表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何のために生きるのか  作者:
日常
PR
9/14

お隣さん

働いていた頃は気にもしなかったことだ。


僕はマンションの二階の角部屋に住んでいる。

お隣に住んでいるのは、外国人の若い夫婦だ。

夫は朝早くから出かけ、夜遅くに帰ってくる。

妻は買い物に行く以外、ほとんど外に出ない。

子どももいないので比較的静かで、しかし面識のない夫婦である。


何でそんなに分かるかって?


無職ですから。


ご近所付き合いなんて、このご時世あってないようなものだ。

回覧板も回ってこないし、話したこともない。

それでもケンカしている声を聞いたことは一度もないあたり、仲の良い夫婦なんだろうと思っていた。


どう思われているんだろうか。


やはり無職の身からすれば、他人にどう思われているのかは常日頃から気になるところだ。

奥さんなんていつも家にいるから、僕が働いていないことくらい薄々気づいているのかもしれない。


「ちゃんと暮らしていけてるのかしら」


「お金の心配はないのかしら」


そんなふうに、赤の他人から勝手に心配されているかもしれないと思うと、何だか情けない気持ちになる。

それでも無職を貫ける精神こそ、無職であり続けるために必要な資質なんだと、最近知った。


日本語じゃないから何を話しているのかはわからない。


それでも、窓を開ければかすかに聞こえてくる二人の会話は、いつも穏やかだった。

普通に働いていたら。

普通に結婚していたら。

僕もあんな家庭を築けたのだろうか。

そんなことを考えてしまうくらいには、少しだけ羨ましかった。


つい最近、その声が聞こえなくなった。


外から様子をうかがってみると、どうやら引っ越してしまったらしい。

今度来る人はどんな人だろうか。

ちょっとした楽しみができた今日この頃。


入居者募集中。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