トンとことこ♪ 11話
ペットが出来ました。例のロリ狐とショタ狐は俺がテイムしてなついてしまい、今や俺の側を離れません。
名前はメスがアイコにオスがタクヤ。園児の名前から頂きました。
服も粗末な物からみんなが着ているような物へと着替えさせてあげた。
さて、奥様の依頼はどうなったかだって? 屋敷に行ったさ……モモとアイコにタクヤも一緒に。
そしたら、俺になついてる二匹を見た奥様が俺に譲って下ってくれた。そもそもご祝儀目当ての依頼だったので俺達への礼になるのならなんでも良かったみたいなのだ。
ただ、その代わりにとあることをお願いをされてしまった。
「お茶会ですか? 構わないのですが、場所は隣街ですか?」
部屋の片隅でルーシーちゃんはアイコとタクヤと一緒に積み木で遊んでいる。ロリ狐とショタ狐は大人しいモンスターで無害なので安心だ。
奥様の話を聞きながらも少し気になってしまった。
「ええ、これも依頼としてお願いしたいの。隣街のビアマルク侯爵からお誘いを受けたのだけれど、先日の一件があったでしょ? いつもだったらこの子をルウに預けて行くんだけど……しばらくは無理だわ、私が気が気でいられなくて……だから、ルーシーも連れて行くわ。そこで貴方たちに一緒に来てもらって護衛をお願いしたいのよ。」
信頼してくれるのは嬉しいが……モモも同じことを思ったんだろうな……
「あの奥様……私はまだ10級冒険者ですし、イベリコは凄いですけど、一人じゃ不自由な事が多いですし……もしものことを考えるのなら、もっと腕の立つ冒険者を雇われるべきかと思います。」
相手は領主様の奥様。万が一があればただでは済まされない。それにモモが言っている事も実際はその通りである。
だが、奥様の考えは違った。
「ん~~~~~……自分のことだからやっぱり分からないのかしら。二人とも私から見ればお買い得商品なのよね。」
「えっと……どういうことで?」
「はひ……お買い得になっちゃった……」
「それはねイベリコちゃん。まず、イベリコちゃん。貴方の家は凄いわ……ルウの攻撃にビクともしない家があんなに出せるなんて……」
先日のセドリック撲殺の件から、中途半端(本人談)に力を出したルウさんが、暴れ足りないと言うので、俺は某格闘ゲームのボーナスステージが如く、車の代わりに箱(家)をレベル1から順に出してあげた。
まあ……凄かったですわ。肉体って極めてあるラインを越えると凶器なんだと思い知らされた。以下がルウさんの結果だ
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【究極人型汎用撲殺兵器RU対豚箱耐久調査報告書】
LV1:藁の家⇒軽く手を振り、風圧で粉砕
LV2:木の家⇒マッチ棒を割る位の余裕で粉砕
LV3:レンガの家⇒ワンパンで粉々に粉砕(なんとかの極み?)
