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4Died  作者: 秋野空
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01:異世界への招待状

3月17日→誤字修正

【宮森高等学校 3年教室】

今日は確か木曜日か、明日学校に行けばもう休みだな。


「なぁなぁ、今日どっか行く?」


横から声が聞こえてきた。

シャーペンを持ちながら何やら紙に書いている。


「いや……今日はきらめが来る予定だから」


俺さ少し考えてから言った。

鳴藤はにやり、と口の端をあげ


「おーおー、お熱いことでー」

「そんなんじゃ……ないけどなぁ」

「でも好きなんだろー?」

「んー……ん」


鳴藤とはいつもこんな会話をしているが、別に嫌ではなかった。

かといって好きでもないが。


「よーし、お前らー席に着けー終礼を始めるぞー」


担任は教壇に立つと、何やら紙を黒板に張った。


「はーい、今日は連絡事項が一点。えー……知ってると思うが、近頃行方不明事件が多発している。不審な人物がいたら直ちにその場から離れ、警察に電話するように。以上。気を付けてかえれよー」

「神隠し……か」


全国連続行方不明事件……通称神隠し。

ネットじゃあどこかに売り飛ばされてるだとか、世界の滅亡だとか……いろいろある。

まぁ、気をつけるのに越したことはないか。


「きりぃーつ」

「気を付けぇー……れい」


【宮森高等学校 昇降口前】

目当ての人物を見つけた俺は駆け寄る。


「いやー、ごめんごめん」

「遅い……」


煌はケイタイをいじりながら返事をした。どうせまたゲームでもしてるんだろう。

寝癖も若干残っている。


「ごめん」

「はぁ……たっく……どこ行ってたの?」

「いや、ちょっと終礼で」

「あー……ナルホド」


俺たちは他愛のない会話をしながら帰路を歩いている。

煌は相変わらずゲームをしているが……ちゃんと返事をしてくれる。

何だかんだいって俺の話をちゃんと聞いてくれてうれしい。


「で、……今日は何食べたい?」

「うーむ……なんでも?」

「なんでも……ねぇ……それが一番メンドい……」

「いや、でも煌の料理美味しいし……」

「……はぁ……じゃあなんでもいいのね?」

「うん」


煌は幼馴染で、たまにこうして料理を作りに来てくれる。

俺の両親は『高校卒業してから困らないように』と、俺を一人暮らしさせた。


松実優弥まつみゆうや家】

「ふぅ……じゃあ荷物はそこらへんに」

「時すでに置いた」

「そっか……ジュースでも飲む?」

「オレンジ……100パー」

「わかった……」

「私は料理作ってる」

「ん」


ジュースを飲んでから煌はエプロンを着てキッチンに向かった。

トントントンと小気味いい包丁の音が聞こえる。

こうして、誰かが自分のために料理を作ってくれるというのは幸せなものだ。

それが好きな人ならなおさら。

数十分後、エプロンを脱ぎながら煌が帰ってきた。


「ダルかった……」

「ありがと、はいジュース」

「ん……ぷはぁ」

「まだご飯まで時間あるけどどうする?」

「んー? ……ゲームやる」

「ん」


俺はテレビとゲームをつなぎ、コントローラーを1つ渡した。


「なぁ……」

「んー?」

「煌ってレースゲームだと体ごと動くんだな」

「ばっ! 馬鹿! 見るな馬鹿!」

「痛っ! 痛いです! だめ! 目はだめ!」

「はー……はー……ったく、……そっちが悪いからね」

「っつー……ん?」


玄関の方からコツン、と音がした。

郵便でも来たのだろうか。


「ちょっと見てくる」

「ん」


玄関まで行くと、黒い小さな封筒が1枚落ちていた。

裏には何も書いていない。

ってことは、自分で持ってきたってことか?


