第百十三話「ラーナメモリアル」
デート開始!!!
ラーナはマントにフードを被っての参加で、場所は比較的神者ギルドの目が手薄なゲブラーナであります!
「パパ、早く早くぅっ♪」
1 あははは、待ぁてぇええ♪
2 わかったから落ち着けよ。
3 うん、行く行くぅ♪
いや、2だろ。
え、今回こんな感じ!?
「わかったから落ち着けよ」
「だって嬉しいんだもんっ♪」
「そりゃなによりだわ」
「で、どこに連れてってくれるのっ?」
1 まずは飯だ飯。
2 そろそろ帰ろうか。
3 ところでラーナっておっぱい大きいよね?
2と3に悪意しか感じないんですけど?
個人的には3だが、まぁ1だわな。
「ところでラーナっておっぱい大きいよね?」
「なっ、何言ってるのよパパっ!?」
「ビアンカに似たなーと、そう思っただけだ」
「マ、ママより大きいもんっ!」
「チョモランマ」
「もー、パパ変っ!」
よし、俺は今良い仕事をしたはずだ。
え、1じゃないのって?
個人的には3と言っただろう?
はい、ごめんなさい。
「ねぇ、どこに行くのーっ?」
1 チョモランマ。
2 あの丘の向こう側を見てみたいとは思わないか?
3 美味い飯が食いたい。
まーた壮大なものが……。
「チョモ……美味い飯が食いたい」
「パパって変よっ!」
「せっかくのデートを楽しんでるんだよ」
「それは……嬉しいけどさっ」
「それより美味い飯だ、なんか良い店知らないか?
流石に2000年も経っちゃわからないわ」
「んー、流石にパパのリードを望むのは難しいかーっ♪」
「すまんな」
「ううん、大丈夫っ♪」
うん、さすが元天使だな。
指名手配中とは思えない可愛さだ。
え、今?
今はスンと同じ序列で勿論大天使だ。
たまに俺に斬り掛かるんですけどね?
「それなら……超老舗のメシウマレストランに行きましょっ♪」
わお、ゴンさんたらすごーい♪
「あそこなら個室もとれるから、出入りさえ気を付ければ周りを気にしなくて済むわっ♪」
「そんな個室に連れ込んで、パパに何する気!?」
「適度に悪戯して適度に甘えるのっ♪」
……流石ビアンカの血だな?
俺の血はどこに見てとれるんだろうか?
そのうちいきなり「チョモランマ」とか言うのかしら?
……ないない。
「さ、行きましょっ♪」
なるほど、ここで使うのか。
「うん、行く行くぅ♪」
おし、バッチリだな。
はい、メシウマレストランとやらです!
やっぱりメシウマホテルと同じ場所だった。
がしかし、かなり大きくなっております。
この前来た時に見に来れば、美味い飯にありつけたのか……。
ふむ、勿体無い事をしたな。
大きさは……幅30メートル、奥行き40メートル程の2階建ての………………そういやここで俺とビアンカのアレがブレンドされてラーナが出来たんでした。
ラーナに言うか?
いや、食事前に言うべきじゃないか。
むしろそんな事を聞いても子供は喜ばないしな。
俺だったら逆にキモいと思うわ。
俺はそれが頭にある前提で、ここで娘と飯食うのか。
高難度クエストだなこりゃ。
「パパ、早く入ろ?」
1 ここでチョメチョメしてお前が出来たんだぞ。
2 ここでチョメチョメして、お前が出来たんだぞ。
3 ここでチョメチョメしてお前が出来たんだぞ。
4を出せや……。
いや、2の選択肢だけ少し違うな?
あれか、シークレットなんちゃらというやつだな?
2を選んでみよう。
「あぁ、腹が減って死にそうだ」
ふっ、俺に死角無しだ。
はい、メシウマレストランに入ってみました!
「いらっしゃいませ」
なんか格式高い感じの店になってるな。
綺麗な着物を着た優しそうなオバチャン。
高級レストランっていうより料亭って感じだな。
昔みたいに荒くれ者が食うような場所じゃない。
……俺のこの格好、大丈夫なのかしら?
「あ、2人で個室をお願いしたいんですが」
「かしこまりました。
すぐにご案内致しますので、お掛けになってお待ち下さいませ」
「はーいっ♪」
ラーナのマントやフードにも何も言ってこないな。
人を選んだりはしないって事かしら?
「えへへ、ここでパパに食べさせたい物があるのっ♪」
「なんじゃろな?」
「お待たせ致しました。
奥の部屋にご案内致します」
奥まで、奥まで入ってくのぉおおおっ!
……はい、最奥から1つ手前のお部屋です。
完全に個室だわ……。
いや、どっかの居酒屋とかみたいに仕切りとか襖じゃなくて、しっかり扉があって別のお部屋って感じ。
中央に丸い木製のテーブルがあって、その中央に……鉄板だと?
