9 偵察
まだ前哨戦
9 偵察
今私は大陸中を巡り、豊作の地域で小麦を買い占めています。
黒金貨と白金貨と金貨が大量にあるので、使い切る勢いです。
大体60キロぐらいの袋で、銀貨5から15枚の範囲で値が上下するそうです。
豊作の地域巡りなので、大体6から8枚で買えています。
もっとも、普通は5枚なのでしょうから、余計にこちらへ流れるようです。
平均7枚で買うので、白金貨700枚ですと100万袋になるようです。
アイテムボックスの恩恵は大きいですね。
更に追加で黒金貨70枚です。
はい、1千万袋ですね。
大陸中のあらゆる地域を巡れば、そんな膨大な量でも何とかなるものでした。
すっかり所持金が減ったので、かつて集めた盗賊のお宝を売る事にしました。
前に魔物素材を売った商会に持ち込みますと、失われたはずの何とかって・・
妙に大騒ぎして高く買ってくれそうでした。どうやら盗賊は大変な物を盗んで・・
それはともかく、後々オークションもやるとか、貴族が高価で買うとか、そういう話がわんさか出たとか。
推定黒金貨数十枚になるとかで、任せて頼んでおきました。
それと共に思い出した盗賊の方々ですが、遥か昔にボックスに入れたので当然もう手配は終わりでした。
なので全員、人形にしてしまいました。
ざっくりとした人形なので、軽い形成で後々誰の死体にでもなりそうです。
いちいちこねこねするのが面倒なので、ボックスで保存しておこうと思ったのです。
特に、人間素材なので本物そっくりになりそうで、土製や魔物製とは出来栄えが違います。
気持ち悪い・・
はぁはぁはぁ・・仮想人格もどきも限界だな。
いかに揺れないと言っても、あれはちょっときつかった。
でも、今はボックスの中だから問題ない。
ともかく、小麦は1100万袋も獲得したから、今後国からの無理難題は何とかなる。
各地を巡っての噂では、どうにもきな臭いのだ。
だから最初は当座の分のつもりが、全力買いに走ったと。
恐らく戦争にでもなれば、戦時特別税とか言い出すに決まってる。
あちらの世界の歴史を紐解けば、そういう話はわんさか出てくる。
だからそれに備えておくのさ。
他の地域?そんなの知るかよ。
豊作でちょっと高く買ってくれるからと、ホイホイ売るほうが悪いだろ。
後買ったのは珪素含有の土。
精錬して水晶を作る為の土で、錬金術師専用の土なので案外と安い。
滅多に居ないからね、そこまでやれる人は。
そりゃ工房とかには居るけど、1都市50人ぐらいの需要なんて知れている。
だから鉱山に行けば、一山いくらで売ってくれる。
白金貨5枚も出せば、ドラゴンが寝ているぐらいの小山が手に入る。
それも各地を巡って白金貨200枚消費。
推定100トンの小山を40獲得だな。゜
☆
精錬というものは、面白い副産物が得られるようです。
おっと、この辺りで出しておきましょう。
『錬金術【85】 土石【1】・石粉【5】・鉱金【25】・粉晶【30】・晶粉【30】・精錬【45】・上位【60】』
『土魔法【99】 盛土【1】・土壁【8】・土穴【16】・土槍【24】・形成【28】・家屋【32】・洞窟【40】・建築【60】・更地【90】・迷宮【99】』
『風魔法【63】 微風【1】・強風【6】・烈風【16】・風刃【20】・竜巻【36】・刃巻【48】・暴巻【60】』
『水魔法【99】 流水【1】・放水【3】・洗浄【10】・放流【12】・水槍【16】・小回【16】・中回【20】・大回【24】・快復【48】・欠損【60】・復帰【75】・回帰【99】』
『火魔法【99】 灯火【1】・松明【4】・火炎【12】・炎熱【16】・猛炎【20】・爆炎【24】・業火【30】・焦熱【36】・灼熱【42】・紅蓮【60】・炎獄【75】・熱核【99】』
『光魔法【68】 蛍光【1】・照明【5】・陽光【10】・放射【15】・閃光【20】・集光【25】・光線【30】・光明【35】・後光【40】・蓄光【45】』
『闇魔法【57】 薄暗【1】・日影【5】・日没【12】・夜半【16】・闇夜【20】・闇潜【30】・闇化【45】』
