予想外の展開
服を掴む小雪の手をやんわりと外し、直哉はどぎまぎしながら尋ねてみる。
「えっと、ほら。喉乾いただろ? 飲み物持ってきてやるから。何がいい?」
「直哉くんがくれるなら、なんでもいい……」
「よ、よーし、わかった。待っててくれ」
小雪の甘えた声に、全身の毛がぞわぞわした。
それでも直哉はキッチンに飛んでいって、ペットボトルとグラスを持ってくる。朝の間にハワードが買ってきてくれたオレンジジュースだ。よく冷えていて、喉越しもいいはず。
「ほら、起きられるか?」
「うん……」
支えてやると、小雪はよろよろしながらもソファーベッドの縁に座る。
そうして直哉の持ってきたオレンジジュースに少し口をつけて、「みゃっ」と小さな悲鳴を上げて顔をしかめてみせた。
「変な味……」
「熱があるからだろうなあ……あんまり酷いようなら、親父達に連絡して救急に連れてってもらうか」
今日は日曜なので、普通の病院は開いていない。
それでも、あまり酷くなるようなら医者にかかった方がいいだろう。
そう言うと、小雪の眉がへにゃんと下がる。
「お医者さんはやだあ……注射はいたいし、お薬は苦いし……」
「でも、このままじゃしんどいままだろ」
「でもぉ……」
「うーん……それじゃ、もうしばらく寝て様子を見よう。何かして欲しいこととかあるか?」
「してほしいことー……?」
小雪はぽやぽやしたまま首をかしげる。直哉はそこから望んでいることを読み取ろうとするが……いまいち読みきれなかった。
(ダメだこりゃ。雑念がなさすぎて何も分からねえ……)
今の小雪は理性の仮面が取り払われ、余分な雑念が一切含まれていなかった。
ある意味、悟りを開いているような状態に近い。これでは直哉の読心スキルもかたなしである。
ひとまず辛抱強く、小雪の返答を待ってみる。
すると小雪は何を思ったのか、ぼんやりした様子でソファーベッドの隣をぽんぽんと叩く。
「ここ……」
「うん?」
「すわって」
「はあ……」
言われるままに、直哉は小雪の隣に腰を落とす。何がして欲しいのかと思いきや――。
「よいしょっ、と……」
「は!?」
直哉の肩をぐいっと押して、ソファーベッドに押し倒す。そうして自分はその隣に寝転がり、ぎゅうっと抱きついて満足げに言う。
「おやすみー……」
「待て待て待て……!?」
抱き枕にされたまま、直哉は小声で抗議の声を上げるしかなかった。
さすがは大きな別荘に添えつけられた家具というべきか、ソファーベッドの寝心地はとてもよく、ふたりで横になるには十分な広さがあった。
とはいえ、それとこれとは話が別だ。
続きは明日更新します。
書籍一巻発売間近!よろしくお願いいたします!特典情報とかいい加減に活動報告にあげますね……!ちなみにファンレターいただけると、今ならさめの個人作成小冊子プレゼント!






