幕間 深い闇に眠る一つの魂
ここから第三部開始です。
「あら」
女性の声が、ぽつりと零れる。
少し困ったような、まだ若干の幼さが残るような声色。
「せっかくお話できると思ったのに……邪魔するのね」
困惑から、少し怒りを込めた口調に変わる。
頬を少しだけ膨らませる仕草は少女そのもの。
「そっちがその気なら、こっちも考えがあるわ」
だが次に見せた表情は、妖艶な微笑。
コロコロと変わる仕草。
怒ってはいるが、どこか楽しんでいるような。
いや、どちらかというと楽しんでいるのかもしれない。
証拠に、女性は詠いだす。
詩の朗読のような。
歌のような。
言の葉を紡ぐ。
周囲の木々がざわりと揺れ、一斉に、紫色の花を咲かす。
―――さぁ、どうするのかしら?冥府の神は。
女性の歌声はどこまでも広く響き渡る。
木々を抜け、空を抜け、
深い深い闇の中にまで。
「………………!?」
深い闇の奥底。
冥界、冥府と呼ばれる魂の住処。
さらにその最奥。
一柱の神が、声を聞く。
少女のような、妙齢の女性のような、そんな不思議な声を。
「気づかれた。いや、当然か。なにせ相手は……」
玉座から立ち上がり、闇に浮かぶ紫色の光に近寄る。
一際強く輝いているのは、一つの魂。
「だが、邪魔はさせん。ようやく見つけたのだ。この魂を入れるにふさわしい器を……」
魂がなにかを訴えるように、明滅する。
声にならない響きは、誰にも聞こえない。
―――ただ一人を除いて。
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