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レジスタンス  作者: 猪仲
既知で未知の場所
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既知で未知の場所

【Г2058/8/11】


タイムマシンが時間跳躍に成功、1000年後へ時間跳躍することに成功した。出現した位置が悪かったのか、タイムマシンは横転している。


「いッ・・・・あ、こ、ここは・・・どこだ・・・」


アンドレイは頭を打ったのか意識が朦朧としていた。一体何をしていたのか思い出すのに時間がかかったが、思い出した瞬間に時間跳躍する寸前の光景がフラッシュバックした。



「ナビ・・・・生きてるんだろうな・・・クソッ・・・」



何よりナビの安否を気にした。自身の研究が原因でどんどんひどい状況になっていく、ましては幼馴染にまで危害が加わったとなると正義感が皆無だったアンドレイにも、罪悪感が生まれていた。



「そうだ、リナ・・・山本・・・大丈夫か・・・」



タイムマシンは90度傾いていて、座席なのか壁なのか今のアンドレイには把握するのが難しかった。タイムマシンのドアが空いていた。はずみで開いたのか、それとも誰かが開けたのかはわからない。前方にリナが倒れていた。どうやら頭を打ったらしく頭部から血を流していた。



「おい、リナ!大丈夫か!しっかりしろ!」


「ん・・・・あ、あれ?ココは」


「時間跳躍には成功したらしい、タイムマシンの時間表記が2058年になってる」


「時間跳躍・・・?兄・・・なんの話?」


「頭を打って記憶が飛んだのか?俺が誰かわかるようだな、自分の名前を言ってみろ」


「リナ・ワーグナー、16歳。えっと・・・あれ」


「間違いないな、ここにきてこれか・・・」



ひとまずタイムマシンを降りて周りを確認してみる。座標計算が正常に働いていたとするなら、ここはヴァストークのはずだ。しかし周りを見渡しても岩場しか見えないあげく、人家や人らしき姿もない。



タイムマシンを起動させ、姿勢制御を試みたがタイムマシン自体に損傷はなく、無事に姿勢制御をすることができた。ひとまず移動手段にこまることはなさそうだ。



「そうだ、山本はどこだ?ドアが空いていたがどこかに飛ばされてしまったのだろうか?」


「山本・・・・あ、師匠・・・・」


「そこは覚えているんだな?お前はRM剣の使い手というところは?スキルは使えるか?」


「うん、それは覚えてる」


「ということは何かが襲ってきてもひとまず安心だな、安全圏がどこにあるのかはわからないが移動しよう」



山本はとりあえず後回しにし、タイムマシンを操作して人家がないのかを確認した。少し北に向かったところに街があった。しかし、ヴァストークのように近代的な建物が立ち並んでいるようなところではなく、石造りがメインの家々が数件あるだけだった。


文明レベルに変動があった可能性を考慮して、人目のつかないところにタイムマシンを置き、歩いて聞き込みに行った。



「道を訪ねたい、ここはこの地図でいうとどこかわかるか?」


「旅の方かね?この地図は・・・どこの地図だい?」


「ここはヴァストークでは?」


「ああ、確かにそうだよ?ヴァストーク島だ。地図を見るかい?」


「よろしく頼む」



話をした人物がちょうどこの街の町長のような人だった。建物から戻ってきた町長から渡された地図を見て驚愕した。ヴァストークの地図とこの地図を比較すると細かい地形は大体あっているものの、島の殆どが沈んでいる。


1000年の間に地殻変動があったのだろうか?ヴァストーク政府がこの島を破棄するのも頷ける。それでもここには未だに人が住んでいるところを見ると、政府が破棄したというよりかは自然と軍や民間企業が撤退して衰退したのだろうか?



