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加護詐欺王子とは言わせない〜実は超絶チートの七転八起人生〜  作者: 如月 玲
第1章 幸運か不運か、それは神のみぞ知る

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32/103

(31)決意

「カイル。最後の話、どう考えてもきな臭い感じしかしないのだが」

「同感です。今から皆がこちらに来るでしょうから、話を聞いてしまった兄上も同席してください。少し、今後の事を相談します」

「分かった」

 兄弟二人がそのままソファーに座り直して待っていると、一度引き下がっていた四人が応接室に戻って来た。


「皆、私達と大叔父上との話を聞いていたよな? それを踏まえて聞くが、全員大叔父上の加護について知っていたか?」

「…………」

 入室してくるなりカイルに真顔で問われた四人は、気まずそうに視線を逸らした。予想通りの反応に、カイルは溜め息を吐きたくなるのを堪えつつ問いを重ねる。


「そうだろうな……。黙っていた事については、特に咎めるつもりはない。事が事だけに、変な人間に伝わったら一大事だからな。それなら、さっき大叔父上が口にしていた、先の事が視えるという加護持ちがどんな人間か、誰か知っているか?」

 そこで彼らは、怪訝な顔を見合わせてから慎重に口を開いた。


「それはさすがに、私達も今回話を聞いて驚きました。宰相様のお屋敷にいる時には、誰がどんな加護を持っているかなんて自ら触れ回ったりしませんが、なんとなく察するものです。それを知ってもお互い外には漏らさないというのが大前提で、暗黙の了解でしたが。でも私が屋敷にいた頃は、そんな加護持ちはいませんでした」

「俺も覚えがないな」

「私もたまには顔を出しているけど、八年前には屋敷を出ているから。シーラ、あなたはここに来て三年目だし、何か知らない?」

 ダニエル、リーン、メリアと続いて発言し、三人の視線がシーラに集まる。


「ああ、うん、えーっと、まあ、思い当たる節がないでもないわね」

 どうやら誤魔化す気がないのか、誤魔化しても無駄だと思っているのか、シーラの反応は怪しさ満点だった。


「そうなるとその予知の加護保持者は、やはり今現在宰相の屋敷にいる子供の中にいるのか?」

「でも、シーラの態度が怪しすぎるのよね。私達とは年代が被らないけど子供じゃなくて、過去に宰相にお世話になった三十代後半から五十代にかけての年配の人物かしら?」

「シーラの反応を見ると、とてもそうとは思えないが」

 先輩達からの追及にもシーラがとぼけていると、カイルがさっさと話を進める。


「それはともかく、宰相がそんな加護持ちを含めた子供達の保護を依頼してきたのを、お前達はどう思う? 私は宰相もしくはその周囲に、近い将来なんらかの危険性が生じると判断して、それを回避するためにこのような話を出したのではないかと懸念しているが」

 カイルが推測した内容を口にすると、ダニエル達がこぞって賛同する。


「私達も、その可能性を心配していました」

「その予知の加護持ちを追及してみるか?」

「でも子供なのよね? 下手に責めたりできないわよ」

「う〜んと、まあ、私も気になるし、それについては本人にさりげなく聞いてみるようにするので、あまり騒がず触れずにいて欲しいんだけど……」

 さすがにカイルも見ず知らずの子供に無理強いする気持ちはなく、シーラが困惑するのももっともだと理解した。


「分かった。あまり無理に聞き出さなくて良いし急がないから、可能な範囲で尋ねてみるだけで構わない」

「そうしてみます」

「それから、できれば俺が領地に出向いた後、王城や王都内の様子を定期的に把握できるようにしておきたい。最悪の事態に備えて、大叔父上夫妻を王都から脱出させる手筈を整えておければ安心なのだが」

 ダメ元でカイルは口にしてみたが、それに周囲が力強く頷く。


「それは我々に任せてください。ルーファス様のお世話になって、各方面で活躍している方は50人はくだりませんから」

「王城内の官吏や騎士はもとより、有力な商人や各方面の一人者が数多くいますからね」

「皆さん、お義父様に受けた恩をもっとお返ししたいと常に機会を伺っておられますから、話を持ちかけたら内密に力になってくれます」

「情報収集と連絡経路の構築、それから王城内と王都内で情報の取りまとめをしてくれる人を作らないと。誰にお願いする?」

「城内では財務部のレニー殿と、内務部のキシュアード殿かな」

「それなら城下の方は、バルアミー商会会頭のテランスさんかしらね。あそこは王城に出入りしているし、常日頃国外との交易で旅団も編成しているし」

「あと、トルファン領までの連絡網を作るなら、途中にも連絡拠点を作っておきたいよな」

 早速顔をを突き合わせ、白熱した議論を繰り広げ始めた四人を見て、カイルは呆気に取られた。するとそれまで黙って周囲の会話に耳を傾けていたアスランが、軽く身を乗り出しながら告げてくる。


「俺もこれまでの付き合いで気心が知れている奴と、今の王家に対して内心で不満がありそうな人間を中心に、声をかけてみる。いざとなったら力ずくで、宰相達を救出する羽目になるかもしれないからな。ここを離れる前に、できるだけの手は打っておこう。無駄になったら、それはそれで良いしな」

「ええ、その通りですね」

(不安要素が増えたが、大叔父上を縛り上げて拉致していくわけにもいかないし。今後の準備もあるし、しばらくはそちらに専念しよう)

 決意みなぎるアスランの顔を眺めながら、今後いかなる不測の事態が生じても決して動揺しないようにしようと、カイルもここで腹を括った。









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