焼肉やらステーキでも食えるのかしら?
「さ、パパ座って座ってっ♪」
どうでもいいが、年上の女にパパと呼ばれてる俺を店員は何も思わないのだろうか?
バカなパトロンだとか思ってるんだろうか?
バカは否定しないけどな。
「へいへい」
「ご注文がお決まりになりましたら、そこのベルを鳴らして下さいませ」
「とりあえず果実酒を2つくださいっ♪」
「酒ですか先輩」
「……やめとく?」
「お茶を2つお願いします」
「かしこまりました」
「パパって意外と固いのね」
いざ戦闘になったらどうすんのよあなた。
命がかかってるんですからね?
あ、この世界でのアルコール年齢規制は成人である13歳から……とかじゃなく、規制がないんだ。
こういうとこも直した方が良いとような気がするな。
帰ったらダイムじーじに打診してみるか。
ダイムじーじ…………あれ、うちの近所に魔王の集落あったよな?
あの人の子孫は何してらっしゃるんでっしゃろ?
いやー、ずっと忘れてたわカイネルちゃんの事。
1 ここでチョメチョメしてお前が出来たんだぞ。
2 そういえばカイネルの一族ってどうなったんだ?
3 ここでチョメチョメしてお前が出来たんだぞ。
…………。
「あと、ここのオススメのアレ2人前お願いしますっ♪」
「かしこまりました。
…………では失礼致します」
パタンッ
フードを外すラーナのボサボサ頭かわゆす。
「…………そういえばカイネルの一族ってどうなったんだ?」
「カイネルおじさん?」
「あぁ、デート中に悪いが気になってな」
「黒騎死の一族は次第に消えていったわ」
「ほぉ、そりゃまたなんで?」
「パパが斡旋を提案した戦士ギルドへの派遣がうまくいったのよ。
いえ、うまくいきすぎちゃって、黒騎死がどんどん自立していったのよっ」
「へぇ、あのプライドが高かった奴等がねぇ」
「カイネルおじさんも寂しそうだったけど、喜んでもいたわね」
「ところで……鎧姿のまま自立したのか?」
「うふふふ、世界大戦の少し前位から皆鎧は着てなかったわっ♪」
「そうか、それじゃカイネルの子孫は戦力の当てにはならないか……」
「言っちゃ悪いけど、いたとしてもそれほどの戦力にはならないんじゃないの?」
「戦力を戦闘力だけで判断しちゃあかん」
「どういう事?」
コンコンッ
再びフードを被る慌てるラーナちゃんかわゆす。
「へーい」
「失礼致します。
こちらがお飲み物と、当店のオススメ「合点承知之助、お好み焼きα」の2人前でございます」
…………。
これか食わせたかったのは……。
「来た来たーっ♪」
「作り方は御存じですか?」
「問題ないです」
「かしこまりました
…………では失礼致します」
パタンッ
フードを外すラーナのボサボサ頭が更にボサボサでかわゆす。
アニメみたいに全て綺麗に戻ると思うなよ!
「……これ、ガラード考案か?」
「えぇ、何でわかったのっ!?」
「いや、俺がお好み焼きを教えたんですもん」
「……ガラードおじさん、自分が考えたみたいな言い方だったわよ?」
「あんにゃろめ」
「ゴンおじさんとガラードおじさんで協力してこれが出来たのよ。
これが出来てからメシウマホテルの売上が更に伸びて、今ではこれだけ大きくなったのよっ♪」
「まぁお好み焼きを改良したのはゴンさんとガラードだし、それはそれで良いのか」
「さぁ、食べましょっ♪」
げぷっ。
おう、すんません。
まさかお好み焼きに松坂頭の切り落としが入ってるとは……。
ついつい箸が進んで1人で4人前食ってしまったぜ。
それ以外にもトッピングにスパイスを混ぜて辛いバージョンだったり、クリーミーなチーズ乗っけてトロトロな感じだったりと……こりゃうまいわ。
値段がべらぼうに高かった。
材料故ってとこもあるんだろうが、お好み焼きはお手軽で安価が基本なんだぞ?
合点承知之助、お好み焼きα1ボールにつき3万レンジだ。
1ルームアパートの家賃分と考えれば……高いだろ?
ガラードの奴め、うまさだけ追求しやがってからに。
これは帰ったら指導だな。
「ご馳走様ーっ♪」
「ご馳走様でした」
「それで、さっき言ってた「戦力を戦闘力だけで判断しちゃあかん」ってのはどういう事?」
「仮にも一族をまとめてたんだし人望はあったからな。
求心力って言うんだろうか?
