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赤い虫
大人になって見かけなくなったものは多々ある。
アメンボだとか、四葉のクローバー、どんぐりなどが筆頭だ。
中でも、あの赤い虫はもう十年ほど見かけていないように思う。
公園のベンチや遊具の近くによくいた奴である。
虫なのか何なのかも分からず、気持ち悪いと離れたり、暇つぶしに潰して回ったりしていた奴だ。
調べてみると、あれはダニらしい。
タカラダニと言って、春の日の当たるコンクリートやベランダ、石畳なんかによくいるそうだ。
ダニだからと言って人を刺すことはないし、無害な生き物らしい。
今さらそんなことを知ったところで何かあるわけでもないけど、ちょっと探してみることにした。
春、と言っても梅雨に入りかけの今日この頃。
よく晴れた日を狙って、近所の公園へ立ち寄る。
時間は午後三時。
子ども連れの方も多く、肩身の狭い思いをしながら砂場やベンチを探していく。
変なやつと思われないよう、子どもたちに近づかないのも忘れない。
いた。奴だ。
無駄に素早い動きで、コンクリートの上を走り回っている数匹のタカラダニを見つけた。
いなくなったのではなく、見つけようとしていなかっただけのようだ。
彼らに何の罪もないが、その中の一匹を潰してみた。
ごめんよ。君は一生懸命生きていたのに。
僕は君の屍を越えて生きていくよ。
きっと明日には忘れてるけど。