「なるほど、俺が持ってる地図は古いだけなのか。あんたの地図少しだけ借りてもいいか?」


「構わない、それより泊まるところを探しているならちょうど空き家がある。使ってくれ」


「すまない、金がないんだ」


「金はいらない、少し街の農業を手伝ってくれればそれでいい」


「それはありがたい、すまないがすこし厄介になる」



生活拠点を得ることができた。これで当面の食料や住居の問題は回避できそうだ。とりあえずリナを呼んで、借りた家を教えた。


頭を打ったせいか未だにフラフラ歩いているように見える。少し心配だが、大丈夫だと信じてアンドレイは時間跳躍機を探すことにした。



1000年後に半ば逃げるようにきたが、追手が来ることを考えると時間跳躍機を少し改良する必要がある。おそらくシガールが時間を稼いで切れているだろうが、時間を移動できる以上一刻も早いほうがいい。


リナに書き置きを残し、早速探しに行った。島の大部分が沈んでいるということは、おそらく海底か地下にあるはずだ。タイムマシンの中にはナビが実験に参加したときに搭載しておいたキットがある。



その中に強力な爆弾があり、それを使えば強化樹脂剤以外吹き飛ばすことができる。強化樹脂で作られたツァイトヴェトリーブは壊れない。つまり時間跳躍機は無傷で簡単に捜索できるのだ。


古地図と新たしい地図を比較して、大体のめどをたてて早速爆弾を地下に埋め込んで起爆した。どうやらツァイトヴェトリーブがあると及ぼしき地点は地上部分で、海に沈んでいる区画ではなかった。



とてつもない地響きのあと、爆心地へタイムマシンで降りていった。球状に破壊された地層の中に黒い建物のようなものが見えた。おそらくあれがツァイトヴェトリーブである。強化樹脂剤は特殊な溶液を使うと簡単に壊すことができるため、内部への侵入は簡単だった。


長い年月の間強化樹脂剤に守られていた建物の内部は、1000年という長い年月を耐え抜き殆ど変わらない様子だった。時間跳躍機も、とんだときとほとんど変わらないように見える。



「これなら無事に起動することができるかもしれないな」



早速時間跳躍機の調整に入った。時空アンカーの設定を切り替えればこちら側の情報を読み取ることはできなくなると踏んだが、データサーバーのスーパーコンピュータを用いれば誤差で済むだろう。それよりもあのあとどうなったのかがどうしても気になった。



アンドレイはなんとかして向こうと情報交換はできないかを考えることにした。情報というものは物体と違い、質量がないため簡単に転送できる。


あとはシガール側が受信体制を確立しているかどうかだが、携帯デバイスに強制的に転送することができれば問題はない。とりあえず試しにシガールに暗号文を送信してみることにした。



「シガールへ、ナビは無事だろうか?心配なのでメールください。これでよし」


「アンドレイへ、時間跳躍機の時間軸設定を1000に切り替えて操作できないようにロックしておくこと、これでこの機械はこっちとそっちの時間が同期されて自由な時間に時間跳躍することができなくなる」



アンドレイはナビの安否がわからないのが気がかりだったが、とりあえず言うとおりにすることにした。これでこちらが一日経過すると向こうも一日経過したタイミングでしか時間跳躍をすることができなくなる。


不便なことといえば、こちらが連絡した場合相手の返信を待たないといけない点だが、デメリットを考えると気にはならない程度の問題だ。ひとまずの問題はクリアしたため、そのまま時間跳躍機を使えるように修復と調整を始めることにした。



【Г2058/8/13】


リナは帰らぬ兄のことを心配しつつも、街の住人と親しくなっていた。ヴァストークとは比べ物にならないくらい技術のレベルは低いが、食料や衣服は殆ど変わらない。言語も変わらなかったため、一安心している。


といっても現在リナは記憶の一部が曖昧になっているため、そんなことは気にもとめていないだろう。居なくなった兄を探すために、兄が残した書き置きを見るが謎の文章が書いてあるだけでリナに読むことができなかった。



ひとまず街の本屋さんに暗号文を渡すために移動することにした。



「いたい!!」



16歳の少女が盛大にすっ転んだ。まだ頭を打った影響なのか、それともただドジなだけなのかはともかく、ころんだ拍子にRM剣がすっ飛んでいったのは問題だ。切れ味が尋常じゃないため人にあたったら大惨事間違いなしである。