『回復魔法【65】 ヒール【1】・キュア【2】・クリア【3】・リライト【10】】・リターン【15】・ヘブン【20】・クリエイト【30】・バック【35】・オンリーワン【60】』
『空間魔法【5】 短距離転移【1】・帰還【1】・空間拡張【5】』
『完全魔法【-】』
このように、精錬とその上の上位が使えるようになってます。
上位と言うのは上位金属・・つまり、ミスリルだのオリハルコンだのヒヒイロカネだのですね。
これはそれぞれ製造法がありますが、面倒なので今はやりません。
ともかく、珪素土の処分をしないといけないので、今は精錬です。
まずは水晶の元になる珪素が殆どなのですが、余りな量なので微量貴金属もかなりの量です。
珪素 70%
砂鉄 20%
金 2%
銀 2%
銅 2%
ルガル 1%
トルテイン 1%
メラクル 1%
アラモ 1%
ざっとこんな感じです。砂鉄が意外と多く、鉄のインゴットもかなり出来そうです。
珪素 2800
砂鉄 800
金 80
銀 80
銅 80
ルガル 40
トルテイン 40
メラクル 40
アラモ 40
単位はトンです。大もうけです。
珪素土から貴金属を取り出すには、錬金術しかないようです。
普通に精錬すると珪素が蒸発するようですし、他の微量貴金属と結び付いて上位金属になりかけて力量不足でゴミになるそうです。
そのゴミがまた厄介で、るつぼの壁面にくっ付いたら最後、そのまま廃棄するしかないそうです。
なので失敗イコールるつぼ廃棄なので、惜しいけどそのまま一山いくらになるそうです。
ヘルプにレシピが出ていたので見てみたのですが、ユニコーンが可哀想です。
ミスリル =銀+ルガル+ユニコーンの骨
オリハルコン=銀+ミスリル+トルテイン+ユニコーンの骨
ヒヒイロカネ=銀+オリハルコン+メラクル+ユニコーンの骨
神聖銀 =銀+ヒヒイロカネ+アラモ+ユニコーンの骨
乱獲されそうですね。
私は乱獲しませんよ。
だって在庫が3245頭分ありますから。
え?私が既に乱獲をしたって?
まあ、そういう意見もあるようですね。
そういうのはスルーしてどんどんいきましょう。
つまりですね、800トンの砂鉄から鉄インゴットにして、80トンの金インゴットも銀インゴットも銅インゴットも・・
それはこの際、どうでも良いです。
肝心の4種のレア素材。
上位金属には必須のこの素材が、思わぬところから得られたのが大きいのです。
銀もたくさんありますし、これからが楽しみです。
さて、珪素から水晶にする訳ですが、この大きさにはある決まりがあるようです。
恐らくこの世界特有の決まりだと思いますが、ボーリングの球ぐらいの大きさじゃないと、安定度が低いみたいです。
あちらの世界では色々な大きさが自由にやれてましたが、こちらはどうにも変な事になっているようです。
それでもここでクリエイトが活躍したんですね。
なのでビリヤードの球クラスの水晶が作れました。
あの硬い水晶もクリエイトで粘土です。
こねこね・・まるまる・・放置・・完成・・簡単です。
ボーリングクラスから24個作れました。
ボーリングクラスがマナ貯蔵量15000もあるけど、でかくて取り回しが面倒なので需要が無いそうです。
それくらいなら同じ容量の紫水晶がリンゴくらいの大きさであるそうですので・・高いけど。
さて、ビリヤードクラスは625ぐらい入りました。
更に調子に乗ってみましょう。
ビー玉クラス・・3600個作れました。
これぐらいの大きさになると、こねこねも必要ありません。
指先で触れると勝手に丸くなってくれます。
まるで水滴のように・・
つまり、熟練次第では大きな玉の大量生産もやれそうですね。
夢が広がります。
さてこのビー玉クラスの容量ですが、MP4でした。
少ないようですが、魔導具の火種の消費MPは0以下です。
聞いた話ですが、0.01ぐらいと言ってました。
もっとも、小数点の計算ではなく、ゴブリンの魔石で何年使えるかと言うのを聞いたのです。
なので大体の数値になってます。
つまり、MP4もあれば、火種で1年ぐらい毎日使えるという事になりますね。
ゴブリンを狩るより簡単に手に入りそうな気もします。あれは臭いし・・血が・・
私の魔力付加は、そういう訳で強力なのですね。
