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第10羽 追徴 ②ダンスパーティ /全員美形 -3/5-

「おい、いきなり何だ?非常識だぞ!」

レオンは速水の隣を歩いていた。

速水は手を放し、先を行く。


―。

丁度その時、庭からウルフレッドの声が聞こえ、速水は姿を探した。

「ご主人様は何処かしら。あら、美味しそう。まあ!何て素敵なご趣味のお嬢さん!」

そして速水は庭にいる彼を見つけた。


「ウフルレッド!!帰るぞ!車持って来い!!!」

速水は良く通る声で、率直な号令をかけた。その声は庭に響き渡った。


「!!!!!サー!イエス、サー!!仰せのままに!」

ウルフレッドは一瞬硬直し、はじかれたように走り出した。

「馬鹿!!ハヤミ!!やばいぞ!」

隣でレオンが慌てて叫んだ。


「―しまった!!待て!!」

速水も大声で叫んだ。

キャイン!と言う声がして壁を越えようとしていたウルフレッドは立ち止まった。と言うか顔面からぶつかった。


「車は良いから、そのまま待て!!!動くな!」

「サーイエス!サー!!仰せのままに!」

ウルフレッドは直立不動の敬礼した。もちろん植え込みの中だ。


「ぐっ!?」

衝撃を感じ、速水は右頰を押さえた。

ものすごい音がした。速水が椅子をはじき倒れた音だ。

「ハヤミ!お前学習しろ!アイツ、マジで持ってくるぞ!それか突っ込んでくる!あとお前、ちょっと落ち着け!」

レオンは速水に怒鳴った。

「あ。……、…悪い」

レオンに全力で殴られ、彼はようやく冷静に──。


速水が周囲を見ると、皆が色々な物を落としていた。



■ ■ ■



大失態を演じた速水は、ひたすら落ち込んでいた。


「お前は変わってないな。安心したぜ!」

豪邸の二階の一室で、ウィルは大笑いしつつ速水の頭をなで回していた。


あの後。

『ザッドッーグ!!!!もしかして、あれがあなたの飼い犬かしら!?』

と言う調子外れなアビーの声が庭に響き渡ってしまったのだ。

アビーはさすが本職歌手。速水など及ばない素晴らしい声量だった。


その後、ウルフレッドを回収した時の周囲の速水を見る目と来たら。

速水はあれほどいたたまれなかったことは無い。ヒソヒソと噂もされた。


…速水の乱入の後、ダンスパーティはあまり盛り上がらず、終わり掛けだったので結局そのままお開きになってしまった。

彼はダンサーでありながら、ダンスパーティに水を差すと言うありえない所行をしてしまったのだ。落ち込みもする。


「はぁ…」

速水はテーブルに突っ伏した。


…皆にどう謝れば良いのだろう…。

と言うか、大半がもう会う事も無い人々だ。

それはそれで余計にキツイ。変な噂になったらどうしよう。

死んだジャックに顔向け出来ない…。


速水は頭を抱えた。ウィルがまだバシバシ叩いてくる。

「…叩くなよ。ウィル…悪かった…」

速水はウィルの手をうっとうしそうに払った後、ちゃんと謝った。


「いいさ。日本じゃ、ジャックと色々、笑わせてくれたよな!あの大会の時とか、ダッグのネーミングセンスとか…くっ。ぶはははっ」

まだ彼は笑っている。

それを速水は無視した。ウィルは見た目は格好良いが、昔からこういう奴だ。


部屋の入り口に目をやる。

アビーがウルフレッドの手当をしていて、ちょうど終わった所だ。


「…犬。レスト。今日はもう休んで良い。庭には出るな」

けだるげに言って、速水はウルフレッドを休ませた。

「はい!ご主人様!!」

レスト。この号令でウルフレッドはややまともになる。

彼は部屋を出て行った。アビーは名残惜しそうに見ていた。


「何だ、ハヤミ。ウィルとは結構前からの知り合いか?ほら、これで少し冷やせ。悪いな。つい殴っちまった」

レオンがタオルと氷を渡して言った。

「ああ。十五くらいから。あの頃、ウィルもジャックと一緒に日本にいたんだ」

速水は左頰の真ん中に当てた。幸い、大した腫れでは無い。

骨に当たらなくて良かった。


「へえ、そうか。それで何だってあんな焦ってたんだ?」

「後で話す…」

速水は部屋にいるメンバーを見て言った。

サラの行方はおそらく結論の出ない込み入った話だし、ノアのことはとりあえず伏せておこう。


遅れて来たアランとルイーズは苦笑しながら二人仲良く帰って行ったので…今ここに居るのは泊まる者だけだ。速水とレオン。そしてアビー達と、ダンサーのキースとイアン。


ワインを軽く飲んでいたベイジルが、壁の時計を見て、ソファーから立ち上がる。

「…アビー、そろそろ俺たちは休もう」

アビーに声をかけた。

「ベイジル、まだ眠くないわ」

「また明日もある。アビー、眠いだろ。今日は休もう」「クリフ…まだ眠くないわ…眠いかしら?」

クリフにも言われアビーは眠い気がしてきたらしい。

「足りない物があったらルーク達に言えばいい」

ウィルが言った。ルークと言うのは彼のマネージャーだ。

「はい。ありがとうございます」

「じゃあお休みなさいスマイルジャック」


「ベイジル、私あの犬が欲しいわ」「アビー、それは失礼だ」「そうかしら―」「―」

そしてアビー達はまたくるくる話しながら去って行った。


「…じゃあ。俺たちも休むか。ジャック、明日ダンスしようぜ」

キースが声をかけて無言のイアンと出て行く。


「さて、俺たちも休むか」

レオンが言った。速水も立ち上がろうとした。

「あ、そうだハヤミ。お前にちょっと話があるんだ」

ウィルが速水を引き留めた。

「今からか?」

速水は首を傾げた。


「ああ。悪いなミスター、次の仕事の話だから、先に休んでてくれ」

「ん?ああ分かった」

レオンは部屋を出た。


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