「本屋さん、少し見てもらいたいものがあるんです」


「ああ妹ちゃん、いいよ?何を見てもらいたいんだい?」


「これなんですけど、しばらく兄が帰らないので探しに行きたいと思うんです」


「どれどれ、えっとね、これのどこがわからないの?」


「読めないんです、なんて書いてあるのか」


「えっとね、少し言いにくいんだけど」


「なんですか?」


「これ、逆読みになってるだけだよ?君のお兄さんは変な人だねぇ」


「うわあああ!本当だ・・・・ごめんなさいこんな大したことないことのために・・・」


「いいや、いいよいいよ。妹ちゃんにはお世話になってるから」


「じゃあちょっと行ってみますね」


「気をつけなよ、転ばないようにね」


「はー・・イダ!!」


「・・・大丈夫かな?」



暗号文・・・ではなく逆読みに書かれた文章は



”王の間の石材を辿っていけ、そこに俺はいる”



である。王の間というのは街はずれの昔王様が居たとされている遺跡だと本屋が言っていた。その王の間から点々と石材が伸びている。これを辿っていけば兄がいるところへいけるんだろうか?



「高い、なんでこんな変なところに・・・」



高いのはそこだけではなかった、球状に開いた巨大な空間。側面は一部ドロドロに溶けていてマグマが流れているかのようだった。アンドレイが使った爆弾の影響だが、リナに知る余地はない。



「やっと下に降りられた、で。ここは一体どこなの?」



黒い建物のような箱があり、その中に入ってみると明かりが灯っていた。なんだか見覚えがある、そう思いながら中を散策していると、見覚えがある人影がそこにあった。




「よくココにたどり着いたイタイ!!!!」



日頃の鬱憤というよりさきほどのメモが相当頭にきたのだろう、勢いよくアンドレイを殴り飛ばした。アンドレイは姿勢を崩さず後ずさりしてもう一度言った。



「よ、よくここにたどり着いたな、流石我が妹だ!」


「うるさい!!このバカ兄!メモなんで逆に書いたんだよ!」


「フフフフ、ヤツらは普通の文字は簡単に解読できるからな」



アンドレイはリナにたいして全てを説明するのが面倒なため、テキトーなことを言ってあしらうことにした。ヤツらというのはアルフォード達のことであるが、そんなことを今のリナにいっても無意味である。



「ヤツらって誰のことなの?」


「さぁ?俺も古代人の文章を見ただけだからな、とりあえず予言によるとだ」


「わからないのかよ!!わからないのかよ!!!わからないのかよ!!!」



再びアンドレイを殴りつけた、今度はふっとばされたアンドレイだがまた冷静に立ち上がって言った。



「あまり時間がない、急いでヤツらの襲撃に備えて装備を整えるんだ!!」


「装備?装備って街にあるダイヤ装備のこと?」


「違う、お前RM剣持ってるだろ?覚えてるだろ?それくらいは覚えてないのか?」


「覚えてない・・・で、そのRMって装備を整えればいいの?」


「いや、ダイヤでいい。とにかくダイヤをかき集めてくれ。RMは特殊な方法で作るものだからな」


「・・・わかった」



上に登るのはかなりきついと思ったため、タイムマシンを使って上に送り届けた。アンドレイはとりあえず時間跳躍機の調整は終わり、シガールの返事を待っていた。送った内容は



「1000に設定して固定完了した。これから30分後にもう一度送信するから時間の誤差がないか見てほしい」



「30分が経過した。確認してくれ」



これを確認できればとりあえずの問題は解消する。あとは仮に国防軍が計画に基づいてフェイズ2の日本軍との戦争状態にならないためにもここで迎撃できるよう迎撃システムを構築しておけばとりあえずの保険になる。


それともう一つ、ナビと接触した日本軍とどうやってコンタクトを取るかだ。先手を打っておけば最悪戦争にはならないかもしれない。あと山本もあれから見つからないため探さないとまずいことになる。



リナにダイヤ装備系を集めさせた理由は、物質エネルギーが天然素材でもっとも高いからだ。当然ダイヤ自体かなり値段が張るものであるため、そんなに手に入れることはできないだろうがないよりはマシだ。


シガールからの返事を待ちつつも、アンドレイは何を準備すればいいのかをリストアップするのであった。

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