さて、これぐらいの容量なら、投げて発動する魔法の玉になりそうです。
これには切断融着という技を使います。
半分に割ってその面に魔法を刻み、くっ付けて元通りです。
手間なようですが、慣れるとかなりの早さで作れます。
更にもうひとつ進めてみましょう。
ポイントです、やじりです。
私は弓使いなので、やはりこれは外せません。
ですがここで問題発生です。
ボーリングクラス以外は不安定なのですが、クリエイトでなんとかなりました。
ですが、あくまでもそれは安定させているだけで、形を変えようとすると壊れます。
そこで私は考えました。
円錐の中に水晶の玉を入れてはどうかと思ったのです。
つまり、ガラスで円錐を作り、その中に水晶玉を入れるのです。
これは巧くいきました。
MP4なら火魔法の火炎ぐらいは使えそうです。
かなりの破壊力が得られそうなやじりになりました。
一般用の魔法やじりにはこれで充分です。
ちなみに火炎という魔法は、焚き火にドンブリ1杯の油をかけたぐらいでしょうか。
意外と大きな炎が上がり、うっかり火災発生になりそうです。
くれぐれも森で使わないようにしましょう。
それはともかく、後は大量生産です。
推定4000トンの珪素土から、ボーリング玉クラスの水晶を作るのですが、大体6リットルです。
珪素80%なので2800トン、これから6リットルの玉がいくつ作れるか。
単純計算なのでどんどんいきましょう。
比重から考えて14キロぐらいですか。
なので20万個作れる計算になりますね。
さあ、尽きるまでノンストップでやりますよ・・
ふうっ、かなり疲れましたね。
ですが、まだまだこれからです。
さて、20万個の水晶から魔法やじりにすると莫大な量になるので、可能な限りでやってみましょう。
1個の玉が魔法やじり3600個になるので、1000個ぐらい消費してみます。
360万の魔法やじりになる計算ですが、ちょっとマナ量に不安があります。
まあ、可能な限りやってみましょうか。
☆
はふうっ・・マッドさん(仮名)が張り切っちゃって、気付いたらMP切れ寸前になってました。
夜は寝ようよ・・
我ながらちょっと精神が分裂しているんじゃないかと、そんな不安に襲われるけど、心は揺れないねぇ。
どのみち魔導体なので、人外だと割り切ってやっているんだけどね。
そんな訳で、特製やじりが物凄い量になってるんだよね。
1万と書かれた(日本語)でかい箱が部屋中に満載になってた。
こ、この箱は・・マイタンの箱だぁぁ・・
マイタンどこにやったぁぁ・・
珪素を無駄使いするなぁぁ・・
と、誰に怒っているのでしょう。
出てくるな、マッドさん(仮名)
はぁはぁはぁ・・
きっと精神疲労だな、寝よう・・
☆
改めてみたら錬金術がやたら上がってた。
マッドさん(仮名)のせいに違いない。
【95】って・・もう少しか・・それを考えると・・
練成と融和ってのが足されていた。
練成ってのはつまり、素材から一気に上級のインゴットに出来るってスキルみたいだ。
つまり、素材から精錬、素材から精錬、そして出来たのをまた精錬としなくても良いらしい。
しかしな、そんなお得なスキルが【88】開放ってずるいよな。
融和が【90】だよ。普通なら75とか80の位置取りになるだろうに。
それはともかく、この融和もちょっとチートっぽい。
物質にスキルを融和させる・・はい、切断融着要らなくなりました。
なんてこったぁ、やっと開発したスキルだと言うのに・・
気を取り直して・・まずは物質に融和を使って待機状態にして、そこにスキルを使うと融和されると。
後は衝撃で分離・・つまり、魔法が発動すると。
ふうっ、なんかだるいな・・寝よう・・
☆
どうやら良いスキルが開放されたようですので、早速にも魔法やじりに融和していきましょう。
ふむ、この果実は美味しいですね。
ちなみにマイタンは袋に入れてボックス内です。
後は空になった箱もボックスにありました。
マイタン箱を360使って何とか収めました。
ノーマル水晶残り19万9000個です。
さて、360万の魔法やじりに何を封入するか、これは迷いますね。
確かに火の魔法が攻撃的ですが、火災現場には水の魔法も面白いです。
【烈風】 120万
