんな、おはよう、今日は凄い土砂降りだが、天気予報を見たら、午後には止むそうだ、で、連絡事項だが……来週に、修学旅行の班を決めようと思っている、じゃあ、出席を取ったら、授業を始めたいと思う」
そう言って、出席を取った後
授業が始まり、僕は、授業に集中する事にした。
授業内容は、国語の問題を、解くという作業だった。
漢字問題と、二次熟語とかが出題されて、結構難しかったけど、何とか問題を解く事が出来て、ミスは、あまりないと思うので、これでいいかな? と思う事にした。国語の授業が終わって、次の授業が、数学だった。
二次関数とか、分数の問題とか、こういうのって、社会人になって、役に立つのかな?とか思いながら、黒板に書かれいる問題を、ノートに書き写していって、時間が過ぎて午前中の授業が、全て終わった。
窓の外を見てみると、土砂降りの雨だったのが、小雨程度になっていて、この分だと、午後には止みそうな感じがした。
僕は、お弁当箱を持って、同じクラスの赤井良太君と一緒に放送室へと向かう事にした。
放送室に辿りつき、中に入ると、既に先輩達が集まっていて、昼食を取っていた。
「あ、来たわね? 二人とも、今日のラジオの当番は、太一と亮太君だから、よろしくね?」
部長の中田彩さんが、手にハンバーガーらしき物を持ちながら
「了解っす、じゃあお弁当食べたら、ブースに行きますね」
そう亮太が言ったので、僕もお弁当箱の中身を開く事にした。
中に入っていたのは、お握りで、稲荷寿司も入っていた。
「お、なんか美味しそうだな? 聖、一個貰っていいか?」
と、太一先輩がそう言うので、僕は
「あ、はい、いいですよ」
そう言って、お握り一つを、太一先輩に渡した。
「さんきゅ~、お、この中身…… 鮭だな、旨い」
お握りの中身が鮭だったらしく、あっという間に食べ終わって、太一先輩が「じゃあ、先にブースに行ってるな」と言って、先にブースに行ってしまった。
「食べるの早いわ、ほんと…… 」
「あの、洋子先輩、それって」
「実はね? 太一が「大盛りにしてくれ」って言うから、太一の分だけ、大盛りにしたのよ、具財もたくさん入れてね? それを、たった三分ぐらいで食べつくして、しかも聖君のお握りまで頂いたでしょ? どんだけ食うのよ?って感じよ」
「そうよね、私なんか、そんなに食えないって」
「そうだったんですか」
「一体、どのぐらい入っていたんですか?」
「そうね……茶碗に乗せるご飯、二杯分かな?」
「それは……多そうですね」
「でしょ?」
そう話しながら、残りのおかずを食べる事にした。
残ったお握りの具財は、梅干に鰹だった。
味に関しては、結構美味しく、残さす全て食べ終わって、お弁当箱を閉めた。
亮太も食べ終わったのか「じゃあ、行ってきます」と言って、ブースの方に向かい、僕と洋子先輩と、彩部長が、ルームに残る事になった。
「じゃあ、後は今日の音楽だけど……何がいい?」
「そうね…… 聖君は、何がいい?」
「そうですね…なんか流行の曲でどうですか?」
「そうね、いいかもね? じゃあ、二人にそう伝えるわ」
そう言って、彩部長がスイッチを動かして、マイクでブースにいる二人に伝える。
そして伝え終わったあと
「じゃあ、洋子、お願いね?」
「了解」
そう言って、洋子先輩も機械をいじって、マイクに向かって、こう話した。
「これから、お昼の放送を始めます」
そういった後、スイッチを切り、ブースのマイクのスイッチを入れる。
こうして、今日のラジオ放送が、始まったのでした。
「こんにちは~、今日も始まりました、ヤマノベラジオ~、MCはもちろん、毎度お馴染みブラックと」
「こんにちは、レッドと申します、よろしくですね」
「以上の二人で、お送り致しております、いや~レッドさん」
「はい?」
「なんか…… 雰囲気がいつもと違いませんか?」
「そうですかね?今日はこういった感じで受け答えしようかな? と、思っておるのですよ? そしたら…… 」
「そしたら?」
「人気出るんじゃないですか? さすがに不人気だと、ちと辛い物がありましてね」
「そうですか……ま、確かに不人気だとなんか嫌ですしね?それにしても…… 」
「それにしても?」
「今日は凄い雨ですよね? 実は、雨ってあまり好きじゃないんですよ、レッドさんは雨が好きですか?」
「そうですね…… 雨の日はあまり好きではないかもです、服とか濡れるし、靴下なんか水溜りに入ったら、靴の中に入って、びしょ濡れになりますからね」