あぁいうのは戦争には必要なもんだ。
数に対抗するには、各々の実力と作戦と兵の士気が重要だからな。
アークの隣でその力を発揮してくれると助かると思ったんだが……」
「生きてるのかもわからないからね~っ」
「そうなんすよ」
「パパにわからないんじゃ、私にもわからないわよっ」
「ですよねー」
「さっ、次はどこに行くのっ?」
「え、リードはラーナじゃないのか?」
「ゲブラーナならパパでしょっ♪」
「へいへい」
さてどうしたもんか……。
1 ジージとダイアンに会いに行くか。
2 面白い仕掛けが見れるぞ。
3 うん、行ってみよう。
強制イベント発生だな。
そういえばブルウスに聞く事があったし、これはこれで都合がいいか。
「ジージとダイアンに会いに行くか」
「はーいっ♪」
「面白い仕掛けが見れるぞ」
「この前パパが言ってた金色の像?」
「うん、行ってみよう」
ほぉ、こうなるのか。
はい、ゲブラーナ城前でございます!
システムコードケントが発動しました!
「……これ、パパの若い時の像かしらっ?」
「多分13、14歳の位の時の像だな。
その歳の頃が一番長くゲブラーナにいたからな。
ブルームの記憶がそれだけ鮮明だったって事じゃないか?」
「へー、ちっちゃいパパだねっ♪」
「もうチョモランマだ」
「……チョモランマって一体なんなの?」
「内緒だ内緒」
はい、城内でございます!
「よく来たなレウス!」
髪がびしょ濡れだぞおい。
「初めまして陛下。
レウスの娘のラーナと申します」
「うむ、ダイアンとジージより話は聞いているぞ」
「……誰かにタオル的なアレをもらってきてください」
「ま、まだ帰らないかね?」
「えぇ、話があって来たので」
「し、しばし待っておれ!」
性格がそっくりと言うか……ブルームより凄いかもしれん。
「ブルウス王って初めて見たけど、ブルームさんにそっくりねっ」
「へぇ、初めて見たのか?」
「反抗組織に入ってから王族と接触なんて出来ないわよ」
「まぁ神者ギルドに繋がってる可能性大だからな」
「繋がってなくても恩義のある西の国に迷惑かけられないからねっ♪」
うーむ、やはりしっかりしてらっしゃる。
「で、パパは何の用事があったのっ?」
「南の国と西の国を仲直りさせたくてな」
「無理よ、所有地問題でかなり険悪なのよ?」
「だから少しだけ西の国に甘えるんだよ」
「ほほぉ、面白そうな話だなレウス?」
「おかえりなさいブルウス陛下」
「た、ただいま!」
「「…………」」
「ゴ、ゴホン、してどうやって仲を取り持つのかね?」
「所有地問題になってる一角を南の国に譲って欲しいんですよ」
「な、なんとっ!?」
「それだけで状況は改善されます」
「ぬぅう……しかしだな……」
「パパ……そういうのはやっぱり急には無理よ」
「無理を通してもらいたいんですよね」
「……平和……魔物達がそれで救われるのかね?」
「結果に繋がる鍵にはなるはずです」
「うーむ……」
「それにこれは両国間の利益にも繋がると思うんですよ」
「それはどういう事かね?」
「だってその所有地問題になってる土地は長い間ずっとそのままなわけですよね?」
「どっちの物にも出来ないんだから当たり前じゃない、パパッ」
「つまりこれは非常に無駄な事だろ?
変化がなければこの先も俺の物って言い続けるわけだから、問題の土地は半永久的に使われない場所になる」
「……いつかどうにかなると思うよりも、今どうにかした方がこの先の時間が非常に得……という事か」
「それだけじゃなく、長い事険悪だった両国間の関係の改善にもなります。
もしそれが出来るなら、南の国と西の国の流通問題も解決します」
「確かに、魅力的な話ではある……。
しかし、神者ギルドが世界の実権を握っている現在、それが平和に繋がる鍵となるのかね?」
「なーに、その手柄を俺にくれれば良いんですよ」
「それは勿論構わんが……それが……」
「あぁ、そういう事ねっ?」
「む、どういう事かね、ラーナ君」
「パパは今神者ギルドの第9剣士なんですっ♪」
「なんとっ!
…………なるほど、そういう事か」
「俺が信用されればされる程、神者ギルドの懐に潜り込めるわけですよ。
勿論、新たな敵も増えるかもしれないですが、かなり良い感じになると思うんですよね」
「うむ、それは良い考えだな」
「まだあります」
「「え?」」
「この両国間の問題改善に進展が成れば、いざ反抗組織と神者ギルドが結ぶ時、良い交渉材料になります」
「手柄を……パパだけじゃなく反抗組織のモノとすれば、交渉の場での発言権が強くなる……」
「いかがざんしょ?」
「うむ、やる価値はあるだろう」
「なんだかわくわくしてきたわっ♪」
デートは食事だけでした☆
デート終了!!!