メイド、ご飯を食べる
異世界ビンゴも読んでください……!
『異世界ビンゴ! 〜3ビンゴするまで帰れません!〜
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「すいませーん! 注文いいですか!」
「はいはーい! おっと、あ! ガチ強さんじゃないですか!」
接客に来てくれたのは、オーナーの友人だという元気な店員さん。
「やっほー。注文は『ドラゴンのカレー』と……」
「あ、あと『オークのハンバーグ』で!」
フェリシアが食い気味に、震え声で注文を重ねた。
「かしこまりました! 少々お待ちくださいね」
店員さんが軽やかな足取りで厨房へ戻っていくのを見届けてから、フェリシアが身を乗り出してきた。
「なぁ……ルナリスって、めっちゃ顔広くない? さっきからみんな話しかけてくるやん」
「まあ、確かにそうかもね。……一応、二つ名までもらってるし」
「でも、二つ名が『ガチ強』とか……っ!」
フェリシアは「ぶはっ」と、こらえきれずに吹き出した。
「私は自分でつけたわけじゃないんだから。不満があるならつけた人に文句言ってよ」
「いや、不満とかそういうことじゃなくて……! ガチ強って……くくっ、ハハハッ!」
「……爆笑すんなって。店中の人が見てるでしょ」
私が冷ややかな視線を送っても、一度ツボに入った彼女には届かない。
フェリシアは、運ばれてくる料理の匂いが漂い始めるまで、涙を浮かべて「ガチ強」という響きに悶絶し続けた。
「ご注文の『ドラゴンのカレー』と、『オークのハンバーグ』です!」
「ありがとうございます」
運ばれてきた料理を受け取ると、私は早速スプーンを手に取った。
(おぉ、これだよ、これ。前世でよく食べていたなぁ……)
ドラゴン肉は、まるで牛肉の最上位互換版。噛むほどに凝縮された旨味が溢れ出し、最高の気分にさせてくれる。きっと寿命が長い分、その間に旨味を溜め込んでいるのだろう。
私が夢中になって食べ進めている傍らで、問題のフェリシアはというと……メニューが来たとき以上の形相で、ハンバーグとにらめっこ状態だった。
「――鑑定」
フェリシアが呟くと、ハンバーグの上に薄っすらと半透明のウィンドウが現れる。
「ど、毒は入ってないでしょ? ランクは……A? Aランク!? めっちゃ美味いやつやん!
材料のオークの説明……『一撃で狩られたため、傷がなく美味い』。え、マジか。しかも『冷凍保存してあるため、旨味はほとんど逃げ出していない』って……まじかよ……。
……これなら、信頼して食べれるかぁ……」
私の目の前で、フェリシアはブツブツと呟きながら、まるで呪文を詠唱しているようだった。
「念入りすぎるでしょ、鑑定。……それに、鑑定スキル、使えるようになったのね」
「『レアスキル』の本に書いてあったんや。この日のために取得したと言っても過言ではないな!」
そう言って、フェリシアは意を決してハンバーグの一口目を頬張った。
「っ……おいしいやん! なんやこれ! おろしポン酢と合って最高! 肉汁めっちゃ溢れ出てるし! ……損するだけ無駄だったやん!」
みるみるうちに表情が解け、満面の笑みになる。
「ほら、言ったでしょ。ここだけのメニューがたくさんあるとか、色々な工夫があって、このお店は繁盛してるのよ」
「おいしい! 最高! この肉やばい!」
「……私の話は完全に無視かよ。まあ、それだけ美味しかったんならいいんだけど」
私もカレーを食べながら苦笑する。賑やかな酒場に、二人の幸せな時間が流れていた。
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