「そうですよね~やっぱり、雨より晴れの方が好きですか?」
「いや、どっちかと言うと曇りですね、晴れだと暑そうなので」
「あ、そう…… とりあえず…… このグダグダ話はここまでとしておきまして、音楽を流したいと思います、では、レッドさん、今日流す曲の紹介をして下さい」
「グダグダな話って…… まあいいか…… では、今日の流す曲は、最近テレビで上位にランキングされる曲です、では、どうぞ~」
そう二人が言い、スピーカーから軽快な音楽が流れ出す。
その間に、洋子先輩がミニパソを持って、ブースの方に向かった。
数分の音楽が流れて、僕がブースのマイクのスイッチを入れる事にしたのだった。
「はい、今日の流した音楽は、有名なアーティストが作った曲ですよ? ところでレッドさん」
「はい? 何ですか?」
「レッドさんは、このアーティストの別の音楽、聴いたりしてますか?」
「いや、全く聞かないですね、いつも聞いているのは、ポップミュージックですし」
「ほうほう、例えばどんなのを?」
「そうですね、特にアイドルグループがヒットを飛ばしたのを聞いたりしています、そういうブラックは?」
「こっちは色々かな? アニメソングもアイドル曲も気に入ったのなら、聴くって感じだよ? さて…… 今日は、ホワイトちゃんがいないので「ホワイトちゃんに言ってほしい事」はお休みですね、では、このラジオの反響でも見てみましょうかね?」
「そうですね、え~っと…… 「レッド、普通にやってればなかなかいい」「ブラック、安定感ばっちりだな~」「ホワイトちゃん、毎回出てほしい」「ブルーお姉さまと、ホワイトちゃんの絡み希望!」って書かれてありますね、そっか……普通にやってれば、人気が出るのか……ふふふふ」
「レッド……その笑いは、普通じゃないって… 確かに、自分もブルーとホワイトの絡み、聞いてみたいかもって感じかも?」
「あ~確かにそうかも……ちなみに受けか攻めかと言われたら、どっちが受け?攻め?」
「そりゃ、もちろんホワイトが受けでしょう、これは譲れないですね」
「でも、ホワイトちゃんの攻め言葉も聴いてみたくないですか?」
「あ……確かに、ちょっと聞きたいかも…… 」
「ですよね~」
「っと、話していると時がたつのは、早いですね~今日は、ここまで、お相手は「安定感ばっちり」のブラックと」
「「人気が出ると、喜びます」のレッドです」
「以上の二人でお送りしておりました、この番組は、放送戦隊ヤマノレンジャーの提供でお送りしました」
そう二人が言った後、僕がブースのマイクのスイッチを切る。
そして、ブースから三人戻ってきて、彩部長が「洋子、お願い」と言って、洋子先輩が、機械を弄り、マイクでこう話す。
「これで、お昼の放送を終わりにします」
そう言ってから、スイッチを切った。
「これで、完了よ」
「じゃあ、次は放課後に集まるわよ?では、解散」
彩部長がそう言ったので、僕と亮太は、一緒に自分のクラスに戻り午後の授業に専念する事にしたのでした。
午後の授業は、体育館で体育を行う事になった。
体育教師の川原芹先生が言うには
「は~い、今日はバスケットボールをやりますよ~、チームに別れて、元気よくプレイしましょうね~?」
歌のお姉さん的な感じで、そう言ってきたので
まあ、この先生は、前からずっとこんな感じ言ってきてるので、もうすっかりと慣れてしまった。
数人のチームに別れて、僕は衛君と、亮太と一緒の組になり、試合が始まった。
試合内容は、バスケなので、ルールは知っていたので、パスをしながら、ゴールネットに向かって、シュートを入れる。
けど、コントロールが悪かったのか、ゴールネットの中に入らなかった。
シュートを外した後、衛君が
「どんまいだぜ、まあ、俺がバシッと決めてやるからな?」
と笑顔で、僕に向かって、そう言って来る。
衛君、運動神経いいのかな…? と思いながら、ボールが僕に来なかったので
ゴールネットの後ろの方に待機していると、衛君が
亮太とパスをしながら、ゴールに向かい、ダンクシュートをして、あっという間に、2ポイントを取ってしまった。
しかも、取った後、どうだ!って感じに僕の方を向いてきて、僕は、それにどう反応すればいいんだろ?と、ちょっと困ってしまった。
そんな感じに試合が進んでいき、先生が笛を吹いて、試合終了になった時、僕たちのチームが勝った。
まあ……勝ち負けには、別に拘っていなかったら、別にいいんだけどね……?
