メイド、魔族を一瞬で蒸発させる
男は不気味な笑みを浮かべ、ルナリスの顔をまじまじと見つめた。
「そういえば、どこかで見たと思ったら……あぁ! お前、No.7を倒した奴か」
「……誰ですか? 人違いじゃないですか?」
「『グリモワール』だよ! 忘れたのか? ……まあいい、俺はNo.5だ。あんな最弱の端くれと一緒にされても困るがな」
ルナリスは記憶を辿るが、心当たりはない。だが、一つだけ確かなことがあった。
「……No.7のことは知らないけれど。あなたを倒せば、このダンジョンの異常が元に戻る。そういう理解でいいのかしら?」
「ククッ。お前ごときに俺が倒せるわけがないが、理屈としてはそういうことだ」
ユリウスが指を鳴らした瞬間、三十層の空気が、これまでの魔物とは比較にならないほどの殺気で凍りついた。
「……じゃあ、もう疲れたし早く帰りたいので、倒しますね」
私が淡々と言い捨てて指先を掲げると、ユリウスの顔が嘲笑に歪んだ。
「ハッ、オマエが俺を倒せるわけが――」
「光属性――『ホーリー・サンライト』」
刹那、三十層の闇が真っ白な閃光に塗り潰された。太陽がそのまま地下に現れたような超高密度の光が、ユリウスの身体を無慈悲に飲み込んでいく。
「え? ちょっ、威力……強すぎ……っ。え? おま……っ」
絶叫する暇すら与えられず、魔族No.5は困惑の表情を浮かべたまま、塵一つ残さず蒸発していった。
「ご愁傷さまです。こればかりは人間側の私も、ユリウス様に同情せざるを得ませんね……」
スイが虚空を見つめ、静かに手を合わせた。
「えっと、今のは魔族No.5の……名前、何だったっけ?」
「あ、ユリウスです」
フェリシアがノートに魔族の名前を書き込む。
「『ユリウス』がいた。っと! これで終わりやな! 任務完了!」




