最強は混沌と接す⑨
こんな時間に投稿するな!と言われそうですが、ようやく書き終わったので許してください(;´・ω・)
ヘスティア城大会議室に入った途端感じる重い空気。その原因は、キレてますよと目と身体で威嚇している白影である。
隣で苦笑いを浮かべているロゼ。白影の方を見ないようにしているメンバー達。震えあがるアース主従。小春ちゃんが僅かに頷いたのが見えて、気付かれないように息を吐いた。
しかし、この室内の雰囲気面白い。白影がキレてるのは良いけど、白影やロゼの後ろにいるのまで当たり前の顔で不愉快です! と言っている。その態度が私には不愉快なんだけど、などと思いながらいつも通り議長席へ歩く。
楕円状に並んだ椅子はほぼ埋まっている。時間前行動ができるみんなには感謝だ。ヒガキ特製濃厚ミルクティーとナッツタルトを机に置いて、会議と言うか今後の諸々についての話し合いを宣言する。
「じゃ、始める」
「……? それだけっ!!」
「は?」
私が説明するより、先生の説明の方が簡潔で分かりやすいでしょ? 何が不満なの? という意味で首を傾げておく。先生は、その動作だけでしっかり意味を理解したらしい。
「説明するな――」
先生がツラツラと説明し始める。
先生の声を聞きながら、まるで読経のようだななどと思いつつアース以外を観察しておく。
ロゼは相変わらずの苦笑い。まー、裏で話してるからなんだけど、もう少し表情筋鍛えて出直してこいと言いたい。一方の何も知らないであろう白影は、眉間に深い皺が刻まれている。ロゼや白影の後ろに立つシルバーガーデンの幹部――名前忘れた――は、露骨に蔑むような視線を雪継と千桜へ向けていた。
二丁目には、予めお願いしておいたので一歩引いて傍観姿勢を貫いてもらっている。
「――以上だ」
説明が終わり、私が言葉を発するよりも前に白影が挙手する。
「白影」
「どう補填するつもりだ」
補填ねぇ~? そんなもの何も必要ないと思うけど? 一体何を言ってるんだという話だ。
そもそも必要な素材を買ってきて時間かけて作ってるのは私であって、シルバーガーデンや二丁目、アースはそれを技術料引いた原価購入しているにすぎない。
白影がキレる理由は、補填云々の事じゃないと思っていた。私的に白影がキレる要素は、雪継と千桜の迂闊さや警戒心の無さにだと思っていたのだが、どうやらロゼの言う通り一本気な白影は言葉巧みに諭され操り人形と化しているようだ。
どうせ出すなら腐った膿は全部出し切る方が良い。なら、私が最初に言葉挟んでもいいよね?
一応視線で宮ネェ、先生、ロゼに確認をとる。それぞれ、瞼での許可が下りたところで、口火を切る。
「ねー、補填って何?」
「経験値スクロールの補填に決まってるだろ!」
「何故、経験値スクロールの補填をアースがわざわざする必要があるの?」
さっきの話し合いでアースに対する罰として、アースへの経験値スクロールの供給は少なくすると言う事にした。でも、それには理由があるし、補填と言う意味ではない。
「世界戦のために経験値スクロールは皆が必要な物だろう? だから補填は必要だろう!」
「いや、必要ないだろ?」
「私も必要ないと思うわ~」
「先生も宮ネェもなんで必要ないとか言うんだよ! 雪継たちは他に経験値スクロール回してたんだぞ!」
身内を信頼している事自体は悪い事じゃない。だが、身内の言葉だけを鵜吞みにして判断を下すのは愚かなことだ。
用意していた飲み物を一口飲んでから、白影と再び視線を合わせる。
「ねー、白影、よく考えて欲しい。シルバーガーデンに回した経験値スクロールの数が少なかったことはあった?」
「……」
白影の頭が否定するように左右へ振られた。
「私がシルバーガーデンよりもアースを優先して経験値スクロールを回した?」
「……」
またも否定する白影。そんな白影の後ろに立つシルバーガーデンのメンバー達を視界に収めながら、これまで溜まっていた鬱憤を晴らすべく少し口調を強めながら言葉を発していく。
「補填と言うけど、よく考えて? 経験値スクロールを作るための資金や素材は、同盟の資金じゃなくて私が個人的にお金を出してる。それを各血盟が素材代金のみで購入してる。毎日何百枚って言う経験値スクロールを作るのに、狩り時間を削ってまで作ってる。各血盟にきちんと必要枚数が回るようにと思って」
「renちゃんには、いつも感謝してるのよ~ん?」
「あぁ、renには感謝してる」
小春ちゃんとロゼが感謝を伝えてくれる。雪継と千桜は二人の言葉に何度も頷いていた。
「白影にもう一度聞くけど、シルバーガーデンがアースの件で、アースに補填を請求する権利があると思った根拠は? どうしてこの件で何も協力していないシルバーガーデンが、ここまで強気で言えるの? この程度の事で補填がどうこうという必要がどこにあるの? ねぇ、こういう言い方は好きじゃないし言いたくなかったけど、同じ同盟の仲間であるアースを蔑んでるメンバーがいるって理解してる? 貴方が一番嫌っていた行為を、貴方の仲間がしてることに対して何故前みたいに叱らないの?」
驚いた様子で私を凝視する白影から、視線を逸らすことなく言い切る。白影と言うよりは白影を言葉で信用させたシルバーガーデンのメンバーからすれば、経験値スクロールを少しでも多く回して貰いたいだけだったはず。だけど、私がどうしてシルバーガーデンの我儘を一方的に受諾しなくちゃいけない? そんなことをするぐらいなら、同盟を解散した方がよほどいい。そもそも同盟を作った際にも言っておいたはずである。面倒だと思えば同盟は解散すると。
「それで、どうするの? 補填って何をさせたいの? 経験値スクロールが余分に欲しいとか言うなら、面倒だから同盟解散でいい?」
白影に向けていた視線をロゼへ変えて確認をとる。
「いや、解散は止めてくれ」
「でも解散しない限り、補填を求めるんでしょ~?」
私の方を見た宮ネェが、事前に決めて置いた合図を指先で示す。それを見た私は、机の上にあるカップを手に取った。
どうやら私はここまでらしい。ま、私はどうしても言葉がきつくなるし、言わなくていい事まで行ってしまうので会話は宮ネェや先生に任せた方が良い。その代わり、会話しない分経験値スクロールを作れと視線で言われているような? 仕方ない、先生と宮ネェが言うなら作りますよ……。