体育の時間が終わり、教室に戻って、帰りのHRになった。
担任の碓井先生が
「じゃあ、連絡事項だが…… 来週に、修学旅行の班を決めたいと思う、で、修学旅行の行き先だが、南京に決まったぞ、連絡事項はこのぐらいだな……じゃあ、今日はもう終わりにする」
そう言って、先生が教室を出て行く。
南京…… 聞いた事ないかも、後で調べてみようかな? と思いながら、同じクラスの亮太と一緒に、放送室へと向かう事にした。
放送室に 辿り着き、中に入ると
先輩達と、顧問の朝崎翠先生がいた。
「あ、二人とも来たわね? 明日は休日となっているから学校は休みで、で……前にも言ったけど、皆でYAMA-ZUに行く事になってるわ」
「あ、確かにそうでしたね」
「で、翠先生も一緒に行く事になってるから、翠先生に引率をして貰おうと思ってね?」
「ああ、任せておけ、YAMA-ZUだと、そうだな……夏はプールが大繁盛してるらしいが、季節的にシーズンは終わってるし、スキーには早いし、ローラースケートとか色々あるから、とりあえず中に入ってから、決めようと思うぞ」
「賛成~、あ、所で…… 、二人はローラースケートって滑れるの?」
洋子先輩が、そう聞いてきて、僕はと言うと
「そうですね……ローラースケートは、滑った事がないですね、もし滑れるのでしたら、教えてくれませんか?」
「うん、いいわよ~? 太一もそれでいいわよね?」
「ああ、俺も滑れるしな? 亮太はどうだ?」
「あ、大丈夫です、俺も滑れますので」
「じゃあ、滑れないのは聖君ね? 彩は、どう?」
「私も滑れるわよ、ま、プロ並よ?」
「ほんと~?それ」
「ま、行ってみれば分かるわね、じゃあ、来週のラジオの当番でも決めましょうか? 誰にしようか?」
「そうね~……あ、BBSの書き込みにさ?「ブルーとホワイトの絡みがほしい」って書いてあったわよね?」
「あ、確かにね……じゃあ来週は、ホワイトとブルーにしましょう、はい、決定」
「はあ…、判りました」
「来週が楽しみだわね~」
なんか、洋子先輩が、ニコニコ顔だった。
絡みって…… 一体何を言われるんだろうな……?って思ってしまった。
「じゃあ、今日はここまでにしときましょうか? 洋子、お願い」
「はいは~い」
そう言って、洋子先輩が、機械を操作して、マイクで、こう話す。
「下校の時刻となりました、皆様、速やかに下校して下さい、繰り返します、下校の時刻となりました、皆様、速やかに下校して下さい」
そう言った後、マイクのスイッチを切る。
「これで、OK」
「じゃあ、今日はもう解散ね? じゃあ、明日の事だけど、駅前の山野辺広場で、待ち合わせね? 時間厳守で頼むわよ? では、解散!」
そう彩部長が言ったので、僕と亮太は、一緒に帰る事にした。
帰る途中、亮太が
「聖、明日、楽しみだな?」
「うん、そうだね」
「でも気になるのは、先輩達の格好だよな? ほら、俺達って、先輩達の服装って、ほとんど制服しか知らないだろ?」
「あ、確かにそうですね」
「だろ? ま、とりあえず、明日になれば、分かるようなものだよな? じゃ、俺、こっちだから、それじゃあな」
「さようなら~」
そう言って、亮太と別れて、真っ直ぐ、家に戻る事にしたのでした。




