05:グロテスク
【森の中】
「……よし、大丈夫だ。追っていける」
俺は地面にできたすれた後を追いながら歩いていた。
どこに男が見ているか分からない。
木に隠れながら、ゆっくりとけれども確実にあの男を追っていく。
「……ん? なんだ? この声は?」
しばらく歩くと、どこからか小さな歌声と、これまた小さく連続した悲鳴が聞こえて来た。
「ま、まさか……!」
嫌な予感がした。
地面にできた後を走って追う。
「いっいーなー……いいなー強姦っていいなー……キツキツ膣内どろどろせいっしー……泣いても死んでも止めないだろなー……僕もやろーお皆でやろお……」
「あっ……がっやめっ……たっ……」
そこには、醜い現実があった。
男が、女の手を押さえながら腰を振っている。
女は目に涙を浮かべ、男は私服の笑みを浮かべていた。
「あ、……あぁ……」
男に、なすすべなく犯される女性が煌と重なって見えた。
「うわああああああああああああああああああああああああ!!!!」
わけがわからなくなり、叫ぶと男がゆっくりと立ち上がりこっちを向いた
「あぁー……お前かァずっと俺を追ってたのはァ……」
男はニタァと笑いながら
「お前も一緒にやるかァ?」
俺の中で何かが音を立てて崩れた。
この男は生かしてはいけない。
生かしていたらまた誰かが襲われて、犯されて、殺される。
誰かが、コイツを殺さなきゃ
「……す」
「あぁ?」
「ま、守らなきゃ……」
「何言ってんだ? お前は……」
「き、煌を……守らなきゃ……」
「はぁ? 煌って誰だよ……」
「うわああああ!!!」
男まで全力で走り、顔をめがけて思いっきりこぶしをふるった。
人生で初めて、人を本気で殴った。
男は、少しだけ後ろに後ずさる。
「なんだお前は!? 死ね!!」
「ぐっ……うぅっ……」
苦しい、息が出来ない。
必死にもがくが男の手は緩無ことなく俺の首を絞め続ける
「ひっひ……俺のアルカナ、悪魔の能力は触れたものを爆弾に変える……なんでお前にしゃべるか分かるか?」
そのあとはもう、予想がついた。
冷や汗が流れる
「お前はスデに爆弾になった」
死。
それはもう、確実だった。
「ぐっ……うぅっ……」
「あん?」
男の目線が下に行く、その先には俺が持ってきたボールが転がっていた。
どこにでもある、普通のボールだ。
ただ、1つをのぞいて……
「な、なんでこのボールがある!?」
「……」
「こ、このボールは俺が爆弾に変えたはずだ! なぜ、なぜここにある!」
「…………」
「お前、何をやった……」
男の問いに俺は答えない。
「ジャスティス……」
「は……? グボァッ!!!」
目の前で、小さな爆発が起こり男の上半身が消えた。
まるで上半身だけ何か巨大な生物に喰われたように、骨が、腸が、脳が、血が、文字通り消えた。
よくわからない肉片が、辺りの木にかかる。
「驕らなければ、俺を殺せて……いや、無理か」
人を殺してしまった実感はまだわかない。
ただ、ただ俺は
「煌を……守れた……」




