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海色の瞳  作者: 徳次郎
10/21

【第10話】藤島綾香編・3

(藤島綾香編・3)


 朝から降り続く雨は、午後になっても止まなかった。

 学期末考査が間近な為、今日から一週間部活は休みになった。

「部活が休みの時くらい晴れてくれりゃいいのにね」

 ゆかりが愚痴る。

 雨の日は、ゆかりは電車を利用する。

 帰りの駅まで付き合って、綾香も駅のひさしの前で立ち話。

 綾香は雨でも自転車で来るので、ゆかりを見送ったら自転車に乗って帰るのだ。

「しょうがないよ」

 綾香は笑って応えた。

「ねぇ、アヤ。映画でも観に行こうか」

「これから?」

「うん。今から」

「試験、明後日からだよ。あたしは、いいけど・・・」

 と、ゆかりを見つめる。

「だって、アヤとはなかなか遊ぶ時間ないし。大丈夫、別に、赤点取ったからって死ぬわけじゃあるまいし」

 突然、ドンッと、綾香に誰かがぶつかってきた。

「キャッ」

「あ、ごめん、大丈夫?」

 ふざけ合っていた詰め襟の男子学生が、綾香にぶつかったのだ。

「あ、平気」

 綾香は、よろけた自転車を抑えて言った。

「ごめん、見てなくて。何処も汚れなかった?」

「うん、大丈夫よ」

 意外と素直に謝る相手に、綾香は何となく微笑んだ。

 男の子は綾香から離れると、

「お前、こんな所で押すなよ」

 一緒にいた連れを睨んだ。

「あれ、工業高校でしょ。なんか、危険だよね」

 ゆかりが、駅へ入っていく男子高校生を目で追って言った。

「そう?何か、優しそうだったよ」

 綾香はそう言って微笑む。

 それを見たゆかりは

「アヤ・・・・あんた、男に餓えてんじゃない?」



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