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学園のアイドルに告白したらOKされたが、彼女は魔王で僕は従者になりました  作者: ナックルボーラー
1章 

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プロローグ

世間の俗語には「学園のアイドル」「高嶺の花」「天上の人」など、手の届かない憧れの人物を比喩する言葉が多くある。

 その中で最初に出した「学園のアイドル」。

 その言葉をとある地方の学校,黄昏谷高校で指すなら彼女であろう。


 彼女の名は三陸(さんりく)真奈(まな)

 頭脳明晰、運動神経抜群の文武両道ながら、肩まで伸びた綺麗な黒髪に、アイドル顔負けの整った顔立ち、そして豊満なスタイルなど。物語から飛び出てきた様な美少女。

 頭脳、運動に優れ、更に容姿も完璧な彼女だが、彼女は一切ひけらかす事なく、男女問わず、スクールカーストの上下関係なく、誰とでも隔てなく接する姿勢から、学内で人望を集めている。その結果、「黄昏谷に学園のアイドル、三陸真奈あり」と言わしめ、テレビ越しのアイドルではなく、目の前の彼女を崇める者が多く、黄昏谷高校にアイドルオタクは少ないと言われている。


 そんな彼女に劣情を抱かない野郎はいない。

 故に、数多の男たちは彼女を手に入れようと告白(アタック)した。

 

 社交性のある彼女だが、恋愛面ではそう上手くはいかなかった。

 女性にモテるチャラ男、県トップクラスのサッカー部のキャプテン、学年上位のインテリ、地元一の名家で金持ちの男など、様々な男たちが真奈に告白したが、全員が玉砕した。

 難攻不落の要塞。誰一人彼女の心を揺れ動かす奴などいないと言わしめたそんなある日。


 満開だった桜が完全に散り、寂しさを感じさせる春の季節。

 玉砕覚悟の男が1人、三陸真奈の前に立つ。

 

 男の名は立花颯太。

 

 憧れの存在な真奈とは対照的に、存在感が薄い高校2年生。

 成績は中、運動神経も平凡、容姿も悪くはないが良い部分も挙がり難い平均値。

 何処にでもいる普通の学生だが、颯太は心臓爆発寸前の緊張の中、真奈に言葉を発した。


「三陸真奈さん! 僕は! 貴方の事が好きです! どうか! 僕とお付き合いください!」


 真奈が高校に入学する前から彼女を知っていた颯太は、遂に彼女に告白する。

 

 高校で再会してから1年間、颯太はただ遠巻きの1人として真奈を羨望の眼で見ていた。

 だが、行動せずに生む後悔なら、行動して玉砕して生む後悔が良いなどと言う漫画のキャラに即発された颯太は、時代遅れの手紙で呼び出し、体育館裏で想いを告げた。


 相手は誰もが憧れる学園のアイドル。

 偶像として多くの羨望を引き寄せる真奈が陰の薄いモブAの颯太の好意に応えるわけがない。

 颯太自身もそうだ。自分が真奈と付き合えるかなんて微塵にしか思った事がない。

 それこそ宝くじで一等を当てる様なもの。

 だが、それでも願う。一縷の望みだとしても。


 ドクンドクン、と颯太は自分の心臓の音を聞きながら、真奈の回答を待つと、真奈はクスリと笑う。


「立花、颯太君、だよね?」


 突然に名前を呼ばれて困惑する颯太は目を瞬かせ。


「え、あ、はい……なんで僕の名前を……って、そうか。手紙の方に名前を書いてたからですよね」


 そもそも告白する相手に名前を告げなかった事に恥ずかしさを覚える颯太だが。


「確かに手紙には貴方の名前は書いてあった。けど私は、貴方を前から知っていたんだよ」


 教室の隅に居て、存在感が薄い自分を前から知っていたと言われ颯太の胸が熱くなる。


「知っていたって、もしかしてあの時の事を覚えて!?」


「あの時……ってのは分からないけど、高校に入学した頃から、ずっと立花君の事は見ていたんだ」


 高校に入学した頃、つまり、颯太が本当に真奈と出会ったあの時の事を彼女は覚えていない。

 その事に寂しさはあったが、それでも颯太の事を知っていてくれて嬉しいと思う気持ちがある。

 だが、何故学園のアイドルたる真奈が高校生A的な脇役の颯太の事を見ていたのか。

 首を捻る颯太へ真奈は手を差し出した。そして彼女は気恥ずかしそうに頬を指で掻き。


「えっと、私は今まで誰かと付き合った経験が無いから、少し緊張しているけど、立花君の気持ちを聞けて、嬉しかった」


 颯太がこれまでに耳にしていた彼女が男たちを振る言動にこんなのは無かった。

 申し訳なさそうに断るか、バッサリ断るか、告白されて嬉しかったなんて言われた人は1人もいない。


「えっと……それってつまり」


 はにかむ真奈は颯太の想いに応える。


「こんな私だけど、宜しくね、立花君」


 その言葉はこれまでの真っ白だった颯太の人生色を幸せの薔薇色へと変貌させる。

 恐らく、これから先の運を全て今に注ぎ込んだかの様な幸運だろうが、ある意味違った。


 颯太は先の未来を幸運か、それとも不幸かと言うかは定かではないが、少なくとも……学園のアイドルである三陸真奈と恋人関係を結んだこの日から、立花颯太の人生は大きく揺れ動くのだった。


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