主人公様の平穏な日常は、ヤンデレ10人にお任せください
【主人公の屋敷・寝室】
「……ん?」
目を覚ました主人公は、まず両手が動かないことに気づいた。
次に、両足も固定されていることに気づいた。
そして、ベッドの周囲に八人の女性が並んでいることに気づいた。
「……説明しろ」
主人公は真顔で言った。
「どうして俺は拘束されている?」
科学が、待っていましたとばかりに端末を差し出した。
「昨夜の寝返りは三十七回です。逃走の兆候が認められたため、安全対策を実施しました♡」
「寝返りだよ!!」
監視特化が淡々と続ける。
「寝顔フォルダ、三万二千件に追加済みです」
「録画するな! 増やすな!!」
魔導が優雅に扇子を開く。
「ご主人様がお一人で夜を過ごされるなんて、わたくし以外が許すわけありませんわ♡」
「許可制にするな!」
森羅万象が穏やかに微笑む。
「危険を避けるため、逃げ道は予め整えておきましたわ。崖も三箇所ほど増やしてあります」
「崖を増やすな!!」
薬学が優しく薬瓶を見せる。
「拘束の負担を軽減する薬も用意しました。副作用は……愛情が深まる程度です♡」
「その副作用が一番危険だろ!」
慈愛が心配そうに手を重ねる。
「痛くないですか? すぐ《フルヒール》しますね♡」
「回復されるとかえって長引くだけだ!」
嫉妬が両腕を抱えるように身を乗り出す。
「みんなで守ってるのよ。安心して♡ 私も応援してるからね!」
「応援しなくていいから!!」
潜入特化が影からひょっこり顔を出す。
「先回りして拘束具の設置も済ませてあります♡」
「先回りするな! 俺の家だぞ!?」
主人公は拘束具を引きちぎった。
世界最強の英雄。
魔王を討伐し、天使軍と戦い、世界を幾度も救ってきた男である。
そんな彼の現在の目標は、ただ一つ。
「普通に寝かせろおおおおお!!」
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