LV4:アルミの家⇒グニャグニャに変形し千切れた
LV5:銅の家⇒同上
LV6:鉄の家⇒変形したが千切れない
LV7:鋼の家⇒凹んだ
LV8:銀の家⇒変形したが千切れない
LV9:金の家⇒変形したが千切れない
LV10:カーボンファイバー⇒全力の一撃でヒビが入る
LV10EX:お菓子の家⇒食べた(奥様のお茶菓子)
LV11:プラチナの家⇒凹んだ
LV12:ダイアの家⇒全力の一撃でヒビが欠片が少し出た
LV13:ミスリルの家⇒破壊不可、かすり傷一つ付けられない
LV14:ダマスカス鋼の家⇒破壊不可、かすり傷一つ付けられない
LV15:アダマンタインの家⇒破壊不可、かすり傷一つ付けられない
LV16:ヒヒイロカネの家⇒破壊不可、かすり傷一つ付けられない
LV17:ダークマターの家⇒破壊すると大爆発を起こす可能性があるので直ぐにしまう
LV18:超○金Zの家⇒破壊不可、かすり傷一つ付けられない
LV19:ガン○ニュウム合金の家⇒破壊不可、かすり傷一つ付けられない
LV20:オリハルコンの家⇒破壊不可、かすり傷一つ付けられない
LV20EX:世界樹の家⇒神々しくて壊せなかった。中に入ると癒される。
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レベル12まではダメージを与える事に成功しているのだ。領主様の懐刀と言っても過言じゃない。
「むしろそれを言うのならルウさんの方が凄いと思うのですが……」
ちなみにそのルウさんは全力を出しきって清々しい顔で世界樹の箱(家)でお休み中だ。
どうも癒し効果があるらしく、回復してるみたいだ。
「そこなのよ……あの子は強いわ。そこらの騎士なんて目じゃない位に……だけど戦闘狂なのよ……あの子……暴れ出すと見境なくて……」
こう話している最中も実は職人さんが屋敷の壊れた所の修理や折れた木の植え替え等を行っている音が聞こえる。
「おうふ……奥様……心中お察しします。おっしゃっりたいことが分かりました。つまり矛と盾に別れて、物理が効かない相手にはモモと言う訳ですね。」
「そうよ。モモちゃんは四属性も使えるし言うことないわ。」
「なんか照れます。でも、初級魔法しか打てませんよ?」
「大丈夫よ……いざとなったら……ダークマターの家を爆発させましょ。」
この世界でダークマターとは火薬のような者らしい。一定のマナに触れると爆発を引き起こし、様々な用途で使われている。
それを知らないで出した時のみんなの反応は凄かった。
「そうならないように祈りましょう……」
「それにね……一番買っているのは貴方達が一番信頼がおけるからなの。これだけはどんな冒険者よりも優れていて、大事なことよ。」
ニッコリと微笑んで止めを刺された俺とモモは頷いた。
隣街に何事もなく着きますようにと祈りながら領主の屋敷を出た。
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ガタゴトと揺られるこそ丸2日掛けて、予定通りにお茶会の主催日のビアマルク侯爵のいる隣街に到着した。
そのまま侯爵様のお屋敷に向かい挨拶に行く。街の中央にあるビアマルク侯爵家のお屋敷は見事な物であった。
中庭に広がる花の庭園。異世界の植物なので名前が分からないが、桜の花びらをした朝顔とでも言えばいいのだろうか。
それが装飾された庭園具に絡み付き、見事な花の園を演出していた。屋敷の入り口に向かう間、俺達は感嘆のため息が押さえられなかった。
「凄いね~~ルーちゃん。」
「凄いね~~ブタさん。」
ルーシーちゃんの頭の上で「ほえ~」と感想を漏らす俺。何でそんな所にいるかって?ルーちゃんが乗っけるんだもん。みんなも何も言わないし、とりあえず大人しく乗っていた。
「これは手に触れることも出来る生きた名画だね。」
「嬉しい事を言ってくれるね。ふむ、我が庭は生きた名画か。素晴らしい誉め言葉だよ。」
20歳前後の身長170cmの細マッチョのイケメン(金髪)が歯を輝かせて俺に微笑んでくれている。少々物珍しい物を撫でる感じで俺を観察する。
「ビアマルク侯爵、この度はお茶会にお誘い頂きありがとうございますわ。」