「なんだこれ……」

「なにがあったの?」

「んー……と、封筒?」

「封筒? 何色の?」

「黒」


俺の返事をきいた煌はゲームを中止し、振り向いた。


「それ……私の家にも……」

「マジで?」

「うん……ホラ」


煌は鞄の中からこれまた黒い封筒を取り出した。

煌の封筒も何も書かれていない。


「何だろう……」

「開ける?」

「うん」

「じゃあ……はい、鋏」

「ありがと、煌は?」

「そっちが終わってからでいいよ」

「そう……」


ジョキジョキと鋏で切っていく。

中に何かとんでもないものが入ってるのを想像したが、なんてことはなく1枚のカードが入ってるだけだった。

黒色のカードは表には王様?が剣を持った絵とその下に『No11.Justice』と書かれていた。

そして裏には白色の●が6つ書かれていた。


「じゅー……じゅすてぃせ?」

「ジャスティス……正義っていうタロットカード」

「詳しいな」

「そ……そのちょっと前に占いで……」

「へー煌って占いとかしてたのか、何か以外」

「うるさい……それより、裏の●はなんで6つ?正義は11か……8なのに」

「そうなの?」

「うん……」

「そういや……煌は?」

「鋏貸して」

「はい」

「私は……」


煌のカードは四隅に動物、真中に天使が描かれていた。

丸は描かれていなかった。


「えっと……わーど……?」

「ふふ、ワールド。世界」

「あ、今笑った!」

「笑ってない」

「笑った!」

「笑ってな……ふふ」

「むぅ……でも何だろうなこれ」

「さぁ、誰かの悪戯……かな? だる……」

「悪戯かぁ……」

「うん」


結局カードの話は終わり、俺たちはゲームをして遊んでいた。

夕日が窓から俺たち二人を照らす。


「じゃ、ご飯でも食べるか」

「うん、あっためてくるね」

「じゃあ俺はゲームかたずける」

「わかった」


ゲームを片づけていると煌がどんぶりを二つ持ってきた。

卵のいい香りがする。


「今日は親子丼」

「すご!」

「ふふ……頂きます」

「いただきます」


一口、食べる。

卵と玉ねぎの味が口いっぱいに広がる。


「うまー」

「よかった」


2人で同じ料理を食べて、一緒に笑い合う。

俺は、この時間がとても好きだ。


「ごちそうさまでした」

「お粗末」

「じゃあ、先風呂入っていいよ。俺食器洗ってる」

「わかった……えっと着替え着替え」


煌が、風呂からあがったら、今日こそ告白しよう。

ここ2・3カ月、何度も言おうとしてきたが不安になって言えなかった。

もし、煌にはそんな気なんてなかったら……そう考えると怖いのだ。

この関係が終わりそうで。

だったら、だったら言わない方がいいんじゃないか?

そう……考えてしまう。


「はぁ……」

「きゃあああああ!!! 離してええええええーーーっ!!!!」


食器を洗い始めて数分たったころ、それは聞こえてきた。


「き……煌!?」


間違いなく、それは煌の声だった。

何か尋常じゃないことが起こっている。


「き、煌! どうした! 大丈夫かきら……め……」


急いで駆け付けたそこに、誰もいなかった。


「え……き……きら……どこだ! 煌!」


あたりを探すが、どこにも煌は居ない。

いや、そんなはずはない!


「煌! どこに……どこに行った!?」


後ろで、音が聞こえた。

ヒタ……という、音が。


「煌か! お前どこ……に……」


後ろに居たのは、煌なんかじゃあなかった。

黒いコートを着た……人……なのかあれは……?

コートから出ている手は人間のものとは思えないほどに白く、気持ちが悪かった。

顔はフードで見えないが……。


「お、お前誰だ! いつからそこに居た!」

「プレイヤーナンバー……イレブン……マツミ、ユウヤ……さんデス……ね?」

「は、はぁ!? 何で俺の名前を!」

「ゲームの準備が整いました……」


目の前のそれは、俺の質問に答えることなく、それだけ言うと、謎の生物はドアの向こうへ消えた。


「お、おい! おい待てよ! ゲームってなんだ!? 煌をどこへやった!」


「う……」


ドアの向こうには床も、天井も、壁も……すべてがあの生物の肌のように白い部屋が広がっていた。


「なっ!? ここは……!?」


後ろを振り向くがドアはすでになく、白い壁になっていた。


「き、きら……煌……煌ぇええええーーーーーっ!!!」


【謎の部屋】

この部屋に入ってから、何分がたっただろう。


「うっ……うぁあ……煌……煌はどこに……」


『全プレイヤーの皆さま、ようこそお集まりいただきました。これより、ゲームのルールを説明いたします……』


「え……? な、なんだこれ……どこから……」


『この世界から生きて帰る方法はただ1つ……』


「こ、この世界……?」


『プレイヤーが4人、死亡することです』

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