過去
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過去
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俺の名前は服部 天馬、鞍馬隠密流忍術を使う鞍馬忍軍の中忍だ。
恥ずかしい話だが、俺はいつも人形と一緒にいる。
安心するからだ。
子供みたいと同僚にも良くからかわれているが、これは俺なりの平常心を保つための手段なのだ。誰にも文句は言われたくない。
もはやこの人形と俺は家族みたいなもの、相棒みたいなものだ。
しかし、それは俺が上忍になる時に終わりを迎える事になる。
それは鞍馬忍軍の長からの言葉
そう、絶対に逆らう事の出来ない相手からの命令
「天馬よ・・そなたも今日から上忍じゃ。」
「はい。」
「上忍なるもの、下の者に舐められてはいかん。分かるな?」
長の目は冷たい。俺には次にくる言葉が分かっている。いや、予想が付いている。
だけど、それは俺には最悪の言葉で、できれば外れてほしいと思っていた。
「天馬よ、人形を捨てよ。それは我らには必要のない物じゃ。」
「・・・」
「その人形のせいでお前は下の者に低く見られるかもしれん。即刻捨てよ。これは命令じゃ。」
「・・・はい。」
忍にとって上からの命令は絶対だ。
これを破った者は死罪と言う事になっている。
俺は涙を流し、そして任務の最中に人形をそっと森に捨てた。




