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メイド、出発する。
「それじゃあ出発するから、しっかり掴まってな」
「えっ、おじさん。この馬車、うちら二人しかおらへんの?」
フェリシアが周囲を見回して不思議そうに尋ねる。普通、国境を超えるような馬車はもっと大人数で乗るものだと思っていたけれど。
「そりゃそうだ。最近、あの国のダンジョン内で魔物が大量発生してるらしくてな。おかげで観光客も商人も寄り付かなくて、こっちは不景気なんだよ」
「えっ……マジで?」
流石のポジティブモンスター・フェリシアでさえ、その言葉には絶句して目を丸くしている。
(はぁ……やっぱり、不穏な予感しかしない……)
馬車の揺れと共に、住み慣れた街が遠ざかっていく。
私の胸の中にある不安は、遠くに見える険しい山脈のように、どんどん大きく膨らんでいった。
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