第3章 わんわんの賭け
山南が部屋から出て行き、静まり返る坂本達だったが、のりおが静かに口を開く。
「わんさんなんでもっさんを止めたんですか?」
それに同調して麻美も口を開く。
「そうよ!助けてくれたかもしれないじゃん!」
「アホか!未来から来ました。帰り方教えてくださいとでも言うのかよ。誰が信じるんだよ。そんな話し」
わんわんは麻美に強く反論した。
それに対して恭子もわんわんに同意する。
「そうよね。逆に頭がおかしいと思われちゃうしね」
2人は納得しつつ再び黙り込む。
そんな中、わんわんが坂本に目を向け質問する。
「なぁ?さっきあの人に何年か聞いてたよな?確か元治だっけ?」
「ああ…うん」
わんわんは坂本に尋ねる。
「元治って暦だと何年なん?」
「1864年だよ」
「なるほど、んでこの頃の新撰組ってどんな感じなん?」
「6月1日って言ってたから、まだ池田屋事件の前だね。新撰組が世に知れ渡ったのが池田屋事件以降だから、まだそんな知名度はないはず」
わんわんは目を瞑りしばらく考え込んでいた。
「なぁ?お前もちろんこの先どうなるかわかってるんだろ?」
「まぁ大体は…史実があってればだけどね」
「なら今からその池田屋の前後に起きた事を聞かせてくれ。何か突破口があるかもしれない」
会話を聞いてた麻美がわんわんに尋ねる。
「どうする気なの?」
「まぁなんとかする」
坂本はわんわんにこれから池田屋の前後に起きた事を簡単に話した。
それを聞いてわんわんが閃き不気味に笑う。
「よし!これならなんとか行けるかもしれない」
「な、なにすんだよ」
わんわんがこの顔をすると、ろくなことが起きないのは全員よくわかっていた。
「お前のその顔まじで嫌な予感しかないんだけど…」
「本当そうだよね。中学校の時、車借りて夜中乗り回す前も同じ顔してた…」
麻美の発言に恭子とのりおは驚く。
「あの事件、麻美も乗ってたの?」
「え?いや…アハハ…乗ってないよ」
焦りながら否定する麻美。
坂本とわんわんは墓穴を掘る麻美にニヤつく。
「笑える。まぁ乗ってたしなー」
「ちょっとだまんなさいよ!」
呆れ顔をする恭子とのりお。
全員笑い、ちょっと和やかになった坂本達であった。
だが笑ってる場合じゃないと思い、坂本がわんわんにどんな作戦か尋ねる。
「んでどうするのさ?」
わんわんがその作戦を語った。
それを聞いた坂本は驚き反論した。
「ダメだろそれは…それをやったら歴史が変わっちゃってやばいんじゃ…」
「歴史が変わる?知るかそんなもん。自分達が生きるか死ぬかの瀬戸際で、そんな事考えてられるかよ!」
反対する坂本に対して麻美とのりおも同意する。
「そうよ!まだ死にたくないし!」
「そうしましょうよ。全員で助かりましょう」
腑に落ちない顔をする坂本に恭子が提案する。
「なら歴史が変わらない様に、最小限抑えて大事なとこだけ話せばいいんじゃない?」
「そうだよ!そうしてよ!」
恭子の提案に激しく同調する坂本に対して、わんわんは面倒くさそうにしていたが渋々同意した。
わんわんは更に坂本に質問する。
「ところで、局長と副長って誰?」
「局長は近藤勇」
「麻美と同じ名字だね」
「そうそう。んで副長が土方歳三だよ」
「鬼の副長ですよね」
「そそ。おそらく土方歳三が厄介だと思うよ」
恭子は不思議そうな顔をした。
「鬼なの?」
「ああ。土方は新撰組の規律を厳しくして、隊の結束を固めて来たんだよ。かなり冷酷だったて言われてる」
「どう冷酷なの?」
「規則を破った奴らは容赦なく切腹」
「こわっ」
不安になる麻美。
「まぁ失敗したらみんなでジャパニーズハラキリをやろう!」
明るく言うわんわん。
「嫌だよ。馬鹿じゃない」
軽々しく言うわんわんに麻美が苛立つ。
だが坂本ものりおも笑いながらわんわんに同調した。
「そうですね〜」
「頭のキレるわんわんがダメならもうどうしようないしね〜」
呆れる麻美。
「あんたら単純すぎ」
「まぁもっさん達らしいじゃん。」
恭子も呆れつつも笑顔で言う。
そして運命の襖が開く。
この先5人がどうなるかは、わんわんにかかっていたのである。