「ようこそおいで下さいましたアイズ先生。遠いところから御足労様です。どうぞ中へ、ささっ従者の皆さんもどうぞどうぞ。お前達、お客様をご案内さしあげるように。それと先生、ビアって昔のように呼んで下さいよ。」
「もう当主様になられたんですから、そういうわけにはいきませんよ。」
「先生はかわりませんね。兄貴が尻に敷かれるわけだ。」
恭しく頭を下げて礼をし、俺達はビアマルク侯爵と奥様の後に続いて屋敷の中に通される。
外の庭の広さと庭園のレベルも高かったが、屋敷の中の置かれた家具や床に敷かれた絨毯からして豪華さが目に見えた。
成金ではなく、良いものを選んで置いている、俺にはそう見えた。
「ところで先生……少々気になるのですが……」
チラチラと俺と目線が合っていたので鼻ではろ~♪と合図していた俺をなんとも言えない表情で見ている。
「イベリコちゃんね。ルーシーの護衛であちらの冒険者のモモさんのパートナーよ。とっても優秀でついて来てもらっているの。」
「初めまして、10級冒険者のモモと言います。イベリコの主でパーティーを組んでいます。その、よろしくお願いします。」
失礼のないようにお辞儀をするモモはガチガチだ。
「ビアマルク侯爵初めまして、俺、イベリコ。悪いモンスターじゃないから怖がらないでね。」
「あははははは、それはないかな。ルーちゃんの頭の上に乗っている時点で怖さより、可愛さの方が勝っているよ。よろしくねイベリコくん。」
握手の代わりに頭を一撫で、ぽよんと弾む俺を何かと連想させたのがほんの少し赤らめる。ふふふ、若いな~。
「今はルーのペットなの。ね~ブタさん。」
いいでしょ~?な感じで自慢するルーちゃんをみんなは微笑ましく顔を崩し、場が温まる。メイドさん達もずっと沈黙を貫いていたが、この時だけはクスクスと笑っていた。
「ね~。ペット以外のお仕事分もサービスはするよ~ルーちゃん。それっ!ぽよぽよシェイキング!ぽよぽよぽよぽよ!」
「きゃ~~~~! 声~が~震~え~て!? キャッキャッ♪」
上下に細かく揺れる事で微振動を与え、声を「わ~れ~わ~れ~は、う~ち~ゅ~う~じ~ん~だ!」と言う震えたボイスに出来る技?である。ルーちゃんには効果抜群だ。
「と言うわけよ。非常に楽が出来て助かっているわ。」
子育てはエネルギーがいるのである。少しでも解放される喜びは、世の男性には分からないだろう。
「…………モンスターなんですよね?」
いいえ違います!保育士です。
「ふふふ、私はモンスターと思ってないわよ。」
奥様……うるうる……
「先生の街は話題には、こと欠きませんね。」
ところでさっきから先生って言ってるけど二人は昔からの知り合いみたいだな……
「いい人から問題児まで豊富よ。おかげであの人の毛根ダメージが進む進む……今度会うときにお願いだからオデコに視線を向けないでね。」
「うっ……兄貴が……なるべく努力する……と言うか他人事じゃないから笑えないよ……俺もはげんのかな~……」
「頑張って領主様。」
和気あいあいと通された客間には多くのお客様がいらしてた。シャンデリアに刺繍の凝ったテーブルクロス。いい香りのするコーンに並べられたテーポットの数々。
お茶会と言っていたが、本当にお茶の品評会のようだった。
「いい香りね~♪」
「ありがとうモモさん。我が領地で取れる茶葉は最高品質の物で良く発酵させたこの紅茶は格別だよ。飲んでご覧。」
当主様自ら入れてくれたお茶を受けとるモモ。感激し、口に含む紅茶の味は格別のようだ。みんなメイドさんに紅茶を運ばれる中、わざわざ俺にも用意してくれた領主様のお気遣に感謝する。
テーブルの上に置かれた紅茶を音を立てないようにすすると、何名かのお客さんがむせていた。サーセン……ツボに入ったのね。鼻でグビグビいってるもんね。
ふむ、お茶は最高だ……文句なく旨い……だけど、烏龍茶派の俺には物足りない。顔には出してはいけないと思い急いで取り繕うが、領主様にはその僅かな機敏を感じてしまったのか気づかれてしまう。
「……イベリコ君の口には合わなかったかな?」
「いえっ! そういう訳じゃないんです。最高の紅茶です。だけど、俺は烏龍茶派でしたのですみません。」
………………ん? みんながキョトンとしてる。はて、何かやってしまったか?
