最終話・暴力少女・前編〜戦・絵美奈の運命〜
この話は結構グロイ。
あ、最初のほうだけですが。
「ここ………体育館?」
愛華は、カイに体育館に連れて来られていた。
「うん、ここが一番手っ取り早いしね」
「こんなとこで派手になんかやると、危険よ?」
「大丈夫、鍵掛けておいた。ついでに、その鍵は窓の外」
「…………そうすると、あんたもあたしもここから出られないってわけね。邪魔される可能性も無いわ」
「ふふ、僕は逃げる必要なんて無いけどね……」
「上等じゃない」
体育館の真ん中で、不敵に笑う男と子供。
でもその笑みは、冷酷で、氷よりも冷たかった。
「では……始めるとしますか」
「ええ。……そちらからどうぞ」
―――ブスッ!
音がした。その音がしたほうを見ると………
「斬れて、る?」
そう、音がした左肩から、血が流れていた。
その量は、決して少なくは無い量だ。
――――こいつ…強い…――――
「どうした?」
愛華よりも少し後方で笑うカイ。
「こんなことで固まっていちゃ先が思いやられ…」
グサッ
「う!?」
愛華はカイが油断して喋っているその隙に、自分の左肩を斬ったと思われるカッターを投げた。そのカッターはカイの右肩に直撃。
「なかなか……やるじゃないか」
「そっちこそ」
ヒュン、と言う音とともに、回し蹴りが放たれる。しかし愛華が放った回し蹴りはカイには当たらず、カイの回し蹴りをよけるためカイの肩を足場に上に飛び上がる。
飛び上がった愛華はくるりと一回転し、足を天井に向ける。そしてその足で天井を蹴り上げ、カイを上から攻撃する。
もともとジャンプ力だけは強力な彼女にも少々きついが、この学校の体育館は並にくらべ天井が低い。そしてカイの身長はとても高い。それが幸いし、こんな作業は楽々こなせる。
カイは上からの攻撃を気づいていたのか、上からふってきた愛華を両手で受け止め、そのまま床に突き落とす。
愛華も男の力には敵わず、ジタバタしてみたものの、無駄だった。
「う……」
呻いて起き上がろうとしても、カイは離してくれない。
こうなったら……
「はうっ!!」
自分で頭を床にぶつけ、それの反動で起き上がる。しかしその力もけっこう弱く、起き上がることは出来たものの、立つことは出来なかった。
でも起き上がったことでカイが反動で飛ばされる。
外からの力がなくなったことで愛華は立つことが出来た。
「ほぁっ!!」
少し上に飛び上がり、飛ばされたカイをまた上から攻撃する。
「あがっ……」
愛華のとび蹴りはカイの腹に直撃。カイは呻いてまた飛ばされる。
しかしカイも負けてはいなかった。飛んできた愛華の足を掴み、そのまま投げ飛ばす。
「きゃぁぁ!!」
悲鳴を上げ壁に激突。
「いたたたた………カイ、なかなかやるわね……」
「そっちこそ……でもね」
攻撃体制を整えた二人は、ほとんど同時に言った。
「本番は、これからだ」
「本番は、これからよ!」
そう言って、床を蹴った。
二人の体が舞う。その体が愛華とぶつかりそうという寸前で、カイが愛華に言った。
「お楽しみも、これからだよ……!」
次話、本当の意味での最終話。
絵美奈はどうなる?