表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
3/3

三通目 和解

『拝啓 三好璟さま


ご実家に到着された頃でしょうか。

え?何で私がタイミングよく分かるかって?そりゃあ、幼馴染みだからね。璟くんのこと、ちゃんと見てたから。


残念ながら、私はその場にはいません。あなたはきっと衝撃を受け、悲しんでくれるでしょうね。でもそんなに気にしないでほしいな。人間、別れはつきものでしょう?


いきなりですが、ここで一つ告白をします。私はずっと昔から、璟くんのことが好きでした。

…バレてたかな?私なりにずっと隠してたつもりだったんだけどね。美嘉にはすぐバレてたんだけど、黙っててくれたの。でも、璟くんは賢いから、気付いてたんじゃないかな。

未練を感じさせるようでごめんなさい。でもこれは、子供の頃の話だからね?高校の時に少し疎遠になって、段々と気持ちも薄れたんだ。


そんな身勝手な私からお願いがあります。

私を探して下さい。もうどこにもいない私は、きっとどこかにいるから。

だから…ね?泣かないで。立ち止まらないで。

私の最期のお願いだと思って、お願いします。

                大森鞠萌』


 一通目と違って、長い手紙だった。

 そうか、鞠萌は本当に死んだのか…。『最期』の二文字で、胸がはち切れそうになった。

 そして手紙を読んでいて、自分が泣いていることに気が付いた。本当に、鞠萌は何でもお見通しだな…。


『あたしに嘘を突き通せると思った?ざーんねん、あたしはなんでもお見通しなのです』

いつかの昔、俺がちょっとした嘘をついて、鞠萌にそう言われたのを思い出した。


 でもな、鞠萌。俺は親の葬式にも墓参りにも来ない親不孝ものだし、お前が死んでしまったことも今の今まで知らなかったんだ。

 もちろん、鞠萌が俺のことを好きだったなんて…知るわけもなかった。おかしいだろ…俺は鞠萌のこと、ずっと昔から好きだったんだぜ。高校の時はそれで気まずくなったんだ。

 俺たち、馬鹿だなあ…と座り込んだ。


「…ん」

妹がティッシュ箱を差し出した。

「ありがと」と受け取る。視界が滲んで何も見えない。

「ごめん」と妹がぼそっと言った。何を、と聞こうとして、やっぱりやめた。

「…こっちこそ、ごめん」と俺も言った。

 手紙を握りしめて泣いていると、

「鼻水、さっさとかんでよね」と妹がティッシュ箱を奪い取って一枚取り出し、俺に投げつけた。

「え?」

「手紙が汚れるでしょ」

「…うん」

 妹は廊下でへたりこむ俺の横に座った。そしてしばらく一緒に泣いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