「イベリコちゃん、そのうーろん茶って何かしら?」
えーーー……ないのか、この世界には……
「へっ? 紅茶があるのに緑茶や烏龍茶はないんですか?」
さも当たり前のように聞く俺に周りのお客さんは所詮はモンスターの言うことだと、内心嘲笑っていたが、領主様は別だった。
「詳しく聞きたいね。私も腰を落ち着けようかな。」
俺をひょいと掬いあげてソファーまで移動すると、メイドに指示を出し、書くものを用意させる。
そこからは仕事の顔つきの変わった領主様は俺に無礼にならない態度で質問をしてくる。だけど、俺は一考する。さて、どうしたものか……
今はルーちゃんの護衛中である。本来はこうして護衛対象者から離れるのもどうかと思う。モモが代わりについていてくれるが……
そばにやって来た奥様の方に体を向ける。それだけで察してくれた奥様は間に入ってくれる。
「ダメよ~。ルーの護衛のイベリコちゃんを勝手に持っていっちゃっ。あの人も貴方もこれ(コイン)が絡むと人が変わるんだから。」
「あっ!……申し訳ありません先生。でも、気になるんです。俺もこのお茶には自信はあるのですが……俺の代から何か出来ないかと常々考えているんです。そこに謎のお茶が飛び出ればもう……」
「ルーちゃんをここに呼んで頂ければ俺としては問題ありません。」
「そういう訳だから、あの子がぐずったらおしまいよ。」
「分かりました。じゃあ早速だが時間がないので教えてくれないか?」
「まずですね……」
紅茶まで発酵させないこと、釜などを使って炒ること、本当に何度か自分で体験した事を簡単にだが、説明をする。
領主様は紅茶を作る工程で廃棄してたものを利用する事や、茶葉の品種を変えて色々試して見るようだ。
そんな会話も10分ほどでルーちゃんがぐずり始めたのでお開きとなった。
「ぽよぽよぽよぽよ。それ~~捕まえちゃうぞ~~~♪」
「いや~~~~~♪ ルウお姉ちゃん助けて~~~。」
「ちゅ~~~して退治してあ・げ・る。」
「きゃ~~~~! ブタだからってピュアハートはあるんだからね~~~!モモ助けてくれ~~~!」
「このお茶美味しいわ~~~~~♪」
「おい相棒!!! ヒート!!! ヒート!!!」
「イベリコ君、うちに貸してくれません先生?」
「ダ~~~~メ。」
「う~~ん、ますます欲しくなってくる。」
オーガ(ルウ)から逃げるドタバタ劇にすっかりとお茶会はいつもと違った盛り上がり方をしていた。俺達は今夜はここに泊まる。これが俺の運命を大きく変えるとも知らずに……
「………ブ……………タ……………ブタさん!…………」
「Zzzzzzzz!?……ふごっ……ルーちゃんどうしたの? 寒いの?」
「おトイレ行きたいの。怖いから一緒に行ってくれる? みんな起きなくてブタさんしかいないの。」
おうふ……みんなのだらしない寝相と来たらもう……
「いいよ。ルーちゃん偉いね~♪ お姉ちゃんのルーちゃんにはブタさんが一緒に行ってあげるよ。いい子だね。」
「うん! そのブタさん遠くに行かないでね。」
「大丈夫。なんだったら抱き抱えていいよ。」
「うん……オバケさんいませんように。」
そ~~~っと月夜が照らす廊下に出て厠を目指すルーちゃんは俺をムギュ~と抱きしめながら牛歩で進む。
「どんぐり~コロコロ、どんぐり子~♪ お池にはまってさあ~大変♪ どじょうが出てきてこんにちわ~、ぼっちゃん一緒に遊びましょ~♪」
「ブタさんの新しいお歌だ。ルーも歌う。」
「そうそう、怖くなくなるよ。」
少し笑顔になり勇気を振り絞るルーちゃん。偉いよ! 小さな声で一緒に歌いぴょこぴょことスキップをしながら進む。
