21 錬金術士
彼女は子供の頃から、図工や美術が好きだった。ゼロからイチを創り出す事も、既にある基礎を改良していく事も、そして何かを壊すことも大好きだった。
兵丹七葉(へいたみ・ななば)は今、ゴーレムを生産できる。
「あはっ、楽しっ、なにこれっ、やばっ」
七葉の手は、淡く黄緑色に光っていた。
「飛ばし」直後から七葉はここを一歩も動いていない。昼間とはいえ不気味な雰囲気のただよう墓場なのだが、七葉は墓石にもたれて一心不乱に何かをしていた。目線は自分の手だが、その目はどこか遠くを見ているようなそんな目。事実七葉は今、外界の景色など眼中になかった。
七葉が能力行使を意識すると、脳内に展開されるいくつかの入力欄。火力、速度、耐久。その名の通り非常に分かりやすいこの三つの数値は、七葉がこれから生み出す物質の基礎ステータス。そこに材質を決めて、一つの命令を組み込む。それだけでゴーレムは七葉の隣へと徐々に顕現されていく。
材質土。火力50、速度30、耐久20のツッチー。
材質木。火力15、速度60、耐久15のモックン。
材質石。火力25、速度15、耐久60のトントン。
これまで作ったのはその三体だ。周囲に存在する材質からしか作製は出来ないらしい。別に名前まで付けなくても良いのだが、それは七葉の性格故。
七葉の感知では時間はそう経ってはいないが、外界では既に三時間が経過していた。実は、ゴーレム作製モードに入ると外界と切り離された時間感覚に陥るのだが、そんなことは知らない。それに、楽しい時間は経過が早いもの。
七葉ただ自分の思うがままに、その手を光らせていた。
勿論、下す命令はたった一つ。
「『誰かを見つけ次第っ、ころせっ!』ねっ。わかったっ?」
三体のゴーレムは微かに頷いて、三方へと散って行った。
「あつっ、えっ、やだっ、なにここ墓場あっ!?」
半袖から除く白い腕が墓石に触れて、ようやく置かれた状況に気付く。熱さと不気味さから反射的に手を離した。一体のゴーレムを追って慌てて移動した。
No.29 兵丹七葉(へいたみ・ななば)17歳
【能力名】古代の錬金術士
【能力】 任意のタイミングでゴーレムを作製することが出来る能力。作製にかかる時間は一体辺り一時間で、その間自身は無防備になる。完成したゴーレムには初回一度のみ命令を組み込み可能で、今後の変更は一切不可。
【タイプ】アクティブ
【系列】 物質操作系