【放流】 120万
【火炎】 120万
☆
どうにもおかしいので、獲得スキルの確認をしてみた。
するとやたら増えていて・・どうしてかと思ったら、かつて竜の神と言われる彼のスキルのコピーらしい。
吸収ってコピーの事なんだな。
てっきり盗ったのかと心配していたんだが・・
簡易表示の弊害だな。
たまには見ないと、こういう事になるとよく分かった。
それはともかく、変なところで切るなぁぁぁ。
『とつげき』『けり』『なぎはらい』『ひしょう』『げんえい』『すいみん』』『ぶれす』『ほうこう』『いかく』
(2ページ目)
『まかいふく』『ひむこう』『みずむこう』『ひかりむこう』『やみむこう』『じんそく』『しょうめつは』
『こうそくひこう』『ちょうかいふく』『かみのいぶき』『おうじゃのいあつかん』『へいれつしこう』
だから増えてないと思ってたんだろうが。まあいいや・・さてと。
これもまた突っ込みどころ満載だけど、ラストにあったよありましたよ。
『へいれつしこう』
並列思考ね・・これも嘘だろ。
どうにも名前と効果が合ってない事が多い今日この頃。
別意識と言うか、別存在と言うか、どうにも変な事になっている。
だから神様と言うより、神様っぽい何かかな。
そういう存在がシステムを構築したんだろう。
だから色々と変な事になっていると。
神様を万能とすると、構築したのは千能ぐらいかな。
どのみちオレよりは遥かな高みの存在だろうけど、上のほうで比べたらそんな感じっぽい。
どのみち遊園地の利用者が文句付けても仕方が無いので、この問題はスルーするしか無い。
しかし、一体どんな存在が、この遊園地の管理をしているのかねぇ。
それはともかく、領地の把握がやっと終わったようで、今夜は・・
「ふうっ、とんでもない事になっていたぞ」
「お疲れ様」
「全く、あのままじゃ近いうちに破綻だったな」
「横流し」
「ああそうだ。それも隣国にな」
「うわぁ、利敵行為だ」
「何とか事無きを得たが、バレたら終わってたな」
「古くて食べたらお腹壊すようなのを、わざと横流しして損敵行為って誤魔化せない?」
「くくく、成程な。そういうのは為政者の頭からは出て来ないな。参考になるぞ」
「じゃあ、後はリフレッシュだね」
「ああ、久しぶりだから、止まらんかも知れんぞ」
「若いもんね」
「そうだな」
☆
きな臭さはいよいよ強くなり、領内に噂として駆け巡る。
コルドも情報を掴んでいて、どうやらノルアス自治区の豪族が暴れているらしい。
ノルアス自治区と言うのは豪族が集まって出来た国のようで、どうにも辺境の掌握が出来てないらしい。
国としては特に戦争は否定しているらしいが、尖兵の可能性もあってどうにも宜しくない状況らしい。
まだまだ飛竜部隊も編成するまでには至ってないらしく、そこのところを突かれたのだろうと言うのが彼の意見だ。
強兵になる前に叩くと言うのは戦の常道ではあるが、なかなかに強かなのだと思った。
「さて、ちょっと遠征してくるね」
「そう言う事ならな、うちから出したという書類を持って行ってくれ」
「ああ、供出対策ね」
「そうだ、巧くすれば、戦時追加税が免除になるかも知れんしな」
「もう寄こせとか言ってるんだ」
「王都のあいつからの情報でな、そういう流れになっているらしい」
「んじゃ、費用対効果の高いところを見せてくるよ」
「あんまりやり過ぎるなよ」
「実はね、ごまかしの道具があるんだよ」
「ほお、どんなのだ」
「衝撃で魔法が発動するやじり」
「成程な、そういうのを使っているから強いと」
「そーそー」
「巧くすればうちの特産になるかも知れんな」
「凄く高い商品として、国に高く売ろう」
「ふふふ」
そんな訳で最前線までひらりひらりと・・
うちの領地は国境に接してはいないが、隣の隣は最前線。
そこの領主館にお邪魔して、書類を渡して参戦開始。
「これはありがたいが、本当にそこまでの力があると言うのかね」
「それは試してみれば分かる事」
「ううむ、確かにな。なればこれを持っていきなされ」
預かったのは領主の証明書のようなもの。
最前線の隊長に見せると、身元に付いては信用されたが・・
「隊長、応援って女が1人だけですかい」