「どんぐり~コロコロ、どんぐり子~♪ お池にはまってさあ~大変♪ デュラハンが!?……出て来て……こん……ばんわ……ルーちゃん…………一緒に走りましょ~!!!!!!」
「きゃ~~~~~~~~!!!!!!!!!!」
それは厠の廊下の角を曲がる時だった。月夜が照らす廊下のど真中で蒼色の西洋鎧(兜無し)が、メガネ~~メガネ~~みたいに四つん這いになり何かを探しているのだ。
「ぎゃ~~~!!!!!何でお屋敷にモンスターがいるの!!」
「ブタさぁぁぁん!!!うわぁぁぁんん!!!」
ルーちゃんはパニックになり、漏らしてうずくまってしまった。
あのデュラハンは立ち上がりゆっくりとマントをなびかせてこちらにガシャン!ガシャン!とブーツの音を鳴らせやって来る。
見事な西洋鎧、よく物語で出て来るようなボスクラスの装備品と遜色のないイメージを受ける。背中から見える大剣に腰には四本の刀の鞘が見える。
戦力差は歴然だ。逃げろと頭の中で警鐘が激しく鳴るが、後ろにいルーちゃんを置いて行くこと等、絶対に出来ない。
「喰らえ!!」
トリモチをあらん限りに噴射しデュラハンの動きを封じようとする。だけど、居合い抜きって奴だろうか? 奴の抜刀術でトリモチが斬り裂かれ、デュラハンには全くまとわりつかない。剣にさえつかないのは計算外だ。ならばと他の神経毒や墨に熱湯をかけるも同じく斬り裂かれる。
そして、奴の間合いに俺とルーちゃんは近寄られてしまう。
「止めろ!!!! 俺の命はいい! この子は見逃せ!! 腐っても騎士だろ……後生だ、頼む。ルーちゃん逃げて!!!!お願いだ!!!」
「ブタさぁぁぁぁん!!逃げてぇぇぇぇ~~」
終わった……奥様、ルウさん、モモ、ルーちゃん、ごめん俺先に………………………………………………………………………攻撃が来ない?
「何があったの!?」
「ルーちゃん!!!どこ~~~~!」
「これはどういう状況なんだ?……親父の形見の鎧!?」
デュラハンが俺に臣下の礼を取る。事態が全く分からない……
ゾロゾロと屋敷の警備兵でデュラハンを取り囲む中、デュラハンは俺をひょいと掬い、頭のある位置に俺をはめた。すると……
「あーあー! やっと声が出せたぞ。ビアマルク、儂だ儂。ガラハム、お前の父だ。」
「なっ!?………」
「先代様!?……貴様!!モンスターがガラハム様を語るか!!この無礼者め!!」
「シャーリーとはあれからも仲良くしてるのか?ん?ぬふふふふ♪」
怒りから一転、顔を青くしてパクパクしてる一人の警備兵。
「それにミシェールにその子はルーシーか!?大きくなったの~~ぐすっ……おおっすまん。ブタくんも喋りたまえ。」
スポンと俺を定位置から抜けると俺の自由が戻る。
「えーと……俺がここにはまるとどうやらビアマルク侯爵のお父上の頭代わりになるようです。」
コクコクと頷くような仕草をするデュラハンこと前領主様。また、俺を定位置にはめて会話を続ける。
「騒がせてしまって悪かったのう。その……ちょっとばかし心残りがあってな……それを消し去らないと成仏出来んのじゃ……」
「……父上……あの開かずの間ですか? 強固な結界で破壊する事も不可能で手を焼いていたんです。あの中には何が入っていたんですか?今は私が当主です。教えて下さい。」
「言えん!!! 頼むビアマルクよ……父の誇りの為だ……これから処分に向かうが!決して誰も来ぬように……もし来ればこの刀の錆にしてくれよう……」
「……分かりました。死しても尚そこまで拘るのならお聞きいたしませぬ。みんな戻って寝るぞ。その父上……それが終わったらあの世に逝かれるのですか?」
「ああ、これが済めば儂に思い残す事はない。……そんな顔をするな。愛する我が息子よ。その心に抱いた父の姿をずっと忘れずにいてくれ。去らばだ。」
