三通目 和解
『拝啓 三好璟さま
ご実家に到着された頃でしょうか。
え?何で私がタイミングよく分かるかって?そりゃあ、幼馴染みだからね。璟くんのこと、ちゃんと見てたから。
残念ながら、私はその場にはいません。あなたはきっと衝撃を受け、悲しんでくれるでしょうね。でもそんなに気にしないでほしいな。人間、別れはつきものでしょう?
いきなりですが、ここで一つ告白をします。私はずっと昔から、璟くんのことが好きでした。
…バレてたかな?私なりにずっと隠してたつもりだったんだけどね。美嘉にはすぐバレてたんだけど、黙っててくれたの。でも、璟くんは賢いから、気付いてたんじゃないかな。
未練を感じさせるようでごめんなさい。でもこれは、子供の頃の話だからね?高校の時に少し疎遠になって、段々と気持ちも薄れたんだ。
そんな身勝手な私からお願いがあります。
私を探して下さい。もうどこにもいない私は、きっとどこかにいるから。
だから…ね?泣かないで。立ち止まらないで。
私の最期のお願いだと思って、お願いします。
大森鞠萌』
一通目と違って、長い手紙だった。
そうか、鞠萌は本当に死んだのか…。『最期』の二文字で、胸がはち切れそうになった。
そして手紙を読んでいて、自分が泣いていることに気が付いた。本当に、鞠萌は何でもお見通しだな…。
『あたしに嘘を突き通せると思った?ざーんねん、あたしはなんでもお見通しなのです』
いつかの昔、俺がちょっとした嘘をついて、鞠萌にそう言われたのを思い出した。
でもな、鞠萌。俺は親の葬式にも墓参りにも来ない親不孝ものだし、お前が死んでしまったことも今の今まで知らなかったんだ。
もちろん、鞠萌が俺のことを好きだったなんて…知るわけもなかった。おかしいだろ…俺は鞠萌のこと、ずっと昔から好きだったんだぜ。高校の時はそれで気まずくなったんだ。
俺たち、馬鹿だなあ…と座り込んだ。
「…ん」
妹がティッシュ箱を差し出した。
「ありがと」と受け取る。視界が滲んで何も見えない。
「ごめん」と妹がぼそっと言った。何を、と聞こうとして、やっぱりやめた。
「…こっちこそ、ごめん」と俺も言った。
手紙を握りしめて泣いていると、
「鼻水、さっさとかんでよね」と妹がティッシュ箱を奪い取って一枚取り出し、俺に投げつけた。
「え?」
「手紙が汚れるでしょ」
「…うん」
妹は廊下でへたりこむ俺の横に座った。そしてしばらく一緒に泣いた。




