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ニコラスとスヴェンは、食堂を出た後すぐにラザールと別れた。この屋敷の持ち主の息子であるラザールの部屋とただの客人である二人の部屋は別々の場所に位置していたのだ。
ニコラスとスヴェンは隣り合った客室を与えられていたので、二人は肩を並べて自分たちの部屋へと向かった。
廊下を歩きながら、スヴェンがニコラスに話しかける。
「ニコラス、話がある」
「何だ?」
「俺は近いうちにイヴェットと二人で出かけたいと思っている。だが、ラザールはそれをよく思わないかもしれない」
スヴェンにとって気にかかるのはそれだけではない。あえて言及しなかったが、もしスヴェンがイヴェット本人にその旨を打ち明けたら、彼女自身が自分と二人だけで出かけることに対して難色を示すかもしれない。また、まだ十分に自分に慣れていない彼女の様子だと、彼女は過剰なくらいに緊張してしまうかもしれない。
こういった可能性を避けるため、スヴェンにはある考えがあった。
「ああ、確かに」
ニコラスは基本的にはシルヴィと一緒に過ごすことができれば満足なので、二人きりであろうとそうでなかろうとあまりそれを重視しないが、今日のラザールの言動から判断するに、もしニコラスがシルヴィと二人だけで出かけたいと告げたら、彼はきっといい顔はしないだろう。
「だから……」
言いかけたスヴェンを、ニコラスは遮った。
「分かった! ラザールにはシルヴィと俺も含めて四人で出かけると話すつもりなんだろう?」
「ああ、そうだ」
ニコラスは廊下の天井を仰いで考えた。
四人で一緒に出かけ、途中でスヴェン、イヴェットと別れ、自分とシルヴィの二人だけで行動するというのはニコラスにとっても悪い考えではなかった。
加えて、スヴェンが一年前にイヴェットにひどいことをしたのをニコラスも知っている。その彼が真摯に反省し、被害者のイヴェットも寛大にも彼を許す決断をした。そしてスヴェンもスヴェンなりにイヴェットと新しい関係を構築しようとしているのだろう。だったら、ニコラスは親友として、スヴェンを応援してやりたかった。
「分かった。明日シルヴィに話すよ。出かけるのは……明日だと急だろうから、明後日のほうがいいか?」
「ラザールもさっき明後日医者が来ると言っていたから、明後日がいいだろう」
ラザールは医者との面会のためにこの屋敷に残らなければならないから、自分たちと一緒に外出する可能性は極めて低い。シルヴィとイヴェットにも、ラザールとアリーヌを二人きりにしてやろうとか何とか言うこともできるし、そうするとやはり明後日のほうが一石二鳥だ。
そう判断した二人は、ちょうどたどり着いた自分たちの部屋の二つ並んだドアの前に立ち、明日それぞれの婚約者に話すことをもう一度確認してから、自分のために用意された客室に入って休んだ。