「ありがとうございました。この領地を更に繁栄させてみます!」
「すまぬなブタ君。君にはもう少し付き合ってほしい。君が目の代わりになってくれてるおかげで儂はやっとあれを処分出来る。」
向かう先は地下……屋敷の地下に深い螺旋階段があり、そこに謎の両扉の入り口がある。
「ここは儂の秘密が眠っておる……本来は決して知られてはならないことだが、ブタ君よ!息子だけには言わないでほしい……理由は中に入れば分かる。…………ガルムンテ!!」
解呪を唱え封印を解除する。なんだ!?何を見せるつもり何だ先代様は……
ギィィィと古びた音と共に封印から解放された室内には……
「いや~~~ん♪ わたしの下着を見られちゃった。きゃ~~~~~~~♪ イベリコちゃんダケよ、わ・た・しの秘密を知ったのは。妻のミランだって知らなかったんだから。」
ぐっは~~~~~~~~! このおっさんガチの変態だったんかい! ビアマルクさんが知ったら自殺する……言えない……これは確かに成仏出来ないわ……あの感動の別れの後にこれはないわー……
「ここにある私のドレスに大人のアイテムを処分したかったの。さて、全部運び出して処分しますか。」
なら……ブタ小屋を発動してドンドン収納する。おっさんが使ったと思う大人のアイテムまで入れるのは躊躇ったが、ビアマルクさんが万が一でも見られないようにするために俺は全て収納した。中には豪華なドレスや宝石類もあったからこれは渡せる物だけ、ビアマルクさんにお返ししよう。遺産をパクられた時の悲しみを俺は駄神の一件で知ったからね。
「まあ!?ブタさんって凄いのね。空間魔法かしら? ふふふ、お礼に回収した物とこの鎧と刀は貴方にあげるわ。至高の茶葉の理念の元に我は宣言したと言えばあの子は分かってくれるわ。ああ~~これで逝けるわ。息子には父は女だった事を内緒にしてね~~♪じゃあね~~~…………………………………言えるかぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
デュラハンのボディをもらいここにはまれば俺は普通に動かせるようになったが、オカマのボディをもらったと思うと複雑だった。
地下から上がり、ビアマルク様にお目通りをお許し願う。オカマだった事は絶対に隠して、愛人のもろもろが実はあったと言うストーリーに返さしてもらった。
ビアマルクさんは大層驚かれていたが、宝石やドレスの類いを渡すと納得してくれた。そして、鎧に関して例の合言葉を言うと納得してこのデュラハンボディを譲ってくれた。
悪いと思ったので、例のお茶の話の続きをして、少し彼の父との思い出話に付き合って夜を過ごした。
翌朝にデュラハン事件のことを屋敷のみんなにビアマルク様が説明し、この一件は幕を閉じた。
「ブタハン……いや、ブラハンが正しいのかな?」
「どっちでもいいよモモ……それよりもこのデュラハンボディのおかげで俺の保育士の夢が近づいたよ!」
「ブタさん抱っこして~。」
「畏まりましたルー姫。この……ブ……イベリコナイトが失礼致します。」
「ブラハン嫌なのね……しかし、顔とボディのギャップの差が激しいわね……」
「あら、私は可愛くていいと思うけど。」
「そうですよ。イベリコだからこそ、この味が出せるんですから。」
「きゃ~~~~~お母さん見て見て! お姫様になっちゃったよ~~♪」
「まあまあ、あの子ったら。ふふふふふ。」
なんだかんだあったけど、妙にしまらないのは何時ものことだ。それよりもこのデュラハンボディには感謝せねば。
俺の夢への形が一歩ずつ近づいていくのが嬉しくて、ルーちゃんを抱っこして俺はずっとはしゃがずにはいられなかった。