「そう言うな。領主様の推薦だからな、腕はあるのだろう?」
「敵は幾万ありとても」
「言ったな、出来ませんじゃ通らんぞ」
実は鎧の改修をしたのだ。
胸を減らしたのは良いが、鎧はメロン用だったから・・
リンゴ用に調整して何とかなっている。
いやぁ、弓にメロンはきっついわ。
まだ洋弓で良かったけど、和弓なら今頃は・・
てか、撃てないよな、メロンとか。
「たったあれだけ?」
「言うじゃねぇか、なら蹴散らしてくれよ」
見れば数百の兵がこちらを伺っている。
ふむ、あれぐらいなら・・
【業火の矢】
敵の真っ只中に矢を打ち込めば、そこらを中心とした業火が発動する。
いわゆる野原なので、雑草やら芝やらが生えていて、枯れ草も当然ある訳で。
たちまち阿鼻叫喚な騒ぎとなる。
「すげぇぇ」
「はぁぁ、言うだけの事はあるな」
「あれ、まだ奥に居るのね」
「総勢、5000と聞いている。だからの応援だったんだがな」
「あれはただの偵察かぁ」
「もっとドンドン撃てるか」
「いやいや、そう言う事なら強い矢を撃つよ」
「あれで手加減かよ」
【焦熱の矢】
うっ、やり過ぎたかな。
「おいおい、とんでもねぇな」
「うん、ワイバーンもびっくりって攻撃だから」
「そりゃ驚くだろ、あんなの食らったら」
まあ、理論的には粉砕だけどな。
けど、森林火災みたいになってるな。
仕方が無い・・
【暴流の矢】
「ひょー、敵さん流されていくぜ」
「すげぇな姐さん」
「どう?これで」
「ああ、大したもんだ」
「けど、これで何とか時間稼ぎになったってぐらいよね」
「恐らくな。けど、これで間に合うだろう。お手柄だぜ」
書類にサインもらって領主館にふたたび・・
「なんと、尖兵を退けたと」
「時間稼ぎにはなったろう、と言うのが隊長の言葉です」
「ううむ、見事な働きじゃ。ワシも一筆書いておくからの」
結局、3発撃ったら終わった戦いだけど、使用MPは10500だったりする。
だからそれなりの魔法部隊の攻撃に等しい訳で、決して簡単だった訳じゃない。
オーガ即死攻撃の後は、ワイバーン即死攻撃を2回なのだから。
凱旋して戻って書類を渡し、それを元に王都の彼に手紙をしたためる。
さて、免除になると良いんだけどな。
はふうっ・・今日も元気だね・・
亭主元気で夜が楽しい。
そんな日々を楽しみ、また色々とモノ作りを楽しむ。
どうにも夜をやらないと、出てくるような気がする意識。
なので毎晩のあれは治療行為という事で・・
鉄のインゴットが大量に出来たので、早速作ろうおかま。
来年には米も取れるんだし、炊く為のおかまは必要だ。
800トンの砂鉄から10キロの鉄インゴットが8万作れる訳で、それはそのまま8万のおかまに・・
遠赤直火炊きなんて出来ないけど、直火魔法炊きなら出来る。
なのでおかま専用の、火が周囲を覆うような感じの魔導具を考案し、融和も活用して構築する。
ちょうどノーマル水晶がわんさかあるので、それを収納しての魔法式炊飯器。
始めチョロチョロ、中ハッパ、ジュウジュウ吹いたら火を止めて、赤子泣いてもフタ取るな・・
よーし、完成だ。
白米を洗って投入、即座に炊く。
水に漬けておくなら最初から強火だけど、この魔法式炊飯器にはちょっと合わない調理法。
使った水晶は大小合わせて4つ。
一番下のでかい水晶から、残りの3つの水晶にマナが流れ、1つずつ消費していく。
最初は弱い魔法で弱火、使い切ったら強い魔法で一気に炊く。そして後は保温になると。
つまり、燃料水晶1・弱火水晶1・強火水晶1・制御水晶1・・こういう構成になっている。
なので使用者は米を洗って投入の後、制御水晶に触れるだけだ。
人体の微弱なマナを感じて起動するので、MP0の人は使えない。
もちろん、誤動作を防ぐ為に、制御水晶にはカバーを付けてある。
それを押し上げて触れて下ろすと。
さて、希望小売価格、いくらにしようかな。
「おおお、何とも懐かしいの」
「これが米か」
「箸は無いのかの」
「スプーンで食べて」
「致し方あるまい」
その日の食事は洋風のおかずにご飯という、この世界ではちょっと変わった食卓になったようです。
向こうじゃよくある光景だけどね。
魔法式炊飯器が遂に出ました。さて次は・・