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少年A「いじめ楽しい」

いつの間にか日が暮れていたのであろうか、夕日に照らされた孤児院の一室で十人ほどの少年達が集まっていた、その顔触れは、カラをいじめている少年達の顔であった。

「おい、アイツ最近、青ゴブリンの奴と遊んで居やがるぜ」

その中の一人の少年が、周りの少年達に向かってそう言った、便宜上、この少年をAとする。

「あ?アイツ?」

「うん…ああアイツか」

少年Aの言葉に、周囲が誰の事かを考え始めるが、段々と思い出す事に成功し出したのか、所々理解したと言う声が上がる。

「あの影の薄い奴の事か、そういえばアイツも親しい奴が居ない奴だったな」

「そうだな、なるほどそれで同類の青ゴブリンと手を組んだと言うわけか」

「あいつは変な奴だったよな、結構昔っから此処に居るのに、誰とも話をしようとしないんだ、俺達には恐れをなして話しかけようとしない連中は山ほどいるが、それでもアイツほど孤立している奴は居ない」

「俺たち以外の連中はある程度の集団を築いているのに、アイツはそれにも入ろうとしない、可笑しな奴だよな、何かあるんじゃないの?精神的に」

「いや考えすぎだろそんな、ただ単にそう言う集団に入る度胸がないんだよ、なんてこない弱虫な奴さ」

「で…どうする?俺としてはチャンスだと思うんだが」

ある程度皆の話がおさまったのを見計らって、少年Aが訴え掛けた。

「チャンスって、どんな」

一人が少年Aの言葉に疑問を持ったのだろうか、そんな疑問を投げかける。

「決まっているだろう、青ゴブリンをもっと甚振るチャンスさ」

じゅるりと、少年Aが舌舐めずりをしながらそう言う。

「へー、どんな事?面白そうじゃん」

また一人の少年が、楽しくなってきそうだと、座っていた椅子から立ち上がった。

「それはな…みんな耳貸せ」

「おっいいぜ」

「なんだなんだ」

少年がAが考えたその考えを聞こうと、9人の少年が順番にその考えを聞く。

「…お前、最高だな」

最初にその考えを聞いた少年がそう言う。

「いいな…本当良いぜそれ、仕事あとの鬱憤晴らしにはもってこいだぜ」

「すぐそれやろうぜ、むちゃっくちゃ面白そう」

「おっもちろんやるぜ」

周りが大いに賛同したのを見計らって、少年Aがそう言う。

「だけど、俺たちだけでこんな面白い事をしたら大将に怒られちまう、キチンと大将と打ち合わせしてからやろうぜ」

「「おおっ!!」」

少年達はそう叫ぶ直ちに行動を開始する。

ただただ自らの鬱憤を晴らすために、彼らの心の中には、カラを人間扱いしようという心は一寸たりとも存在しなかった。いじめと言う物はそう言う物である。







そして所変わってすっかり日が暮れると、少年達が集まっていた孤児院の一角とは少し離れた場所、闇に紛れるかのように現れた男が一人、孤児院の院長の部屋を訪ねていた。

男の容姿を言うならば、身長は170センチ以上の長身で、顔にはまるで昔の偉人の様に髭をのばしていた、そしてもう一つその顔には、まるで度重なる戦いに打ち勝ってきたような、迫力が有った。服装は黒色に統一した様な軍服の様な服装をしていた。

コンコン…

その男は、重役室と書かれた扉をノックすると、ひとたび待った。

ギィ…

そしてそのノック音に反応するかのように、扉が開く。

「おおっ是は是は、ヨーゼフさんではありませんか、どうぞどうぞお掛けに」

そして扉を開いた先には、この部屋の主である院長がいたのであった、院長はヨーゼフと呼ばれた男の姿を確認するとそう言い、直ぐに近くにある椅子に招いた。

「…すまないな」

ヨーゼフはそう言うとゆっくりと遠慮なく座り込み、そしてもう一つある椅子に座り込んだ院長を見つめた。

「…それで、今回の話は真で?」

ヨーゼフはすでに耳にしている情報から、そのような言葉を発した。

「はい、そうです、近頃この孤児院は赤字でしてね、したかないので子供たちを働かせた金で営んでいますが、いまだ足りないものでね、こうなったら最終手段だと私は思いまして、今回の話を申し込んだのです」

院長はにやりと笑いながら、ヨーゼフにそう言った。

「…そうですか、しかし貴方も酷い人だ」

その事を聞いたヨーゼフはまるで、目の前の院長の心でも呼んでいるかのようにそう言う。

「…なにが…ですかね?」

院長もにやりとまた冗談下に言う・

「ふっ…まあいいさ」

ヨーゼフはこれ以上問い詰めても意味がないと思い、そう言う、自らのこのヨーゼフと言う名前だって偽物である、正義なんてものは邪魔である、ヨーゼフはそう思うと、すぐさま頭を切り替え、交渉に移った。

子供たちを奴隷とするための交渉を。





「ふふっ」

此処は孤児院の一室、その一室で、少年ヒロヨシはまたもや思い出し笑いをしていた。

思い起こすのはやはり、今日海で遊んだカラとの記憶である。


あんな風に遊ぶのは初めてであった、誰かと一緒にあんなにじゃれて遊んだのは初めてであった。あんなにはしゃいで笑ったのは初めてだった、今日の海での出来事は自らの記憶に居置いて、初めての出来事のオンパレードであった。

「…ふふっ明日はカラとなにをしようかな」

少年はすでに寝る時間にも関わらず、明日はカラと一緒に何をしようか悩んでいたのであった。

しかし、そんな少年の思いは、突然大きな音と共に拓いたドアの音と主に、まるでガラスの様に砕け散った。

ドンッ

「な!」

突然開いたドアに驚いたヒロヨシは驚きながら飛び上がる、そして突然明るくなった部屋に目がくらみ、顔を腕で覆い隠す。

「…だ…誰だ」

未だにくらむ目を精いっぱい使って、突然明かりを持って侵入してきた者たちを見つめた。


そこには、この世界特有のとてつもなく明るい光を発する蝋燭を入れたランタンを持ち、そして侵入者は一人だけではなく複数人居た。


「…おい、おまえちょっとこいよ」

そしてその複数の人影は、いつもカラをいじめていた、少年達の姿で有った。



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