最終話・暴力少女・後編〜戦・空しき暴力少女〜
少しグロイです。
「お楽しみも、これからだよ……!」
カイがそういった瞬間、二人は天井にぶつかる。しかし床を蹴った力が相当だったため、天井を破り、屋根の上に出てしまった。
無論、屋根を破ったため頭をぶつけてしまったが。
「暴力少女、君は友達を助けようとしているようだが……なぜかい?」
「決まってるでしょ、親友だからよ!」
愛華がそういうと、カイは瞳に不思議な光を宿した。
「その親友は、僕によって洗脳されている。『愛華という親友なんかいない。君は僕の妹だ』とね」
なんというロリコン精神!
「絵美奈は洗脳されるはずがない!あの子は人一倍気が強い子よ!」
「気が強いのと洗脳はわけが違う。信じられないようなら……証拠を見せようか。惣実、おいで」
「はい、お兄ちゃん」
聞きなれた声。この声は……絵美奈。
「え?」
そして図書室の窓を突き破って出てきたのは、絵美奈その人。
「お兄ちゃん、この人が悪い人?」
幼い子供のような口調で聞く絵美奈。彼女はもう、絵美奈であって絵美奈ではない。
「ああ、そうだよ。お兄ちゃんを困らせているとっても悪い人」
「じゃぁ、殺すね!」
「じゃあね!」というような話し方で言われた死刑宣告。
「え……絵美奈?」
「惣実、戦う」
そういった絵美奈はもう絵美奈ではない。
目つきは鋭く、冷酷な光を宿している。
口には微笑を浮かべている。
まるで、二人目の暴力少女だった。
「がっ………!?」
気づいたときには空中に浮いていた。
それは絵美奈―――惣実が、さっき突き破った天井の穴に向かって、愛華を突き落としたからだ。
「きゃ、きゃぁぁぁぁ!!」
天井は低いといっても、結構な高さはある。まして下にはマットなんかない。
死ぬ確率のほうが高い。
「あ、がぁぁぁ!!」
絶叫。床に強くたたきつけられた愛華を、さらに惣実とカイがクッションにし、床に到達する。
新たな体重がかかり、愛華はついに意識を失った。
意識を失う直前、カイが言った。
「君はもう、永遠の暴力少女だ」
目が覚めたとき、病院だった。
「上月さん、大丈夫ですか?」
看護婦さんが声をかけてくれた。
しかし愛華は無言で首を縦に振る。
「なにかあったら、気軽に声をかけてくださいね」
優しく声をかけてくれるが、やはり無言だ。
ただ何か、体に違和感を感じる。
傷つけたい。
ただなにかを傷つけたい。殺したい。暴力を振るいたい。
「うらぁ!!!」
看護婦さんを殴る、蹴る。
「上月さん!?上月さん!?どうしたんですか!?上月さん!?」
愛華は取り囲まれる。しかし、その人たちをすべて蹴散らし、入院患者をも襲おうというギリギリの所で取り押さえられた。
愛華は完全に、暴力少女と化していた。
もう永遠に暴発し続ける。
『誰よりも強く』
「うがぁぁぁ!離して!上月さん!離してください!…ぁがっ!!」
「ぁあ!?うがぁぁぁぁ……」
『誰よりも冷酷で』
「ねえ、ここから出しなさい!」
「駄目だ!上月さんは暴発する!あぁっ!?」
『誰よりも空しい 独りぼっちの 暴力少女に』
終わり
その後、惣実とカイの行方を知るものはいません………
いままで愛読ありがとうございました。




